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ハートキャッチ第36話『みんなが主役!わたしたちのステージです!!』 [ハートキャッチプリキュア]

ハートキャッチが始まって8ヵ月余、今まで観続けて本当に良かったと
心からそう思える程、観終えた後の充実感がある見事な一編でした。
えりかとつぼみにとって、年間の学校行事最大のイベントである
学園祭のファッションショーに向けての活動の集大成。
ハートキャッチオールスターズとも言うべき大勢の登場人物が彩り、
みんなで一つの物を創り上げた後の一体感を描き出す、学園祭後編エピソードです。
  
いよいよ始まった明堂祭は大賑わいです。
出し物、出店はどこも盛況で、おもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさ。
しかし、軽音楽部はライヴのリハーサルを始めようとしたところ
肝心のボーカル二人組、彩と真由は本番を前にして怖気づいていました。
一方ファッション部も最終チェックに大忙しです。
慌しく、しかし着実に進む準備作業の中、つぼみだけが一人異様にテンパって転倒し、
緊張のために動いていないと倒れそうだと弁解します。
『ここまで来たらやるだけっしょ!緊張なんてするだけ損損!』
前回あれだけテンパっていたえりかは、本番に強い性格のようです。
その脳天気ぶりを羨むいつきともも姉。そしてつぼみも羨みながら、なかなか落ち着きません。
『(人事を尽くして天命を待つといいますが、ドキドキですぅ・・・)』

つぼみとえりかはファッションショーの準備だけでなく、クラスの出し物である
大正浪漫喫茶にも袴とブーツの給仕さんスタイルで参加しています。
つぼみがコーヒーと紅茶を提供したお客様は花咲夫妻と来海夫妻。
娘の晴れ舞台を見に店を閉めて来ており、
両親が来るとは思わなかったのか二人ともうろたえます。
そこに午後のプログラムを持って現れたいつきも
大正浪漫喫茶でお茶を飲む明堂院一家を見て狼狽しますが、
『精一杯頑張ってよね』
さつきお兄様はそんないつきを優しく励まします。
以前の「イース!」といい、お兄様はせつなファンでしょうか・・・)

午後のプログラムに目を通すと、軽音楽部のライヴの後にファッションショーという流れですが
その位置は大トリだと知ってつぼみとえりかは一瞬笑顔を浮かべた後、
目を血走らせて絶叫しました。
『エェ(;゜Д゜)ェエ!』
しかし準備が整ったステージを前にすると、ガチガチのつぼみとは裏腹に
えりかは何が何でもファッションショーを成功させると俄然やる気が出てきます。
炎をバックに手を取り合い、熱い誓いを立てるえりかといつき
触発されたつぼみも目に炎が宿りました。
しかしえりかは、軽音楽部が毎年恒例のトリを奪われて
嫌な想いをしているのではないかと気遣い、
丁度軽音楽部の部室にプログラムの説明に行くいつきに同行します。

ところが軽音楽部の部室では何やら言い争う声が。
いつきが扉を開くと、土下座までして頼み込むバンドメンバーの男子と、
頭を下げて謝る彩、真由の姿がありました。
丁度いつきが扉を開けたため、そこから逃げ出してしまう2人のボーカリスト。
バンドメンバーによると、もも姉出演のファッションショーが注目されているため
大勢の観客が集まった事に恐れをなしているとの事。
えりかはファッション部長として迷惑を掛けているのではないかと謝りますが、
バンドメンバー達はむしろ観客が多いのは良い事だと考えていました。
そして彩と真由と一緒にステージで魂を燃やす事に賭けているその情熱に
つぼみ、えりか、いつきも協力を惜しみません。

その頃砂漠の国では・・・
マッサージさせながら、コブラージャさんはスナッキーが持ち帰った学園祭のチラシを見ていました。
そして、そんなものより僕の美しい姿を見せてあげた方がみんなも喜ぶ、
と相変わらず妙な理由で出撃を決め、馬鹿笑い高笑いが砂漠の国に響き渡ります。

彩と真由は、追って来たバンドメンバーを振り切って逃げてしまいますが、
その際に掛けられた言葉が頭から離れません。
『俺達、ステージで待ってるから!ずっと待ってるからな!』
悩む2人に、本当にこのままでいいのか、後悔しないのかと訊ねるえりかは
一人じゃないんだから大丈夫と励まします。
つぼみも先ほどまで本番にビビっていただけに、彩と真由の心境に理解を示しつつ、
信じて支えてくれる仲間がいるから大丈夫だと、
そしていつきの軽音楽部のみんなも彩と真由を信じているとの声に、
2人の心は揺れ動きます。
ステージでは間もなく演奏が始まる時間。
ボーカル2人がいないまま無念の演奏を始める事になるかと思いきや、
えりかに背を押されて彩と真由がステージへと立ちました。
意気揚々と演奏を始めるバンドメンバー達。
しかし彩と真由は・・・
『やっぱり、無理!』
目の前の大勢の観客に気圧されてしまい、歌い出す事が出来ません。

『だったらこのステージ、この僕が頂くよ!』
突然照明が落ち、灯るスポットライトを浴びて登場するコブラージャさんは
気持ち良さそうに歌い始めます。
『僕の美しぃ~さにぃ~♪ひれ伏すぅ~のさぁ~♪人間たちよぉ~♪』
せっかくのお美しいコブラージャさんの歌声は客席からの野次で中断され、
怒ったコブラージャさんは彩と真由の心の花が弱っている事に目をつけて
2人同時に抽出。マイク、アンプと合わせてデザトリアンを生み出しました。
ステージに現れたデザトリアンに、
舞台袖に駆けつけたゆりと共に4人で変身して立ち向かいます。

『下手ダッテ思ワレルノガ、怖ーイー♪』
戦いの場を校庭へと移し、調子外れの歌と共に
音符やト音記号を飛ばして攻撃してくるデザトリアン。
『自分ニ才能ガ無イカモシレナイー♪』
ムーンライトを襲う音符の束をサンシャインが防ぎ、2人で押し切って攻撃。
『歌イタイケド、歌エナイ・・・』
倒れたデザトリアンに、ブロッサムを皮切りにマリンが、サンシャインが訴えかけます。
『支えてくれる軽音楽部のみんなを信じてください!』
『信じてくれる仲間がいるなら、自分の事を信じられるはずだよ!』
『あなた達ならきっと歌える!』
デザトリアンにその心が通じたかと思われた矢先、
コブラージャさんはダークブレスレットの力でデザトリアンに潜り込んで建て直しを図ります。

『こんな臆病者の歌より、僕の歌を聞きたまえ』
コブラージャさんの歌が黒い音符となって襲い掛かりますが、
当然ムーンライトにはまるで通用しません。
凄まじい速さで接近して背後に回りこみ、体勢を崩すデザトリアンに形成不利と見るや
コブラージャさんは作戦変更。心の花を一気に枯らせはじめ、
彩と真由の心が悲鳴を上げます。
そして巨大なヘ音記号で一網打尽にしようと目論見ますが、
『信じるだの仲間だの馬鹿馬鹿しい。臆病者はずっと臆病のまま何も出来ないのさ』
余計な一言を言ってしまったためにブロッサムの堪忍袋の緒を切る事に(笑)
キレたブロッサムに続いて今回は3人技、シャイニングフォルテッシモで仕留めます。
『覚えてろ!』
コブラージャさんもベタな捨て台詞を残して引き上げていきました。

保健室で目を覚ます彩と真由は、自分達のせいで軽音楽部のライヴが無くなったと知り
バンドメンバー達に取り返しのつかない事をしてしまい、謝りそして後悔します。
そのやり取りを見たえりかは一計を案じて、突然ファッションショーの演出変更を申し出ました。

演劇部長あずさの司会で始るファッションショーは・・・
『これよりファッション部と軽音楽部によるファッションショーを開催します!』
軽音楽部の演奏と歌をバックに始まります。
マイクを握り、意を決し、ステージへの階段を登り、力強く歌い出す彩と真由。
歌をバックに、緊張を胸に歩みだすつぼみですが、つぼみも一人ではありません。
えりかに手を取られてステージを歩むうちに客席の両親に手を振る余裕も見られ、
えりかと2人スポットライトを浴びました。ファッション部員達のステージが続き、
スペシャルゲストもも姉の登場でファッションショーの盛り上がりは最高潮を迎えます。
そしてもも姉と入れ替わりにステージに立つゆりはすれ違い様微笑を浮かべ、
女の子らしい服に身を包むいつきと共にポーズを決めて、
再びステージは喝采に包まれました。
舞台袖から様子を伺っていたえりかはショーの大成功を確信し、
つぼみとハイタッチを交わします。
晴れ渡る心の空の下、ショーに参加したみんなが勢ぞろい。
夢は遠い夢じゃなくて、いつか現実(リアル)になる。
彩と真由が歌いあげる歌詞のとおり、現実の大成功を収めたみんなは光っています。
潤むえりか、涙を浮かべるつぼみ、涙を抑えられない彩と真由、
何かを成し遂げた時の感動を噛み締めて、
ファッションショーと軽音楽部のライヴは成功裏に終了しました。


書き出しで触れたとおり、私の個人的な感想としては非常に感銘を受けました。
前作のフレッシュプリキュアではダンスという目標がありましたが、
ダンス大会は中盤にイース様後半にノーザ「さん」と2度妨害され、
結果として最終回で臨む事になったため、
一年間頑張ってきたダンスをやりきったという印象は残念ながら薄くなってしまいました。
その分今回はまだ中盤という事もあり、ファッション部最大のイベントとして
最後のショー部分は美しく完結し、見事にやりきったと感じました。
えりかの視点で見ると、第一話の時点で部員が誰もいなくなり、存亡の危機に立たされた
ファッション部がこれ程の成功を収めた事は心底嬉しかったと思います。
ここに至るまでのファッション部の活動
部員集めなみなみの加入いつきの参加合宿ショーの企画立案そして準備
が思い起こされ、見事なファッション部有終の美を飾る展開となりました。

ファッション部の物語と共に、えりかの成長も伺えます。
ファッション部がトリを務める事で、従来トリだった軽音楽部が心象を悪くしないかと気遣ったり
観客が増えたのはファッション部のせいで、その事を謝るなど
最初期のえりかからは想像できない細やかな気遣いが見受けられました。

軽音楽部の問題が結果オーライとなった事も幸いしています。
彩・真由とつぼみが似たようで異なる考え方を持っており
ボーカル2人組みの脱走が無かったとしても
つぼみがファッションショーを放棄して逃げ出すとは考えられません。
この点彩と真由は少々無責任とも言えますが、
自分達のせいでライヴが無くなってしまった事を咎めるでもないバンドメンバー達に
(それにしても軽音楽部の男子生徒達、いい奴らばかりです)
申し訳ないと思うだけでなく、出来る事で恩返ししたいという心境も感じられ、
ステージで歌う歌詞と彼女達の心境がシンクロして優れた描写になっていました。
ところで、かつて真由こと工藤真由さんはプリキュア5にもゲスト出演した事がありましたが、
その時と異なるキャラクターデザインながらご本人らしさを感じさせます。
この点は彩こと池田彩さんも同様で、たむけん(5GoGo)やオードリー(フレッシュ)
うちやえゆかさん(SS劇場版)など特別ゲストのご本人様は
いずれもそのシリーズの世界観のデザインながらよく似ており、
今回の彩、真由もハートキャッチの世界に違和感無く溶け込んでいる作画にも感服しました。

ハートキャッチオールスターズと言っても過言ではなく、冒頭アバンタイトルからして
・お父さんに手を引かれて文化祭を訪れた志久るみ
・焼きそばを食べる三浦ラーメンの息子、あきら
・気ぐるみ怪獣にカンフーで立ち向かうカンフーマスターの弟よしと
女子サッカー部員達と散策するさやか
・番君が描き上げた新作マンガの販促に協力する番慶子ママン
・写真展の出来栄えに大満足のかなえ
・クサい映画に感動の涙を流す園芸部長水島アヤ
探せばまだまだありそうですが、懐かしくも多彩な顔ぶれが勢ぞろいし、
ラストのファッションショー&ライヴの客席でもその姿を伺う事ができます。
特にもう二度と登場しないと思っていた番慶子ママンの再登場は
密かに慶子ママンファンを自認する私にとって台詞も無く出番も僅かながら嬉しいものでした。
一方、この面々が今後登場することはおそらく無いでしょう。それが残念でもありますが、
ファンサービスとして登場してくれただけでもありがたいと考えることにします。

そして一つのエピソードでこれだけたくさんの衣装が登場するのも特筆されます。
つぼみとえりかのファッションショー衣装ももちろん可愛らしいのですが、
大正浪漫喫茶の衣装は反則です。(苦笑)
流之介パパが熱心にカメラを向けるのも無理はありません。
私も勢い余って、わざわざ電車に乗って本日の昼食に(注)「馬車道」へ行ってしまいました。
(注)制服が有名なため改めて書くまでもありませんが、埼玉を中心に展開するパスタとピザを提供するファミレス。
なんといっても「すみれ女史」と称される大正ロマン風ウェイトレスさんの制服が最大の特徴ですが
殆どが幹線道路沿いにあるため、車やバイクを持っていない私が訪問する至難の技でした。

それはさておきファッション部の面々の衣装もそれぞれ個性があって可愛らしく、
もも姉の魔法少女風演出も、大人っぽいイメージに反してキュートな感じが楽しめました。
もう一つの目玉ゲストだったゆりの衣装は前回のラストで見ていたので、
同時に登場したいつきの衣装には驚かされました。
いつきが純粋に「スカートのみ」の姿を披露するのは初だと思います。
「女の子」ではなく、女性としての魅力も伺える姿には、女としての幸せを掴めると感じさせ
明堂院一家、特に厳格なおじい様が満足そうに頷いていたのも納得です。

戦闘があっさりしているものの、4人の戦闘時の役回りもこれが理想ではないかと思います。
ムーンライトが毎回圧倒的な強さで一人でねじ伏せては面白くないですし、
かといってムーンライトがデザトリアンごときに遅れをとるのも考えられません。
今回のようにサンシャインの援護を受けて共に攻撃し、
一人切り込む際は反撃の機会を作って、後はブロッサム、マリン、サンシャインに任せる。
対デザトリアン時はこの形態が良いと感じました。

難点があるとすれば、これを上回る日常エピソードがこの先あるのか、
目標を終えてしまったファッション部がこの先活動するのか、
という懸念を抱いた事ですが、シリーズ後半へ向けて物語を収束する以上
少し寂しいですが仕方が無いと割り切って考える事にします。
次回以降、どのような方向で進んでいくのかじっくりと見届けて行きたいと思います。
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横浜学園都市部

このお話は、文化祭のお話で、当時ゲストだった工藤さんと池田さんが登場して活躍しましたね。

工藤さんは次作スイートでフェアリートーンを起用された経緯を踏まえると、凄い一編ですね。

しかも、終盤のMCで折笠さんが演じるあずさがMCCを務めた事で、実質スイートのレギュラーが至近距離で競演したことになりますからね。

この回では、後に名曲となる「HEART GOES ON」が登場しました。
この曲は後に38話と48話の2回披露しており、いずれも熱いバトルを展開しているタイミングで披露しています。

この回では、熱いバトルではなく心の種を奪われた彩と真由の勇気や、ファッション部の活動の集大成でもあり、ハンカチ必須の最高のエピソードでしたね。

ただその際に、シプレの「心の種が生まれる」は余計だったと思いましたね。
by 横浜学園都市部 (2011-11-27 03:36) 

スティクス

>横浜学園都市部さん
私もこの話は大好きで、ハートキャッチ日常回の集大成ともいうべき
多彩なゲストの顔ぶれも記憶に残りました。
ご指摘の工藤さんにしても、失礼な言い方かもしれませんが
フェアリートーン役で演技力が格段に向上しましたね。
この時の折笠さんは既に奏役に決まっていたのでしょうか・・・?
それを考えると、このお二方の共演も感慨深いです。
HEART GOES ONの歌詞にマッチした演出は、
曲自体の素晴らしさとも相俟って見事なものでした。
そして、私も「心の種」がやや場違いかと思いますが、
こればかりは致し方ないと割り切っています。
by スティクス (2011-11-27 21:59) 

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