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スプラッシュスター第43話『夢じゃない!みんなのいる一日』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

満と薫にとって初めて訪れた安息の日々。しかし穏やかな時間は長く続かず・・・
滅びの力で生み出され、闇に生きた満と薫が
光に満ちた世界で生きるために通らなければならない厳しい試練が描かれます。
闇から光を見上げるかのような昇降口の光景、
壮絶な戦いが繰り広げられる黄昏の海岸といった印象的な背景に彩られた、
筋の通った正論よりも、筋が通っていない真っ直ぐな想いが胸を打つ、
SSのみならず全シリーズを通しても珠玉の一編です。
  
咲と舞はパンパカパンの店先で、改めて満と薫がいる日常を噛み締めています。
なぜ戻ってこられたのかは当の満と薫も解らないほど無我夢中だったのですが、
その理由を説明しようとしたコロネをさしおいて、その体内からフィーリアの声が響きました。
互いが互いを想う気持ち。その精霊の力も滅びの力も超えた強い力によって
満と薫は戻って来る事ができたようです。
ムープとフープもかつて言う事のできなかった、空の泉での出来事のお礼を言いながら
満と薫の周りを飛び回り、穏やかな日常が繰り広げられています。
そこにみのりが帰ってきた事に気付いた咲は、あの残酷な出来事を思い出しました。
あれ程慕っていた薫の存在がみのりの記憶から抜け落ちていた事を・・・
改めて初対面のようにみのりに薫たちを紹介する咲でしたが、杞憂に終わります。
みのりは薫をしっかりと覚えており、何事も無かったかのような素振りで
薫に読書感想文のアドバイスを求めました。
『私に聞いたら私の感想になってしまう。自分の言葉で書かなきゃだめよ』
少し戸惑いながらも、みのりのために適切な助言を贈る薫に、咲と舞も不思議そうです。

さて、今回出撃するのはキントレスキー&モエルンバのコンビ。
裏切り者の満と薫に制裁を与えるべく、最高のショーをご覧に入れると出撃して行きますが、
ノリの軽いモエルンバと生真面目なキントレスキーの組み合わせはどうなることやら・・・

学校でもずっと満と薫が居た事になっており、2人は教室に違和感無く溶け込んでいます。
しかし戻って来て早々、明日から期末テスト。
授業を受けていなかった満と薫のためにテスト範囲を教える咲と舞ですが、
肝心の咲がまるでわかっておらず、一緒に勉強しようと持ちかけました。
思わず顔を見合わせる満と薫。そのココロは・・・

『勉強なんて教えてくれなくても、一度教科書を読めば全部頭に入るのに』
『そもそも私達はテストなんてどうでもいい・・・』
暗い昇降口。満と薫は影に覆われた中で咲と舞の気遣いを思い出していました。
『でもあの2人はいつもああだった。私達の事をいつも心配して、必死になってくれて・・・
 あの2人を見ていたら、本当に帰ってきたんだって思った』
『そうだね・・・』
そこに満と薫を呼ぶ咲と舞の声が外から聞こえてきました。
暗い昇降口とは対照的に、眩いばかりの光あふれる世界にいる咲と舞。
咲と舞を見つめる満と薫の顔も、明るく照らされています。

咲の部屋での勉強会は、フラッピ達の世話要求があったり、
みのりが感想文を見せに来たりとその都度中断され、
ちっとも捗らないと嘆く咲ですが、ともかく楽しげな雰囲気が醸し出されていました。
その光景を遠くから覗き、4人の仲良さげな雰囲気に疑問を抱くキントレスキーは、
徹底的にこらしめる必要があると改めて決意を固めましす。

『今日は楽しかった・・・一緒にいると凄く気持ちが安らぐの。どうしてだろう?』
『わからない。でも、私もだよ』
満と薫は海岸沿いの道を帰る際にふと立ち止まり、
夕陽に照らされた静かな海岸を眺めながら、今日一日の出来事を振り返ります。
『ねえ薫。ずっとこのままでいられたらいいのにね・・・』
しかし満と薫のささやかな望みは、いつの間にか行く手に立ちはだかる
モエルンバの笑い声によって断ち切られ、
背後にはキントレスキーが威圧するように立っていました。
満と薫の危機を察して2本足で走っていくコロネ。
『コロネが走ってる・・・』
『意外と速いのね・・・』
それを見た咲と舞があまりに意外な光景に思わずボケてしまう程のインパクトですが、
満と薫が危ない、とコロネは真剣です。

道路を叩き割るキントレスキーのパンチを上空へと跳んで避ける満と薫。
飛び上がった2人の前にキントレスキーの制裁の一撃が振るわれ、
2人がかりで防ぐものの力負けして砂浜へと押し出されました。
着地した満にキントレスキーの蹴りが振るわれ、
気を取られた薫にはモエルンバの炎が迫ります。
『さあパーティはこれからだぜ、セニョリィイタ♪』

キントレスキーの攻撃を共に避けた2人。今度は薫にキントレスキーが迫ります。
『どうした?反撃してもいいんだぞ?』
必死にキントレスキーの攻撃を防いでいた薫は蹴り飛ばされ、
気を取られた満を背後から容赦無く襲うモエルンバの炎。
『勝負は勝負だ。私はいつでも全力で戦うつもりだ。例え相手が裏切り者であったとしてもだ』
倒れた2人は、迫るキントレスキーに言い返しませんが、
しかし間違えた事をしているとも思っていません。
アクダイカーンに恩義を感じているのに、アクダイカーンに逆らっている。
『お前達のしている事は、まるで筋が通っておらんではないか!』
キントレスキーの怒りの鉄拳はスタープラチナのような猛烈なラッシュとなって満と薫を襲います。
その間にも振るわれるモエルンバの炎に気を取られた隙を突かれて
キントレスキーに締め上げられる2人は(キントレさん俺と代われ)
キントレスキーの腕の中で苦痛に顔を歪め、
締め落とされたかのように力無く垂れ下がる満と薫の腕。しかし・・・

『確かに、筋は通っていないかもしれない・・・』
『だけど・・・私達は・・・』
キントレスキーの死角で光弾を作り、2人同時にキントレスキーに放ち、
2人力を合わせてキントレを弾き飛ばして高らかに宣言します。
『咲や舞と、ずっと一緒にいたい!』

海まで弾き飛ばされ、全身から水を滴らせながらもキントレスキーは満足そうです。
そしてモエルンバも追随。
キントレスキーの拳をいなし、鋭い回転蹴りを喰らわせるも、反撃に遭い倒れ伏す満。
モエルンバと空中での激戦を繰り広げるも、炎の綱に縛られ地に叩きつけられる薫。
それでも巻き起こる土煙の裏から赤い光弾を放ち応戦します。
が、キントレスキーとモエルンバには通用せず、
続けてカレッチを無力化した2人がかりの光を放つべく力を合わせますが、
力を溜めている隙を突いたモエルンバの炎、そしてキントレスキーの強烈な一撃に
ついに満と薫は力尽き、倒れ伏しました。

『アクダイカーン様を裏切った事を後悔しながら消滅するがいい』
キントレスキーのとどめの一撃が今まさに振るわれようとしています。
思わず目を閉じた満と薫ですが、咲と舞の呼ぶ声が聞こえたような気がしました。
瞼の裏に広がる闇に広がる光。それは咲と舞そのものです。
満と薫がはっとして目を開けたその時、キントレスキーにコロネが飛び掛り、
そして咲と舞も息を切らせて到着しました。
今回はブライト、ウィンディへと変身する2人。

変身直後から早速ムープとフープの月と風の力を得るプリキュア。
しかし精霊の力を無効化する力を得ている今のモエルンバとキントレスキーには全く通用せず
攻撃を防ぐブライトの光の壁も、ウィンディの風の力もあえなくかき消されて
立ち上がれない満と薫の前で一方的に叩きのめされます。
ズタボロにやられても決して諦めず、満と薫を守るべく体を張るブライトとウィンディに
容赦無く振るわれるキントレスキーの鉄拳。
『順番も守れんのか。いいだろう、望みどおりお前達の相手を先にしてやろう』
プリキュアへと照準を変えたキントレスキーに対し、
今度は満と薫がプリキュアを守るべく立ち上がります。
再び2人がかりの光の体勢に入りますが、先ほどと同じく振るわれるモエルンバの炎。
迫る炎を避けようともせず、満と薫を火柱が包み込みますが・・・

『どうして・・・?』
『敵わないとわかっているのに』
火柱の中では、満と薫に迫る炎を懸命に押しとどめるブライトとウィンディの姿がありました。
『私達、満さんと薫さんの事をずっと待ってた』
『もう二度と失いたくないから、二人は危ない時にはいつだって助けに来るよ』
感極まったように咲の名を、舞の名を呼ぶ満と薫。
一方火柱の向こうでは全てを焼き尽くすような火柱にすっかりご満悦のモエルンバ。
しかしキントレスキーは長年の経験と勘から何やら危機を予測し、
モエルンバに一旦退くよう忠告します。
が、慢心したか功を焦ったか、モエルンバはその忠告を無視して
とどめを刺すべく火柱に突っ込んで行きます。
その刹那、突如火柱が消えて赤い光の球を構える満と薫の姿が目に映り、焦るモエルンバ。
その光をまともに受けて力を失ったところ、満と薫の後ろでは
さらにブライトとウィンディがスパイラルスタースプラッシュの体勢で待ち構えていました。
『そんな・・・今度こそ燃え尽きちゃったぜセニョリィイタ・・・』
こうしてモエルンバは再び燃え尽きたのでした。
『奴らが力を合わせると、これほどまでとは・・・』
モエルンバの最期を見届け、キントレスキーもまた撤退していきます。

『咲、舞。本当の事言うと私、2人がきっと来てくれるような気がしていたの・・・』
『私もそう思ってた。どうしてなんだろう・・・』
非常に厳しい戦いが終わり、窮地を脱した満と薫の問いかけに対する
咲と舞の答えは単純明快でした。
『あたりまえだよ!』『だって私達・・・』
『友達だもん!』
その言葉に振り返る満と薫の顔は、明るい夕陽に照らされていました。

そして期末テストの答案が帰ってきます。
舞の85点には及ばないものの、咲は勉強の甲斐あって大健闘の78点。
ところで満と薫は・・・当然2人とも100点。
しかしこの点数は咲と舞に勉強を教えてもらったおかげと謙虚に返し、
素直にお礼を言う満と薫。
照れる咲と舞に、満と薫の心の底からの笑顔が向けられます。


初見でこのエピソードを見た時、あまりにも見事で濃密なアクションシーンに目を奪われました。
久々の再見でもその強い印象は変わらず、
プリキュア史上でも5本の指に入るであろうアクションには手に汗を握ります。
精霊の力などの力を借りていない満と薫の戦いぶりは、光弾を放つ事もありますが
徒手空拳の戦いが基本となるだけに、攻撃を受けた時の描写も痛々しく
本来のターゲットである女児層には少々刺激が強かったかもしれません。
武器があるわけでも、手を繋ぐことで発揮される必殺技があるわけでもなく、
さらに主人公でもない事から、必ず逆転勝利が待っているという安心感も無く、
それ故に観る側も緊張感が途切れません。
そのハイレベルなバトルシーンの中でも、キントレスキーの拳をいなして蹴りを叩き込み、
続く攻撃に備えてガードするも、ガードを上回る攻撃を受けて倒れる満。
モエルンバとの激しい空中戦の途中で縛り付けられ、地に叩きつけられる薫。
特に目を惹くこの一連の動きを劇場版アニメではなく
毎週放映のエピソードで作り上げたスタッフの皆様には最大限の敬意を払いたいと思います。

ともすれば満と薫が咲と舞を食ってしまっているとも見受けられますが、
それでも咲と舞が主人公である事には変わりありません。
これほど前面に描かれ、激しいアクションを繰り広げても、
満と薫はあくまで「アシスト」として描かれています。
精霊の力が通じないために苦戦を余儀なくされるプリキュアを庇うように立ち上がりますが、
その満と薫が再びブライトとウィンディに守られ、
モエルンバの力を消し去るものの、倒すのはプリキュア自身です。

アクションの中にも満と薫の微妙な心理や、キントレスキーとモエルンバの
敵としてのキャラクターを描き出す構成も見事です。
裏切り者であるという負い目からか、反撃をせずに攻撃を受け続けた満と薫。
しかし反撃に転ずる際に口にするのは、
アクダイカーンやダークフォールが間違っているといった言葉ではなく、
ただ咲と舞と一緒にいたいという理由でした。
しかし、そのためにかつての仲間とも言うべき2人へ立ち向かう迷いも伺えます。
光弾を放った後に満と薫が見せる表情は「やったか・・・?」というよりも
「やってしまったか・・・?」と解釈する事ができる、実に複雑なものでした。
舞台が晩秋ということもあり、美しい夕陽に彩られる戦いも
時に影を長く伸ばし、時に濃く影を作ります。
倒れた満と薫にとどめを刺すべく立ちはだかるキントレスキーは
逆光のためどんな表情をしているのか伺えません。
それはキントレスキーではなく、満と薫が生きてきた
「闇」そのものを象徴しているように思えました。。
だからこそ、その直後に2人の脳裏をよぎる咲と舞が「光」そのもののように描かれ、
好対照であると共に、闇から光へと向かっている満と薫を暗に現しているように思います。
そして火柱の中での場面では、満も薫も「ブライト」「ウィンディ」とは呼ばず、
「咲」「舞」と呼んでいます。
『プリキュアである前に日向咲!』
かつて敵同士として相対した時、ブルームではなく咲として呼びかけた言葉
あの時は応じる事ができなかった満と薫が、
咲と舞を真に友達として、仲間として受け止めたのだと思いました。

「光と闇」
プリキュアシリーズでも随所に効果的に使われる演出は、
今回も昇降口のシーンで印象的に用いられていました。
満と薫がいる昇降口の暗がりは、不自然なほど暗く描かれています。
ほんの少し差す光が満と薫の表情に複雑な影を作り、揺れる思いを表すと共に
外から呼びかける咲と舞は眩いばかりの光の中にいます。
その直後、影がかかっていた満と薫の顔が光に照らされ、
ここでも闇から光へと、2人が明確に生まれ変わったと感じさせます。
生まれ変わる、自分を変えるとは、変わる痛みを乗り越えた先にあるものです。
今回の満と薫を襲った展開もしかり、
イース様がパッションへと生まれ変わる際の肉体的、精神的な痛みもそうでした。
暖かい家族を得たせつなが流した涙
今回のラストで満と薫が見せる柔らかな笑顔。
いずれも今後、辛い経験を超えて幸せになれると思わせるものでした。
もっとも、満と薫が真に平穏な人生を送るには最終回まで待たなければなりませんが・・・

満と薫がはっきり「変わった」と思わせる描写もあります。
みのりに対する薫の態度は以前よりも丸く、優しくなっており、
かつての突き放すようなアドバイス(みのりにはよい結果になりましたが)ではありません。
100点を取ったのも明らかに満と薫の高すぎる能力だと思いますが、
咲と舞に勉強を教えてもらったおかげと素直にお礼を言えるようにもなっていました。

一方で、2本足で走るコロネと、見事なボケを見せる咲と舞。
ジョジョファンへのサービスとしか思えない、かつて承太郎を演じた小杉十郎太さんによる
キントレスキーの「オラオラオラオラオラオラ!!」
難波圭一さんがかつて演じたダイの大冒険のポップが原作で襲われた
(アニメではありませんでしたが)キルバーンの「ダイヤの9」のような火柱の描写。
同じく難波さんが演じたZガンダムのカツの最期そのままに忠告を無視してやられるモエルンバ。
など、意図したのか偶然なのか、小ネタも楽しめます。

さて、ラストで笑顔を見せた満と薫ですが、次回は再び悩まされる展開に
滅びの力と泉の郷の力。相反するものによって復活した2人の
どちらかの力が消える事は2人の存在そのものが危うくなり・・・
すでにこの物語の結末を知っていても、願わくば早くこの2人に安息を与えてあげたい。
今回の再見と次回予告で、改めてそう感じました。
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