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ハートキャッチ第27話『おじいちゃんはイケメンさん?キュアフラワーの初恋です!』 [ハートキャッチプリキュア]

昨年のフレッシュシリーズには、故人に想いを馳せるお盆らしく印象深いエピソードがありました。
同じくお盆時期に描かれる今回も、ふと甦る薫子さんの若き日の記憶を
チェロとオルゴールの音色に乗せて描き出す、郷愁を誘う描写が印象的な一編。
薫子さんと空さん。つぼみとみつる君。2組の淡い恋心を軸に描きながらも、
ある意味では薫子さんの過去や謎のイケメンの正体など、
シリーズを通しての謎も深まる展開となりました。
  
海沿いの住宅街を行く電車。
まるでスプラッシュスターの舞台のような光景は、
つぼみがかつて過ごし、薫子さんが青春時代を過ごした町、鎌倉です。
お盆時期に実家に帰るつぼみと薫子さんに同行するえりかといつき。
ところで中学生の頃、薫子さんは何と呼ばれていたのかという素朴な質問から、
薫子さんの旧姓が「五代」だと明らかになり、「五代薫子」という名に
いつきは史上最年少で全日本空手大会を制した人物の事を思い浮かべます。
ところが目の前の花咲薫子さんこそが、その五代薫子さん張本人であると知り、
3人とも薫子さんの意外な経歴に驚きました。

久々の鎌倉周辺の光景に胸を躍らせるつぼみに、剣道着の少年が声を掛けます。
つぼみは、その幼馴染であるという中野みつる君にえりかといつきを紹介しますが、
つぼみと親しそうないつきに対して露骨に対抗心を燃やすみつる君。
いつきは普段の男子用制服を着ているため、つぼみとの関係を邪推しての事ですが
当のつぼみやいつきは鈍感なのかその気持ちに気付かず、
色恋沙汰の話には敏感なえりかだけがみつる君の不機嫌な理由を察しました。
そして薫子さんも2人の姿に自身の初恋の事を思い出します。

えりかはかつての花咲家へ至る長い階段に音を上げながらも、
つぼみにみつる君との関係を訪ねます。
ただの幼馴染とは言うものの、みつる君はつぼみが困っている時、
―ポルナレフ頭のヤンキーにメンチ切られたり、
  運びきれないプリントを運んだり、おっかない猫に行く手を阻まれたり―
どこからともなく現れてつぼみを助けてくれていました。
そんなみつる君に、つぼみは引越しの日にお礼を言いたかったのですが、
結局みつる君は現れず。しかし車が走り出すと、ミラーに車を追って走るみつる君が映り
つぼみは身を乗り出して呼びかけますが結局言葉を交わす事叶わず、
そのままお別れになっていました。
話を聞いたいつきは、なかなか好感の持てる子だとみつるを評するものの、
なぜ睨まれていたのかが分からず、つぼみも同様です。
えりかだけがその理由に気付き、分からない2人に対して乾いた笑いを浮かべました。

ようやく辿り着いた花咲家は、しばらく人が住んでいなかったため所々ガタついており、
みんなで大掃除を始めます。廊下を雑巾がけするつぼみは勢い余って突き当たりにぶつかり、
はずみで大量の本が崩れ落ちてきました。辛くも本を避けたつぼみは、
本人挟まっている古い写真が目に留まり、そこに写る男性を見て驚きました。
いつも窮地に陥った時に助けてくれる謎の眼鏡の青年にそっくりの人物が写っており、
写真の人物が薫子さんの夫、空さんだと知りました。
祖父の写真を初めて見た事で、祖父の事をいろいろと聞きたいつぼみ、
出会いや馴れ初めを聞きたいえりか。2人を制するかと思いきや、
いつきまでもが異様に興味を示して薫子さんに往時の話を聞きたがります。

道着に身を包み、空手大会に向けて山篭りをしていた若き日の薫子さんは、
夜の淋しさに耐え切れず、暗い山道を下山していた折、
チェロの調べを耳にして音色が聞こえてくる山小屋へと向かいました。
薫子さんの好きな花、ラベンダーに囲まれた山小屋を覗くと、
一人チェロを奏でる眼鏡の青年の姿が。覗き込む薫子さんに気付き、
快く招きいれようとする青年―空さんに対し、演奏の邪魔をしてはと気遣う薫子さんですが、
聴いてくれる人がいると演奏も楽しいとの誘いに
『押忍。・・・いえ、はい・・・』
少女のような恥じらいを見せながら誘いに応じ、小屋の中へ入ります。
ラベンダーのお茶とスコーンで薫子さんをもてなす空さんが奏でるチェロの音色、
ランプの淡い灯りに照らされた山小屋の光景。
薫子さんの甘美な想い出が甦ります。
一人山小屋で自給自足の生活を送っているという空さん。
淋しくないのかと問う若き日の薫子さんに対して、素直に淋しいと答えるものの、
木や花や木の葉が友達であるとも答えます。
そして薫子さんにクローバーボックスオルゴールをプレゼントしました。
空さん手製のオルゴールを受け取る際、指が触れてそっと引っ込める薫子さんマジ乙女
それが出会い。そして薫子さんの初恋でした。
思い出話を語り終えた67歳の薫子さんは
あの時の指の感触を思い出すかのように、そっと手を撫でます。

その後薫子さんは空手大会で優勝した後、植物学の勉強に力を入れ、
空さんと親交を深めて行き、そして2人は結ばれて陽一さんが産まれました。
幸せな家庭が築かれつつある日、空さんはある約束をしました。
この山にラベンダー畑を作り、そこで奏でるチェロを薫子さんに聴いて貰う事。
そして・・・

続きを期待するえりかですが、そのまま黙ってしまう薫子さんに
その後何が起きたのか察しました。
それから程なくして、空さんは天に召された事を・・・
空さんが作ろうとしていたラベンダー畑はその後どうなったかわからず、
やがて陽一さんも結婚してつぼみが生まれ、薫子さんは年齢を重ねて行きますが、
その記憶の中の空さんはあの時の若い姿のまま。
そのため、今でも初めての出会いの頃のように空さんを慕っているのでした。

そして空さんの唯一の遺品であるチェロを取り出す薫子さん。
遺品といえばもう一つ、オルゴールがあった筈ですが、
それはつぼみが薫子さんから譲り受けたものの、
引越しの際に行方が分からなくなっていました。
初めてオルゴールと薫子さん、空さんの話を聞いたため、
オルゴールがいかに大事な物だったのか知り、涙ながらに謝るつぼみを、
祖母として、薫子さんは優しく慰めます。
あのオルゴールは誰かの心を癒している筈だ、と。
果たして、オルゴールはみつる君が持っていました。
つぼみへの想いを秘めた心を慰めるかのように、優しい音色を奏でながら。

サソリーナはどうやらホワワワワン♥の後遺症から回復したようです。
江ノ島を望む海岸に現れ、夏の海を満喫すべく結い上げた髪を下ろして
(このサソリーナ、美しすぎて改めて惚れ直しました)
素敵な夏の思い出を作ろうとしますが、あたり一面のカップルに腹を立てて
これも全てプリキュアのせいと八つ当たり。
今度こそ絶対に倒す、と美人が台無しの顔で気合を入れます。

オルゴールの調べに勇気を貰ったのか、意を決して花咲家を訪れるみつる君は、
これから午後の稽古で終わると遅くなる、と回りくどい理由をつけた後、
山で見つけたラベンダー畑に案内しようと誘います。
もしかして空さんが作った畑では?と薫子さんの心もざわめき、
みつる君の先導により、みんなで山道を行きます。
しかし、途中木の根っこにつまづいたつぼみをいつきが支える姿を見て、
再び嫉妬したみつる君は一人で先に行ってしまいました。
ラベンダー畑をきっかけにオルゴールを返そうと思っていたけれど・・・
一人思い悩むみつる君の前にサソリーナが現れ、
(既に髪をいつものように結い上げています)
変な人呼ばわりされたのに怒って(違)しおれた心の花に目をつけて
オルゴールとあわせてデザトリアン化。
山道に現れたデザトリアンに、みつる君がデザトリアンにされたと知って
3人は変身して立ち向かいます。

なぜかオルゴールから繰り出されるミサイルのような攻撃を
サンシャインは定番の守りの力、サンフラワープロテクションで防ぎきります。
続いて大砲のように繰り出される弾に驚きつつも受け止めるブロッサムとマリン。
良く見ると弾は花火になっており、導火線に火がついていて危ないですが、
『たーまやー!』
思いっ切り高く投げ飛ばす2人。湘南の海をスナッキーの顔のような花火が彩ります。
早速反撃体勢を整えたブロッサムとマリンでしたが、
オルゴールから奏でられる音色は強烈な眠気を誘い、マリンは耐え切れず眠りに落ちます。
耳を塞いで耐えるサンシャインとブロッサムの前で、
いつものようにデザトリアンの身の上話(笑)が始まりました。

つぼみの引越しの日、別れを悲しんで涙していたみつる君。
涙をつぼみに見せたくなかったのか、つぼみの前に姿を現せなかったみつる君は、
車からオルゴールが落ちるのに気付いて、
懸命に追いかけましたが、追いつく事はできませんでした。
『花咲ぃいー!!』
涙を流しながら叫ぶ声もつぼみには届かず。
みつる君とオルゴールの話を聞いたブロッサムでしたがオルゴールの音色に眠らされそうになり
(既にマリンは安らかな眠りの中です)
サンシャインはゴールドフォルテバーストを放ち、オルゴールの蓋を閉じて音色を止めます。

ウジウジ悩んでオルゴールを渡せなかった駄目な奴とこき下ろすサソリーナのおかげで
ブロッサムは、人は悩みながら成長していくのだと堪忍袋の緒を切って
ピンクフォルテウェーブでデザトリアンを浄化しました。
捨て台詞を残して撤退するサソリーナ。
見事心の花を取り戻したブロッサムとサンシャイン。
そして一人鼻提灯を膨らませて安眠しているマリン(笑)。

目を覚ましたみつる君は、つぼみに膝枕している事に気付き、
真っ赤になって飛び起きます。目を覚ました場所は、一面紫のラベンダーが咲き誇る
鎌倉というより富良野のような光景が広がる、かのラベンダー畑です。
意を決して、オルゴールを返すみつる君。
その指は、オルゴールを受け取るつぼみの指とそっと触れ合います。
涙を浮かべ、言葉に詰まりながら、みつる君はつぼみに何かを言いたそうですが、
言葉にならずにいると、その時オルゴールが鳴り始めました。
薫子さんの心の琴線も揺すぶる音色に勇気付けられたのか、
涙声ながら、しかしはっきりと、みつる君はつぼみに言いました。
『また会えるよな?』
『もちろんです!』
ラベンダー畑を後にする一同ですが、最後に薫子さんは振り返り
約束を守ってくれた空さんへの感謝の言葉と、
もう一つの約束をラベンダー畑に向けて語り掛けました。
『約束をありがとう、空さん。次はいつの日か、あなたのチェロを聞かせてくださいね。
 私はいつまでも、あなたを待っています』
ラベンダーの花言葉は「私は待っています」
再び彼岸へと帰っていく空さんの魂のように、白い蝶が空へと飛び立って行きました。


まず、何はともあれサソリーナが無事だったことを喜びたいと思います(笑)
前回の予告で髪を下ろしたサソリーナが登場した際、
思いつめた表情にも見えたので、雪辱戦に燃える真面目な展開の末に
敗れ去ってしまうのではないかと懸念したので、
いつもと変らない八つ当たりを理由にした出撃に安心しました。
しかし本文中でも触れましたが、髪を下ろしただけでここまで美しくなろうとは・・・
最初からこの状態で登場していれば、私の記事内での記述は
間違いなく「サソリーナ様」になっていた事でしょう(苦笑)

美しいといえば、同じく予告で描かれた若き日の薫子さんの美しさも目を惹きます。
かつてほのかの祖母、雪城さなえさんも幼少時の可愛らしい姿を見せてくれましたが、
成人した大人の女性の姿は後姿しか見ることが出来ませんでした
その点、空さんと出会ったばかりのあどけなさを残す姿、
勉強に励む姿、交際中の姿、そして家庭を築いた後の姿と、
年を重ねていく薫子さんの姿は一人の女性の人生を垣間見たような余韻を感じます。

ところで、このために薫子さんがキュアフラワーとして活動したのはいつだったのか、
そして空さんと時折現れる眼鏡の青年との関係、コッペ様の存在と、
かえって謎が深まる展開になり、この点も今後興味を惹きそうです。
心の大樹の研究をしている時に選ばれたという設定でしたので、
空さんとの交際時だったのか、それともその後の、陽一さんが誕生後という
史上初の子持ちプリキュアだったのか。
天に召された空さんがコッペ様に転生したようにも思えるので、
果たしてこれらの謎が解明されるのか、期待したいと思います。

プリキュアシリーズで過去の出来事に話が及ぶエピソードは、
いずれも優しい語り口や、故人の想いに触れて前向きになる、等印象深いもの揃いで
今回も演出や展開が優れていると思います。
キーポイントとなるラベンダーは花咲家にも植えられており、
ラストのラベンダー畑との両方の場面で花の間を飛んでいる白い蝶は
これはお盆で還って来ている空さんの魂を象徴しているように感じられました。
薫子さんの過去の想い出も、古いフィルムを見ているような画面に雨が振る演出が成され、
甘美な想い出を表現するに相応しいと感じました。
空さんの事を思い出しつつも、薫子さんはその想い出に縛られるような人ではありません。
しかしそれでも、記憶の中の若いままの空さんと、
老いた自分の皺が走る手を見比べてしまうあたり、
薫子さんのような強さと包容力を持つ人でもどうにもならない
年月の重みという残酷な一面を垣間見た気がしました。

今回のデザトリアン要員であるみつる君。
つぼみに分かりやすい片想いを抱いている彼の悩みは、
オルゴールを返せ無かった事だけにされていますが、
本当はつぼみに想いを打ち明けられない事、つぼみと離れる事の残念な気持ちなど、
さまざまな悩みがある事でしょう。
あえてオルゴールを返せなかった事だけを悔やむ描写にされているのは、
彼の境遇を案じての事だと考えました。
この帰省が終われば、再びつぼみは希望が花に帰ってしまいます。
そうすると、つぼみへの想いをデザトリアンに打ち明けてさせてしまっては
中学生には辛い遠距離恋愛をさせる事になってしまいますし、
つぼみと離れたくないと言わせてしまっては、逆につぼみが後ろ髪を引かれてしまいます。
だからこそ、未練を抱きつつも「また会えるよな?」で締めくくる展開は、
いつか再会できると思わせる清々しい展開になったと思います。
ところで、いつきに対する誤解は解いていったのでしょうか?
こちらも解決していった方が後々のためになりそうですが・・・

それ以外にもクローバーボックスを思わせるデザインのオルゴール
SSの世界観を思わせる鎌倉の光景など、ファンサービスのように見える場面。
一人眠り続けているマリンなど楽しめる一面も多く、
個人的に好きなエピソードの一つとなりそうです。
誰も管理していなかったラベンダー畑が見事すぎる、という突っ込みどころもありますが・・・
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