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スプラッシュスター第42話『お帰りなさい!満と薫!!』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

―なみだは人間の作るいちばん小さな海です    「人魚姫」より―
あの日あの時、大空の木の下で流した悲しみの涙。
そして今回、咲と舞が流す涙。
人はどのような時に泣き、どのような時に涙を流すのでしょうか。
奇蹟を自らの手で手繰り寄せ、ついにこの日がやってきました。
お帰りなさい、満と薫。そしてさようならカレッチ(笑)
 
前回の続き、フィーリアの提案で緑の郷へ向かおうとするものの、
キャラフェを奪われた今、道は開けません。
代わりにフィーリアが光を集めて道を切り開くと
いつものように吸い寄せられて大空の木から放り出されて戻ってきます。
しかし途中ではぐれてしまったのか、その周囲に肝心の王女の姿はありません。
咲と舞、フラッピたちは辺りを探し回りますが見当たらず・・・
その頃パンパカパンの店頭で丸くなっていたコロネの元に
なにやら光が迫ってきます。キントレスキーの時とは異なり、
コロネは牙を剥くことも無く
その光を迎え入れました。
一転して深い闇の底、ダークフォールでは、新築したマイホーム
ゴーヤーンはいつものように嫌味な口調で満と薫に語りかけます。
このままずっと目覚めないんでしょうねぇ・・・と。

泉を取り戻したというのに、これからどうすればいいのか弱気になる舞。
その手を取り、咲は今までもこうして頑張ってきたと励まします。
舞も咲に元気付けられて手を握り返し、
フラッピ、チョッピ、ムープ、フープも一緒に手を添えて、みんなで頑張りあう事を誓いました。
自室に帰った咲はフラッピ達と地図を見て王女の行方を案じています。
そこに入ってくるコロネにフラッピはネコの手も借りたい所だと漏らしたところ・・・
『手というか、前足だがな』
突然後ろ足で建ち、渋い美声で喋り始めるコロネに皆あっけに取られています。
『フィーリア王女の事なら、心配しなくても大丈夫だ』
いきなりコロネにそんな事言われても・・・安堵よりも驚きの方が大きいのか
咲たちは二の句が継げません。

アクダイカーンの前に勢ぞろいした再生幹部達を前に自信たっぷりのゴーヤーン。
しかしアクダイカーンはフィーリアを捕らえていない事、その行方を知らない事を追求し、
ゴーヤーンを叱責して、即刻王女を捕らえるよう命じました。
その威圧感に震え上がるゴーヤーンが抱えるキャラフェには、
まだ少し、泉の郷の生命の力と滅びの闇の力が合わさった中身が残っています。

大空の木の下で、王女はここにいる、と自分の体内を指し示すコロネ。
その体からは確かにフィーリアの声が響いてきます。
緑の郷への道を開いたことで力を使い果たし、姿を保てなくなったフィーリアが宿った事で
コロネは喋ったり二足歩行を身に着けました。
フィーリアが元の姿に戻るには、やはりキャラフェを奪還する必要がありますが、
真面目な話の途中で、咲は二本足で立つコロネの姿に笑いを堪えられません。
『笑ってる場合じゃないぞ、咲。事は急を要するんだからな』
猫に正論で注意される咲は、コロネは5歳のくせに、と不満そうですが、
猫の5歳は人間の40歳相当です。
『大人の忠告はきちんと聞かなきゃいかん』
咲と舞を見守る大人のように、コロネは貫禄充分です。

と、気配を感じて起き上がるコロネ。黒い旋風と共に現れるのは・・・
『あなたは!』
『カレーパン!』
『そう、中辛がおすすめ・・・カレハーンだ!』
咲のボケに見事なノリツッコミを見せるカレッチの今回のパートナーは、
地を割って登場するドロドロン、でっす!
王女の行方を尋ねるものの、やっぱり仲が悪いカレッチとドロドロン、
というよりカレッチがドロドロンに対して冷たいのですが、
カレッチとドロドロンが言い合っている間にブルーム、イーグレットへと変身する2人。

しかし滅びの力と泉の郷の力を得ている復活幹部達は強力な力を持っており、
普通の精霊の力では対抗できません。
カレッチに、ドロドロンにあっさりと跳ね飛ばされるブルーム、イーグレットを援護すべく
ムープとフープは月の力と風の力を送りますが・・・
いつもなら磐石の力も通用せず、イーグレットの蹴りはカレッチに軽々あしらわれ
ブルームはドロドロンの「大きな手!」に張り倒されました。
1%も勝つ可能性は無いと言い放つカレッチは改めて王女の居場所を尋ねますが、
当然プリキュア2人が教える筈はありません。
業を煮やしたドロドロンは得意の網で2人の両手の自由を奪います。

2人のピンチに思わず飛び出すコロネを、フィーリアは危険だと制しますが
コロネの熱い思いは止められません。
咲に助けられなかったら今の俺は無い!だから咲を助けたいんだ。咲のためなら何でもやる!』
啖呵を切るコロネにムープ、フープも同調し、フィーリアも協力します。
『やろう。1%でも可能性があるなら!』
なんというかっこいいぬこでしょう。コロネにみんなの力が集められていく最中も、
ドロドロンに締め上げられている2人の危機は変わりません。

『この網はー 強いですー そう簡単には 切れませんー♪』
ノリノリに唄いながら締め上げるドロドロンによって苦戦している様を眺めながら
ゴーヤーンはマイホームでお茶を飲み、
その傍らのキャラフェに注意を払っていない程、すっかりご満悦です。
フィーリアは大空の木を通してコロネ、ムープ、フープの力をキャラフェに送り込み、
僅かに残っていた中身の液体は、生命の輝きのような2個の球に変りました。
そして倒れたキャラフェから転げ落ちる球は満と薫が眠る場所へ転がっていきますが、
あと少しのところで岩場に引っかかり、それ以上先に落ちません。
その最中にもドロドロンに動きを封じられ、カレッチに諦めろと言われる2人ですが、
声を揃えて同時に言い放って立ち上がります。
『絶対に諦めない!』

『咲の、声・・・』
『舞の、声・・・』
ブルームとイーグレットの、絶対に諦めないという声を聞いて
満と薫はぼんやりと意識を取り戻しました。
『ここは、どこ・・・』
『私達、消えたんじゃなかったの・・・?』
何とか網を切って脱出したブルームとイーグレットに枯葉攻撃が迫り、
辛うじて身をかわしすものの、今度はドロドロンの巨体が迫ります。
必死に戦う2人の声を聞いて、ブルームとイーグレット、咲と舞の声を確信した満と薫は
体を動かそうと気力を振り絞りますが、意思に反して体は全く動きません。
それでも、絶対に諦めなかった咲と舞の姿を思い出し、
頼まれもしないのに誰かのために頑張っている姿を思い描く満と薫は
咲と舞に倣って諦めずに立ち上がる意志を強く持ちました。

『満、私諦めたくない』
『私もよ。もう一度2人に・・・』
『2人に会いたい』
互いを横目で見つめて頷き、懸命に気力を振り絞る満と薫。
その間にもカレッチの枯葉が、ドロドロンの「大きな手」がプリキュアを容赦なく痛めています。
その時コロネ、フィーリア、ムープ、フープ、
そして満と薫の懸命の想いが奇蹟を起こしました。
岩場に留まっていた2つの光の球が再び転がりはじめ、深い闇の底の満薫へと届きます。
手を繋ぐブルームとイーグレットに呼応するように、手を繋ぐ満と薫。
胸元のペンダントに吸い寄せられる光と共に、ついに立ち上がりました。
満と薫が沈んでいた水面が騒がしいことにようやく気が付いたゴーヤーンは、
次の瞬間、渦巻く水から現れた満と薫を見て愕然としました。
空っぽになっているキャラフェにも気が付きますが、後の祭りです。
ゴーヤーンを一瞥し、満と薫は咲と舞の元へと一直線に飛んで行きました。

倒れたブルームとイーグレットに、カレッチとドロドロンのとどめの一撃が振るわれ
思わず目を閉じる2人。しかし枯葉と網は2つの光弾に阻止されました。
立ち上る土煙が晴れ、現れる2人の後姿を見て感極まるブルームとイーグレット。
プリキュアを庇うように立ち、振り返った2人はまさしく満と薫です。
しかし満と薫は複雑な気持ちを抱えています。
カレッチからアクダイカーンに生み出された恩を忘れたと指摘され、目を伏せる満と薫。
しかし生み出された恩を感じ、命令に背いた事に胸を痛めつつも、
咲と舞と一緒に美しい姿を取り戻した空の泉を見たいという望みを口にして、
裏切り者と罵られても、自分の心に嘘をつかない、とカレッチと戦う事を決意します。

プリキュアをねじ伏せたカレッチの攻撃は、
同じ力で甦った満と薫には通用しません。
驚くカレッチに追い打ちをかけるように、力を合わせて放つ赤い光を放つ満と薫。
とっさに逃げるドロドロンと、受け止めようとしたカレッチ。これが2人の命運を分けました。
赤い光を受けたカレッチからは新たな力が消え、
その隙にブルームとイーグレットはスパイラルハートスプラッシュを放ちます。

『ドロドロン、いいな?』『合点だ!』
『行け!』『退け!』
突撃しようとしたカレッチですが、退散したドロドロンに呆気に取られ、
ドロドロンを振り返ったカレッチは既にスパイラルハートスプラッシュの射程の中でした。
『こういう時は前進だろうが!』
『逃げるが勝ちだね~』
『ドロドロン貴様ぁ!』
こうしてカレッチはドロドロンへの恨み節を残して2度目の敗北を喫したのでした。
そしてドロドロンは、僕のせいじゃないもんね、と他人事のように撤退していきます。

改めて満と薫に向き合った咲と舞は、感極まっています。
対して満と薫は相変わらずの無表情ですが、それが彼女達らしいです。
舞の目から涙が流れ、それを見た咲も同じく涙を流しました。
『どうしたの?』
『どうして泣くの?』
不思議そうに訊ねる満と薫に、咲と舞は涙を流しながら笑顔で説明しました。
『涙はね、悲しい時だけに出るんじゃないんだよ』
『嬉しい時にも出るの』
その答えに微笑を浮かべる満と薫を、咲と舞は改めて迎えました。
『おかえりなさい・・・』
手を取り合う4人。その絆は固く結ばれています。


衝撃の退場から19話回想出演した海の家のエピソードから数えても17話、
後期エンディングに一瞬だけ登場するものの、満と薫が復活するまでは
実に長い時間を要しました。引っ張って待たせただけに、その復活は実に劇的です。
サブタイトルでネタバレしているものの、満と薫が立ち上がる場面は
演出や選曲とも相俟って素晴らしい効果を上げています。

「もう一度、二人に会いたい」と満と薫が立ち上がる、
ここから繋がる場面でバックに流れているのは、MHでここぞという時に流れていた「三人の絆」。
『タコカフェは私とアカネさんの宝物なの!!!』
『彼女らは、決して無力じゃありません!!この人たちは私が、守って見せます!!』
『ここで倒れるわけには行かないの!いろんな事があったんだもん!』
『でも、乗り越えてきたのよ!』『だから、あんたなんかに・・・』『今、ここで・・・』
『負けるわけにはいかないの!!』

この曲を聴くとMH数々の名場面、名台詞が甦ってくるだけに、
SSで久々にこの曲が使われるシチュエーションも相応しい物でした。
満と薫が命の光を受け取る事ができたのは結果として奇蹟と言えますが、
その奇蹟を手繰り寄せたのはコロネをはじめとしたみんなの協力と、
満と薫自身の、再び咲と舞に会いたいという想い、
その想いを呼び起こしたブルームとイーグレットの奮闘です。
奇蹟とは自分の力で起こしてこそ価値があると言います。
みんなが一丸となった結果起きた奇蹟は、
たとえご都合主義と言われたとしても、見る者に感動を与えてくれました。

復活して咲と舞と一緒にいる事を選んでも、満と薫からダークフォールへの、
アクダイカーンへの想いが消えていない事が、この2人の特徴でもあります。
アクダイカーンのしようとしている事は誤っていると気付いていても、
生み出してくれた恩義を忘れることが出来ない。
咲と舞を助けるためとはいえ、かつての同僚に裏切り者呼ばわりされ、
かつての同僚と戦う事に対しての複雑な気持ちもうかがえます。
今回復活した力の源も、泉の郷の力とゴーヤーンの滅びの力が混ざったもので、
それ故に「滅びの力」を留めている彼女達はこれから自己の存在と 世界の存在という板挟みに苦しむことになりますが、それは後の話で語ることにします。

もう一つ強烈な印象を残すのは、「喋るコロネ」でしょう。
初代シリーズでも「喋る忠太郎」がありましたが、この時は犬同士の会話のため、
なぎさやほのかが直接忠太郎の声を聞いたわけではありませんが、
コロネは咲や舞と完全に意志の疎通を行い、これからの戦いでも適切な助言を与える等、
大人として見守る姿が描かれます。
初代~MHにはアカネさん、5シリーズではココ、ナッツ、
フレッシュにはカオルちゃんと、親ではない大人視点から見守る存在がいましたが、
SSシリーズにはこれまでそういったキャラクターはいませんでした。
(ハートキャッチの薫子さんは身内なのでこの範疇に入れるべきか考えものですが・・・)
これからSSで繰り広げられる戦いは、全シリーズを通しても特に過酷なものですので、
見守る大人の存在が必要だったのかもしれませんが、
この意外性は面白かったと思います。
古い話になりますが、デンジマンのリーダーも犬でしたし・・・

劇的な展開だけでなく、カレッチとドロドロンが醸し出す空気も楽しめます。
緊迫した登場シーンにもかかわらず、カレーパン呼ばわりされて
うっかり中辛がオススメなどと口走るあたりはその最たるものですし、
以前より強烈になっているドロドロンのアドリブ満載の台詞も絶好調です。
「大きな手」というそのまんまのネーミングの張り手や、ノリノリの唄、
カレッチとの息の合わない素振りなど、カレッチとしては前回のモエルンバ同様、
相棒に恵まれなかったと少々気の毒になりました(笑)
例えばキントレスキーと組んだりしたら善戦したと思いますが・・・
オールスターズDX2ではアラクネアさんという
優れたパートナーに巡り合えたのでカレッチも本望でしょう。

ようやく戻ってきた満と薫ですが、平穏な生活を送るにはまだ険しい道が待ち受けています。
次回のダークフォールのターゲットはプリキュアではなく満と薫に向けられ、
キントレスキーとモエルンバによる容赦無い制裁が展開されますが・・・
SS史上屈指の名作と言われる43話のレビューはまた難産になりそうですが、
新たな視点で見返すことが出来ればと思います。
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コメント 2

sam

アクダイカン様! 踊るやつや歌うやつとは会いません!!!

カレッチ可哀想すぎる
by sam (2015-09-09 12:03) 

スティクス

>samさん
約一年前にコメントいただいたにもかかわらず、レスが遅くなり失礼いたしました。
確かに、生真面目さが仇となったカレッチかわいそうです(笑)
それでもドロドロンともども、キャラが立っていて救われたと思います。
by スティクス (2016-08-27 12:20) 

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