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プリキュア5 第10話『腹ぺこナッツを救え!』 [Yes!プリキュア5]

仕事が無く、食うに困ったナッツとガマオ君を反面教師として、
2人は何が違うのか、考え方と姿勢を対比して描き、そして
『ブレイクするためには宣伝、売り込み、営業が大切なんです!』
うららが力説し、こまちが菓子舗小町の過去の実例を挙げて説明するとおり、
いい物を作るだけでは無く、営業・宣伝の大切さを訴える今回。
私自身販売に携わる身のため、あらためて感じ入る点が多い一編です。
 
ナッツハウスの店内には、ナッツ以外誰もいません。
カウンターに突っ伏していたナッツは扉が開く気配で飛び起きます。
『何だ、お前たちか・・・』
来店したのぞみ達は、ぞんざいな態度を取るナッツに不満を表しますが、
目の前でナッツはふらつき、珍獣姿になって倒れてしまいました。
ナッツハウスの店内に、ナッツを心配するココの、のぞみ達の声が響き渡ります。

心配された症状は何のことは無い、ただの空腹で、
こまちが持ち寄った豆大福を頬張るとナッツは元気を取り戻しました。
食べ終えてもう一個に手を伸ばしたナッツは、こまちの視線に気が付きます。
『・・・どうぞ』
『今は払う当ては無いけど、このお金はあとできちんと、必ず払うナツ』
もともと差し入れ目的で持ってきたこまちはお金を貰うつもりは無かったのですが、
ナッツはおごってもらう理由が無い、と頑なに跳ね付けます。
ココが今まで食事(といってもシュークリーム)を勧めても同じ理由で拒んでおり、
その結果、2日間何も食べなかったというナッツ。
誰もいない店内の様子からは、忙しくて食事をする暇も無かったわけでもなさそうですが、
りんちゃんは重大な事に気がつきました。
『見たこと、無い・・・私達以外に、このお店で見たこと無い』
みんなも今更ながら、ナッツハウスで一人のお客さんも見た事が無いと気付きました。
当のナッツは、我関せず、といった感じで呑気に豆大福を頬張っていますが・・・

その頃ナイトメアでは、今まで部下に嫌味を言っていたブンビーさんが
今回はカワリーノの嫌味に耐えていました。
報告書の内容のヒドさを責め、管理職の椅子に座っている事の厚顔さを責め、
私だったら恥ずかしくてとっくに逃げている、とネチネチ責めるカワリーノ。
逃げたといえば、ガマオ君の事が話題に上り、
職場放棄したガマオ君に責任転嫁しようとしたブンビーさんでしたが、
カワリーノはブンビーさんの管理責任を問い詰めました。
こうなってしまっては、どんな言い訳も通用しません。
『申し訳・・・ありません・・・』
苦虫を噛み潰すように、頭を下げるブンビーさん。

当のガマオ君は、町の吹き溜まりで空腹に苛まれていました。
『全部プリキュアのせいだ』
敗れた日の事を思い出しながら苦々しく財布を開くと、中には一円も入っていません。
プリキュアさえいなければコレットを持ち帰ってバイト代を手に入れ、
食うに困る事も無かったのに、とガマオ君の逆怨みは暗く燻ぶり続けています。

さて、みんなでナッツハウスが何故閑古鳥なのかディスカッションを始めました。
商品が良ければそのうち売れると楽観的なココの意見は、
このままじゃいつまで経っても売れないと一番年若いうららが一蹴。
どんなに良い物でも、みんなに知ってもらわなければならないと、
うららは机を叩いて力説します。
『ブレイクするためには宣伝、売り込み、営業が大切なんです!!』
うらら自身が売り出し中のアイドルだけに説得力があり、
今度はみんなでどう宣伝するのかを考えます。
結局、学校でみんなに勧めてみるという事になり、
ココもいくつかアクセサリーを手にとってコレとコレをお勧めする、と乗り気です。
しかしお堅い生徒会長のかれんは校則で禁じられているとして
アクセサリーを持ってきてはいけないと釘を刺し、
ココもとたんにしょんぼりとして、教師の立場から注意しようと思ってたと言い訳しました。
ちょっとくらい持っていっても・・・というのぞみを鋭く睨みつけ、
かれんは物が無くても口コミとマスコミで宣伝ができると持論を展開します。

翌日、まずは口コミ効果を試すべく女子生徒たちの賑やかな和に挨拶するこまちですが、
控えめな性格が災いして誰も気が付きません。
ようやく挨拶が通じたものの、会話の流れに入ることが出来ず、
かろうじて「アクセサリーは好き?」と切り出したものの、
それ以上は踏み込めませんでした。
『こまち・・・押しが弱いわッ!』
廊下の向こうで様子を伺っていたかれんも、その日の生徒会で切り出します。
議題をまとめた後、一言だけ、と断って切り出したのですが・・・
『とっても素敵なアクセサリーのお店があるの。お勧めよ♥
 今度みんなで行ってみてはどうかしら?』

話題があまりにも変わりすぎ、普段のかれんから想像もつかない内容に絶句する一同。
図書委員として会議に出席していたこまちも、それとなくダメ出ししました。
『かれん、それはちょっと強引かな?』『ダメ・・・?』

『ダメよ!』
こちらはサンクルミエール通信で宣伝して欲しいと頼み込む
のぞみとりんちゃんを、即座に断る増子さん。
小々田先生も新聞にも広告が載っていると助け舟を出しますが、
増子さんに言わせればサンクルミエール通信は中立なジャーナリズムのため、
事件、社会問題を扱うと頑なに拒否します。
あの紙面のどこが社会問題なのかという疑問はさておき、全員宣伝には失敗しました。
しかし、まだ頼みの綱、うららがいます。

この日うららはある生番組に、ナッツが作ったネックレスを身につけて出演している筈です。
しかしテレビの前で待てど暮らせど、なかなかうららは映りません。
ようやく映ったと思えば、まるでエキストラのように大勢の中に紛れているだけで、
ネックレスどころかうららを探すのさえ難儀するような状況ですが、
のぞみは諦めず、ネックレスのアップが映ると希望を捨てません。
番組スタッフロールが流れる中、カメラにうららが映りそう、と思いきや・・・
「来週のこの時間は・・・お待ちかね!あこがれの高級温泉旅館をめぐる旅!」
うららにテロップが重なり、そして「この番組は、ごらんの各社の提供で・・・」
番組終了のおなじみの文句が流れ、ナッツハウスの2階には
すっかり脱力したみんなが元気なく転がりました。

戻ってきたうららは力及ばなかったことを詫びますが、うららのせいではありません。
ナッツもすっかり投げやりで、放っておいてもそのうち客は来ると自身無さそうに呟きます。
そんな空気は、チラシを配ろうというこまちの提案が変えました。
こまちの実家、菓子舗小町も祖父の代に、老舗の看板にあぐらをかいていたため
客が離れたことがありましたが、考えを改めて地道にチラシ配りから始めた結果、
再び客足が戻ってきたとの事。
良い物があっても、それを伝える努力をしなければいけないというこまちの言葉に、
ナッツはあんなに美味しい豆大福でも宣伝が必要だったと目から鱗が落ちたようです。
そしてみんな一丸となってチラシ作りを始めました。

みんなで役割分担してデザインを考えたり、販促方法を協議したり、
そんなこんなでのぞみの手により一枚のチラシが完成します。
しかし一枚だけでは・・・という問題はプリントゴッコピンキーの能力によって
大量の紙にコピーされ、大量のチラシが瞬時に出来上がりました。
早速、みんなで町に出てチラシ配りを始めます。

熱心にチラシを配るのぞみ達の姿に、斜に構えたようなナッツも態度を改め、
ココと共に美形をダシにしておばさま層にチラシを配り始めました。このマダムキラーめ
そしてのぞみは元気なく座り込んでいる小太りの兄ちゃんにチラシを渡そうとしますが、
それはまさしくガマオ君。お前らのせいでバイト代をもらえなかったとチラシを破り捨て、
こんなの買う金あったら食い物を買うと逆切れしたガマオ君により、
のぞみは地の裂け目に落とされました。
異変に気付いて駆けつけたみんな、
特にガマオ君と直接戦ったりんちゃんとうららはガマオ君の姿に驚きます。
『あんた、この間の!』『また会ったな!』
『誰だっけ?』『さあ・・・』
忘れられている事に憤り、ガマオ君は4人を地の底に落とした後、
カエル男の姿になって穴に飛び込みました。
『お前らがいけないんだぞ!俺にこんな思いをさせやがって!』
ひもじい気持ちがわかってたまるか、と恨み節を口にして、
からっぽの財布に仮面を被せるガマオ君。
空腹の恨みが込められたような、パックンフラワーのようなコワイナーを、
みんな食っちまえ!とけしかけます。

変身した5人に大きな口と歯をむき出して襲ってくるコワイナー。
恨み重なるドリームには特にガマオ君の攻撃が執拗に迫り、
ガマオ君の舌攻撃を受けて跳ね飛ばされたドリームをレモネードが受け止めました。
『全部お前らのせいだ!お前らさえいなけりゃ今頃バイト代もらって
 腹を減らす事も無かった。許さねぇプリキュア!』
逆怨みをぶつけていたガマオ君は、コワイナーがミントプロテクションで
足止めされたのに気を取られ、その隙にレモネードフラッシュを食らって倒れます。
『俺がこんなにひもじいのも全部、お前らが悪いんだ!』
ただ不平不満をぶちまけるだけのガマオ君を叱り付ける、最若年のレモネード。
『さっきから聞いていれば、何でもかんでも人のせいにして!』
ドリームも追随し、同じく空腹だったナッツは自分でチラシを配って頑張っていた事を指摘します。
その間にコワイナーはアクアストリームとルージュファイヤーで撃退され、
ガマオ君の舌はドリームがしっかりと捕まえました。
『あんた、すんごくかっこ悪い!』
舌をつかんで振り回し、ガマオ君を投げ飛ばした後にドリームアタックを畳み掛け、
ガマオ君は再び恨み言を吐き捨て、かろうじて逃げていきました。

先ほどの戦いの折のドリームの言葉が身にしみたのか、
控えめながらも率先してチラシを配り始めるナッツ。
そのチラシを受け取り、何気なく通り過ぎようとしたサンクルミエール学園の生徒ですが、
チラシに目を落し、配っていたナッツを振り返ってびっくり。
『あなたさまは!!』
受け取った生徒は、前回ナッツに魅了された増子さんでした。

『ナゾの超イケメン正体わかる!!その名もナッツ様!!』
翌日張り出されたサンクルミエール通信の号外、
またナッツがトップ記事で扱われている事に呆れるのぞみとりんちゃんですが、
宣伝効果は抜群でした。
たちまちナッツ目当ての生徒たちが長蛇の列を作り、
店内もラッシュの電車並みにすし詰め状態です。
お店を取り上げてくれた事にお礼を言うのぞみですが、増子さんに言わせると
あれはスクープ記事で、サンクルミエール通信に相応しいジャーナリズムらしいです。
自分の趣味だけだろ、ともっともなツッコミを入れるりんちゃんですが、
結果オーライ。おかげでナッツハウスは大盛況になりました。


この話を見返したのは久々のことで、受ける印象はだいぶ異なりました。
というのも私の記憶の中ではナッツもガマオ君同様、自分から何もしないにもかかわらず
ガマオ君だけが責められてナッツはみんなに擁護してもらっている、という先入観があり、
不細工なガマオ君に対してイケメンというだけで得をしているナッツという風に
あまり良い印象を持っておりませんでした。
ところが久々に見返してみると、何もしていないナッツにも非はありますが、
ガマオ君は徹底的に自分の境遇を他人のせいにしている点が決定的に異なり、
ガマオ君への同情が薄れていきました。

不幸な境遇から脱却するようあがくのではなく(あがいてもどうにもならない事もありますが)
ただ周りのせいにするだけでは周囲からの手も差し伸べられませんし、
自分で改善していく事も出来ません。
ワーキングプアの不幸を体現しているようなガマオ君に同情を寄せるとすれば、
その考え方が最期まで変わらなかったために周りからも理解されなかった事でしょうか。

もう一つナッツとガマオ君が異なる点は、ナッツは恥を知る男だという事です。
豆大福を頬張りながらも、こまちの視線に気付いて代金は必ず払う、と弁明したり、
チラシ配りに精を出すみんなの事をお節介だとこぼしつつ、
不得手ながらチラシ配りに励んだり、不器用ですが、後ろ向きなだけではありません。

商品を売るためには宣伝・営業が大切、というテーマも、
うららやこまちの発言内容で解りやすく伝わっていると思います。
また些細な描写ですが、うららが出演していた情報バラエティ番組らしきものの
予告テロップからは、あこがれの高級温泉旅館でも番組で取り上げられる事で
宣伝されている、という当然の事柄が暗に示されているような気がしました。
その後に続く一同の脱力シーンの背後に流れる「この番組はご覧の各社の提供で~」
のお決まりの文句からも、広告というものの存在を匂わせていると思います。

販促という点でもう一つ興味を惹いたのは、
チラシ作成の際に最初からピンキーの力を使って作ればのぞみ達はいらぬ苦労をせず、
ドリームコレットの玩具の宣伝にも一役買う事請け合いなのに、それをしなかった事です。
安易に物事を解決するのではなく、みんなで考え力を合わせて
みんなで創り上げる事の大切さを表しているのではないでしょうか。

増子さんの趣味丸出しのサンクルミエール通信の紙面構成や、
のぞみを凄い形相で睨んだり、チラシ配りを提案したこまちを評して人差し指を立てていたりと
やたらと妙なポーズが目立つかれん等、純粋に楽しめる描写も多く、
再見で再評価する事になった一編となりました。
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