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スプラッシュスター第44話『二人が消える?苦しみの満と薫』 [ふたりはプリキュアSprash Star]

前回のラストで少女らしい自然な笑顔を見せた満と薫ですが、茨の道はまだまだ続きます。
楽しい動物園散策になるはずが、満と薫の存在そのものが揺らぐ事実に
終始影を漂わせる2人。その衝撃は咲と舞にも影響を及ぼし、
動物園が舞台にも関わらず非常に重いストーリーが展開される一編です。
それを中和するドロドロンとミズ・シタターレ姐さんによる
ノリノリの漫才が無かったらどれ程重い話になった事でしょうか・・・
  
動物園へ向かうバスの車内。
みのりはバナナやおやつ等を楽しげに薫に見せびらかしていますが、
みのりを挟んで座る満と薫は、いままでのように無表情です。
話を聞いていないとむくれるみのりを注意しながらなだめる咲。
動物のスケッチが目的というみのりに、舞は描きたい動物を描くといいとアドバイスします。
しばし日向姉妹の賑やかなやり取りが繰り広げられますが、
舞は満と薫の様子がおかしい事に気が付きました。

バスが到着すると待ちきれないように薫の手を引いて入り口へむかうみのり。
その後をついていく咲、舞、満に、売店のおばさ・・・お姉さんが目線を向けます。
それは言うまでも無くミズ・シタターレ姐さんで、その売店にドロドロンも姿を現しました。
『あのぉーポップコーン一つ下さぁい』『売り切れよ』
『うそだね!いっぱいあるじゃんかぁ!』『お前に売るポップコーンは無い!』
『しょぼぼ~ん・・・』
・・・健太と宮迫のやり取りより数倍面白いこの2人、
相変わらず自分主導で進めようとするシタターレ姐さんと、
従う気が無いドロドロン。どうなることやら、先が思いやられます。

小動物とのふれあい広場のような場所ではしゃぐ日向姉妹を、
どこか悲しそうな目で見つめる満と薫が、舞は改めて気になります。
丁度フラッピとチョッピがお世話を要請した事で咲と2人その場を外し、
一通り世話を終えた後で、舞は咲に2人の様子がおかしいと相談しました。

満と薫はみのりと共にサル山を眺めており、咲と舞が合流した時、
丁度サル山では猿同士のケンカが繰り広げられていました。
心配するみのりに、舞は今怒ったのがボス猿で、
ボス猿は群れの猿にとってお父さんのようなものであり、
群れのサル達は家族みたいなものだと説明しますが、
「お父さん」「家族みたいなもの」という単語が満と薫の心に突き刺さります。
自分達の生みの親であるアクダイカーンを、
共に過ごしたダークフォールの幹部達を思い浮かべてしまった2人。
猿の絵を描くとはしゃぐみのりを挟んで顔を見合わせる満と薫の表情は苦悩に満ちています。
それを心配した咲と舞に、別に・・・と告げて立去る満と薫。
そのやり取りを、サル山の飼育員に扮したシタターレ姐さんとドロドロンが見上げていますが・・・
姐さんはともかくドロドロンはかなり無理があります。
しかし首にかけたタオルが妙に似合っており、まるでかみ合っていない
姐さんとドロドロンのやり取りも含めて何ともいえないインパクトを与えます。

『何考えてるの?』
『別に・・・満は?』
『私は・・・』
満が思い出すのは、先日咲の家からの帰り道での出来事でした。
不吉なものを暗示するかのように、黄昏の空に飛び立つ鳥の群れ。
咲の家を辞した満と薫に、コロネの体内からフィーリアが呼びかけます。
緑の郷への想いと、ダークフォールへの想いに悩んでいると
図星を突く言葉を満と薫も否定しません。
いつまでも咲や舞と一緒にいたいという気持ちと、
生みの親のアクダイカーンを裏切っている苦しさを口にする2人に理解を示しながらも、
フィーリアはまるで2人に試練を与えるが如く、厳しい現実を告げました。
泉の郷の力と、ダークフォールの滅びの力で甦ったため、
どちらかの力が消えてしまうと満と薫自身も消えてしまう恐れがある。
その言葉に、まるで心臓を握りつぶされたかのような衝撃を受ける2人。
『私達自身も・・・』
『消えてしまう・・・』
既に陽は完全に没し、闇に包まれる中、満と薫はすがるようにフィーリアに尋ねます。
『私達は、どうすればよいのですか?』
闇を照らす光のように街灯が点り、その灯りの中から語りかけるフィーリアにも
残念ながら答えは分かりません。しかし、一つ確かな助言を残します。
『自分の心に嘘をつかず、自分達の信じる道を進む事です』

象の檻を掃除しながら、咲と舞、満と薫が離れてしまっている事に目を留め
シタターレ姐さんは今がチャンスと攻撃を仕掛けます。
園内の蛇口から水が溢れ出し、水は雨のように動物園内に降り注ぎますが、
攻撃に移る前にはその際のドロドロンとの漫才もしっかりと忘れずに披露しました。
『今がチャンスよ!』
『何がザンス?』
『さいざんす・・・って、あんたは素直に言う事聞いてればいいの!』

雨のように水が降り注ぐ園内で合流した4人に高笑いが迫ります。
『あなたは!』
『確か、えっと・・・ハナミズタレ!』
『ミズ・シタターレよ!』
久々に繰り広げられるおなじみのやり取りでしたが、
名前を間違われた姐さんの怒りは裏切り者である満と薫に向けられます。
無数の水球が満と薫、そして咲と舞を襲い、
木陰に隠れてやり過ごした2人はブライト、ウィンディへと変身します。

巨大な泥団子となり、何やら怪しい歌を唄いながら転がり襲い掛かって来るドロドロンには
満と薫が立ち向かいました。ダブルプリキュアキック2人同時の跳び蹴りで
泥団子の中からドロドロンを叩き出します。
『ヤバ、意外な展開!』怯むドロドロンでしたが・・・
『吸うよぉ~、あドンドンドンドン吸っちゃうよぉ~♪』
満と薫の背後で周囲の泥を吸い始め、巨大な泥の腕が満と薫を叩きのめします。
満と薫を案じて駆けつけるブライトとウィンディを見下ろしながら、
どうだぁ、思い知ったかぁ?邪魔された事ね、僕絶対に許さないんだ。
 僕はね、こう見えて結構ナイーヴなんだよ。あの、
ちょwwwおまwww聞けよ!!
一人ブツブツ言って誰も聞いてない事に逆切れするドロドロン。
再び泥団子となって4人を襲い、さらに姐さんの水球が追い打ちをかけます。

『あのさ、どうしてプリキュアの味方をするの?僕達はもともと仲間じゃないか』
『満、薫。ワタクシ達はみんなアクダイカーン様のしもべなのよ。
 プリキュアと組めば何かが変わるとでも思ってるの!?』
ドロドロンの、シタターレ姐さんの言葉は満と薫の心を揺すり、
続けてダークフォールの滅びの力に影響を及ぼ事で
満と薫の消滅の可能性が語られるに至って、愕然とするブライトとウィンディ。
『消えるわけ無いでしょ!』
『ねぇ!?満さん!』
願うように声を上げる2人ですが、満も薫も答えられずに目を逸らした事で、
シタターレ姐さんの言葉を確信し、更なる衝撃に見舞われます。

ドロドロンなりに優しく説得していたつもりですが、満と薫に応じる意志が無いと知り、
泥団子の中から巨大化した肉体を現し、ビッグ・ドロドロンでっす!となって襲い掛かります。
その間にもブライトとウィンディは姐さんの巨大水球を受けて跳ね飛ばされ、
ドロドロンの回転攻撃の軌道上に倒れました。
走る満と薫、それぞれブライトを、ウィンディを抱きかかえて回転攻撃を避けるものの、
4人は精神的ショックが尾を引いているのか、たちまち劣勢に転じます。
満と薫はドロドロンの決まり手「はたき込み」を受けて倒れ、
ブライトとウィンディはドロドロンの首筋に登って精霊の力で攻撃を試みるものの
途中で先程の姐さんの言葉が頭から離れず、迷いは精霊の力の弱体化へと繋がります。
『どうして!どうして何も出来ないの?』
ドロドロンに叩き落され、どうしようもない想いをぶつける咲と舞。
そして満と薫にはシタターレ姐さんの強烈な一撃が振るわれました。

『このままじゃ、また・・・』
『あそこに戻ってしまう・・・』
満と薫は、走馬灯のように枯れ果てた泉の光景を思い浮かべます。
そして、敵として相対した際の咲と舞の言葉も。
『友達じゃ、ないわ!』『満が何て言っても、私は友達と思っているから!』
『アクダイカーン様の喜びは私達の喜び・・・』『じゃあどうしてそんな苦しそうな顔をしているの?』

なぜ本気で立ち向かわないのかを問う満と薫、
ダークフォールが無くなったら2人が消えるかも知れないと案ずるブライトとウィンディ。
4人は雨に打たれ、うなだれています。

『何を4人で下を向いていらっしゃるの?』
その光景に突っ込むようなドロドロン、そして滅びの力に従うよう迫るシタターレ姐さんに
満と薫は再び顔を見合わせて立ち上がりました。
『運命は変えられるって教えてくれたのは、あなた達じゃない』
『強い気持ちさえ持ち続ければ、いつかきっと願いは叶うって言ってくれたじゃない』
キャラフェを取り戻し、全ての泉を取り返せば運命も変わるかもしれない。
満と薫は、かつて勇気をくれたプリキュアに今度は私達が勇気をあげる番だと立ち上がります。
『私達は信じたい。プリキュアの力を』
『信じればきっと奇蹟だって起こせる』
ブライトも、ウィンディも満と薫の暖かい励ましに涙を浮かべ、
再び立ち上がる勇気を持ちました。

ムープが、フープが月と風の力をプリキュアに与え、
満と薫の赤い光が上空から巨体で押しつぶそうとするドロドロンを捕らえます。
『しゅーーーん。小っちゃっ!』
力が消えると同時に体がしぼむドロドロンに、
間髪を入れずスパイラルスタースプラッシュを放つブライトとウィンディ。
『怖ぇ!』
『みなさんさいなら!』
最期まで視聴者を笑わせてくれながら、こうしてドロドロンは再び土へと還りました。
そして姐さんも、今度はワタクシの名前をしっかり覚えて来なさいと言い残し撤退していきます。

帰りのバスの中で、描いた絵を披露するみのり。
猿の絵が描かれていますが、その顔は咲、舞、満、薫になっています。
しかも咲だけ大口開けてバナナを頬張る姿。
日向姉妹の微笑ましいやり取りを横目に、満は車窓の景色を眺めています。
その口元には往路では見られなかった微笑が浮かんでいました。


イース様ウエスターさん、サウラーと満、薫。
どちらも当初敵として登場し、後にプリキュアの味方となりますが、
仲間になった後も満と薫を襲う苦悩は最終決戦の時まで晴れません。
ラビリンス組ももちろん裏切った事への負い目がありましたが、
満と薫は負い目に加えてプリキュア側が勝利してもダークフォール側が勝利しても、
自らの存在が消えるかもしれないという、少女に背負わせるには重い命題が明らかになります。
この問題に悩む2人と、それを気遣う咲、舞という構図のため
動物園という舞台や、ドロドロンとシタターレ姐さんの漫才は
冒頭で触れたように重過ぎる展開を和らげるために意図的に盛りこまれたのかもしれません。

2人の心境を表す演出や描写も特徴的です。
フィーリアの言葉を聞く回想場面の始まりで飛び立つ鳥の群れ、
徐々に陽が傾き暗くなる背景。そして消滅の危険を告げられた時には完全に陽が落ち、
満と薫は完全に闇の中にいるように描かれます。
直後灯る街灯は、微かな光明が見出せるフィーリアの言葉を象徴しているようで、
伝統の「光と影」の効果的な使い方は評価したいです。

かつて咲と舞からもらった勇気、運命は変えられるという言葉をバネに
満と薫が再び立ち上がる一連の場面は重く暗い展開が続いただけに、胸を打ちます。
二度と枯れ果てた泉に戻りたくないという気持ち、
運命は変えられるという言葉を受け継ぎ、
それを打ちひしがれたブライト、ウィンディに自分達の言葉に、自分達がお返しに勇気を与える。
私個人の過去の話になりますが、かつてメンタルの問題からしばらく休職した経験があります。
今思い返すと働かずに傷病手当金で暮らす事のできる日々でしたが、
もう二度とそのような状態には戻りたくありません。
その際私を再び受け入れてくれた会社に恩返しをしたい。
今回の満と薫が自分自身の姿と重なり、改めて「死んでいない」ではなく
「生きている」事の素晴らしさを実感した次第です。

少々横道に逸れてしまい、かつ堅い内容になってしまったので少し砕きますが・・・
シタターレ姐さんとドロドロンの掛け合い、ドロドロンの妙な台詞の数々は、
どこまでが台本でどこからがアドリブだったのか、実際の台本を見てみたいものです。
もともとドロドロンは岩田光央さんのアドリブだらけの怪演が光っていましたが、
復活後の2度の登場はさらに磨きがかかり、舞役の榎本さんをして
「笑ってしまって倒すのが一番大変だった」と言わしめただけの事はあります。
あまりに面白いために本文中にも多々そのまま記述してしまいましたが、
文字に起こすとその面白さが半分も伝わらない気がするのが残念です。
そしてシタターレ姐さんの松井さんもこの手のアドリブや掛け合いが上手いので、
次回でもキントレスキーとの最初で最後の夫婦漫才で花道を飾ってくれました。
これはまた次の話で触れたいと思います。

またバスの行き先が
「日向崎(ひゅうがさき)経由美岳(みしょう)動物園」だったりする遊び心や、
「カレーわしわし♥」とカレーをかき込むフラッピとチョッピの愛らしさといった
細かい描写にも目を惹く点が多くありました。
そして今回の舞の服の可愛さは特筆モノです。
誕生日に両親から贈られた白いコートを羽織り、
隠れタイツフェチ(すみません)の私を狂喜させる白いブーツとのコーディネートは
今回一話限りの登場なのが本当に惜しいです。
最も次回は4人そろってサンタコスチューム&タイツを披露しますので、
隠れタイツフェチ(本当にすみません)冥利に尽きる話ですが・・・

SSもとうとう次回が最後の日常エピソードとなります。
残念ながら間もなく咲と舞、満と薫の活躍が終わってしまいますが、
いろいろと勇気を与え、生を肯定する作品ですので、
そこから得るものを人生の糧として、残り少なくなったエピソードを見返して行きたいと思います。
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