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プリキュア5 第14話『悩める生徒会長かれん』 [Yes!プリキュア5]

私の会社でも最近では稟議が通らないケースも多くなり、
今回のように経費削減に頭を悩ませている皆さんも多い事でしょう。
サブタイトルではかれんがメインの話のようですが、裏の主役とも言えるのはこまちです。
常におっとりのんびりしている人が怒ると怖い、という意外性だけでなく、
かれんを的確に補佐し、導く姿からは2人の信頼関係を伺い知る事が出来ます。
  
いつものテラスでの穏やかな昼下がり。
ココは授業の後のシュークリームは格別だと言いながらシュークリームを頬張り、
(確かに労働の後の一杯は格別ですが・・・)
のぞみとうららは誰かに見つかったらと気が気ではありません。
案の定テーブルに人影が近付き、慌てて隠れるココですが、頭隠して尻隠さず。
まるで隠れていません。近付いてきた人影はりんちゃんだったので問題無かったものの、
りんちゃんはかれんに別の問題を持ってきました。
使い古したボールを両手一杯に抱えてかれんに見せ、
新しいボールが必要なのに部費が足りなくて買えず、
りんちゃんはこれでは練習にならない為、生徒会で何とかして欲しいと訴えました。
と、そこに他の部の部員たちも大挙して押しかけ、皆一様に部費が足りない事を訴えますが・・・
『それぞれの部活に割り当てられる部費は決まってるの!』
かれんの一喝で静まり返る各部の部員達。
年間予算で決められているので、その中でやりくりして欲しいというかれんの言葉に
部員達の間からは失望の声が漏れ、厳しい表情をしていたかれんも
人知れず寂しそうな目を浮かべますが、それに気付いたのはおタカさんとこまちだけでした。

『ブンビーさん。がんばっていらっしゃるようですねぇ。デスパライア様も驚かれていました』
不気味に優しい声をかけるカワリーノ。当然それはねぎらいではなく、
多額の経費を使っているのに成果の上がらないブンビーさんを遠まわしに責める言葉です。
苦しい言い訳をするブンビーさんに対して、予算は沢山あるというカワリーノですが、
無駄なものには使いたくないと暗にブンビーさんを攻撃します。
無駄な部署とか、無駄な人材とか・・・
うろたえるブンビーさんの事を無駄な人材と言ったのではないと言った直後、
『今はまだ・・・』
カワリーノは鋭く睨みつけてその場を立去り、ブンビーさんが堪えていた鬱憤を
机に叩きつけようとすると、再びカワリーノが戻って来て
テーブルを壊したら無駄な出費がかさむと釘を刺しました。
耐えるブンビーさんは、予算削減のため自ら出向く事を決断します。

翌日のランチタイムでは、かれんとりんちゃんの少しぎこちない空気を心配するこまちを他所に、
のぞみとうららは脳天気に互いの弁当のおかず、
卵焼きとタコさんウィンナーを交換して脳天気にはしゃいでいます。
りんちゃんは意を決し、再びかれんに生徒会長の力で部費を増やせないものかと申し出ますが、
かれんも年間予算は決まった額しか無いため、部費を増やすと
生徒会や学校行事の額が減ってしまうと苦しい立場を打ち明けました。
部費が無い事の切実さにピンと来ないのぞみに、
りんちゃんは今ののぞみに置き換えて説明します。
弁当だけじゃ足りないからパンも買おうと思っていても、
お小遣いが足りなくてパンが変えなかったら・・・
部費が無いとはそういう事だと理解したのぞみの、
私ならお小遣い値上げしてもらうという何気ない一言が、かれんを動かしました。

かれんは一人クライン教頭に部費の値上げを直談判に行きますが、
教頭は事情を理解しつつもメビウス様がお決めになった通り年間予算で決められた通りと
判を押したような回答です。それでも食い下がって頭を下げるかれんに打たれて、
無理だと思うと付け加えながらも理事長に伝える事を約束しました。

『どうだった?』
浮かない顔で出て来たかれんを待っていたように、自然に声をかけるこまち。
やっぱりダメだったと打ち明けた後、かれんは先ほどののぞみのように、
水無月家の財力で費用を援助してもらおうかとボヤいてしまいますが、
それでは何の解決にもならない事は、かれんも良くわかっています。
それでも何とかしてあげたいと思う気持ちは変わらず、
そんなかれんを見てまるで誰かさんのようだと笑うこまち。
以前のかれんなら規則だからと突っぱねていたと指摘して、
理屈や規則を超えて何かをしようと考えが変わっているのは、
かれんもこまち自身ものぞみと出会って影響を受けているのかも知れないと考えていました。
『他に何か方法がある筈よ。みんなで考えてみましょう』
こまちが差し伸べた手を取って立ち上がるかれん。
しっかりと繋がれた手は、2人の信頼感の強さを感じさせます。

その頃、教頭は部費の一件を理事長に報告していました。
『本当に必要なものならば増やしても良いとは思います。でも・・・』
重々しく口にして振り返る理事長。今まで表に出る事のなかった理事長は、
その前に出来る事がありそうだと、安易な増額ではなく
生徒達の自発的な工夫に期待しているような答えを教頭に告げました。
振り返った理事長の顔は品の良い婦人です。そして、誰かに似ているような・・・

翌日のランチタイム中にも、かれんの許に大挙しておしかける各部員たち。
部費を増やすよう要求する声、かれんに何とかして欲しいという声は変わりません。
今の部費で何とかして欲しいと宥めるかれんに、
その部費が少ないから困っていると即座に反発する部員達をなだめようと
のぞみや小々田先生が割って入りますが、みんなの興奮は収まりません。
困ったような、悲しいような複雑な目でその有様を見るかれんに見かねて、
口を挟もうとするおタカさんは、何かに気付いて様子を見守る事にしたようです。

不意に激しくテーブルを叩く大きな音に静まり返る部員達。
『みんな・・・おかしくない!?』
テーブルを叩き、立ち上がってみんなを一喝したのはこまちです。
かれんさえも呆気に取られる中、こまちはみんなを注意し諭しました。
自分達の部活の問題を自分達で解決しようとしたのか、
生徒会長に頼る前に何かしようと努力したのか、
かれんを一方体に責めるのはおかしいのではないか。
こまちの指摘に返す言葉も無く黙り込む部員達。そして部員達の中にいたりんちゃんは
こまちの言葉に納得し、手を尽くす前に生徒会長に頼っていた事を認めて謝ります。
そしてのぞみを中心に、各部の欲しい物を集めてみんなで意見を出し合えば
みんなで交換し合った弁当のおかずのように、きっと良いアイディアが出ると、
話は建設的に進んでいきました。
一部始終を見守っていたおタカさんも満足そうに微笑みます。まるで先ほどの理事長のように。

『あ、運転手さんそこで止まって』『650円になります』『領収書ちょうだい』
歩いて来られそうなタクシー初乗り運賃でわざわざ領収書をもらい、
サンクルミエールの門前に降り立ったのは当然ブンビーさんです。
経費削減のため自ら出撃するハメになった事に文句を言いながらも、
プリキュアもこれで終わりだと自信満々、不敵な笑みを浮かべて校門を見上げます。

みんなで手分けして各部の事情を伺います。
まず演劇部は次の公演で源氏物語を上演する予定なのですが、
十二単を一着作っただけで予算が足りず行き詰っていました。
『源氏物語って、姫君がたくさん出るんじゃ・・・』
引きつった笑顔のこまちの隣で、うららは予算に見合った劇にしようと金太郎を提案しますが、
演劇部員がマサカリや前がけは嫌、と当然拒まれます。
こまちはふと、手芸部とのタイアップを思いつき、
手芸部は作品発表の場を求めていた手芸部と衣装作りを頼める演劇部、
互いの利害が一致し、生地代も折半できてこちらの問題は解決しました。

フットサル部の使い古したボールは美術部がオブジェとして再利用する事になり、
フットサル部が欲しいのはスペシャル・マッスル・トレーニングルーム、
略して「私の部屋」
ではなく筋トレ用の器具です。
そこで柔道部には軽すぎるダンベル類を譲ってもらう事で浮いた予算を
ボール新調に回す事が出来、喜ぶりんちゃん。その隣でのぞみは
5kgのダンベルを持ち上げられずに転んでしまい、その際に柔道部員の膝に
アップリケのような可愛らしいツギがしてあるのに目を留めました。
こちらも手芸部の余った生地を利用してもらったとの事で、
互いの部の持てるものを持ち寄り、足りないものを分け合い、
どこかの事業仕分けよりも効果はてきめんです。

これで経費の件はうまく行きそうだとダンベルを手にして木立をゆく5人に、
道の向こうから声がかけられました。
『お互い経費が掛けられないと苦労するねぇ』
威圧的にゆっくり歩み寄り、途中で蜂の怪人姿に変身するブンビーさん。
ドリームコレットを要求し、5人にも変身を促します。
部下にかかる予算をカットして自分が出撃する事で、浮いた経費を全て仮面につぎ込んだと
自信満々に仮面を見せ付けるも、いつもの仮面とどこが違うのかドリームたちにも、
テレビの前の我々にも分かりませんが、ブンビーさん曰くツヤがぜんぜん違うとの事。
ともかく経費をかけた仮面をダンベルに被せてコワイナー化。
特別仕様の仮面のためか、重いダンベルの体のためか、たちまち5人を蹴散らすコワイナーに
満足そうなブンビーさん自らも、腕から針を飛ばして攻撃してきます。
ミントプロテクションを張って防ぐも、続くブンビーさんのミサイルは
以前にも破られたとおり、今回もプロテクションでは防ぎきれません。
ブンビーさんとコワイナーを相手に、苦戦を余儀なくされて膝をつく5人。

『片腹痛いわ。コレが伝説の戦士プリキュアの実力か?
 いや、私が強すぎるのかな?やはり私の経費の使い方は正しいんだよ。
 役に立たない部下など信用せずに、初めから全て私がやっていれば済んだ事なのだよ!』
すっかりご満悦でどんどん口が回るブンビーさんの発言を聞いて、
アクアは逆に片腹痛いと言わんばかりの冷笑を浮かべて言い返します。
自分も同じように考えていた事もあったと認めながらも、
そんな事を考えているようでは絶対に私達には勝てない。そしてみんなに作戦を叫びます。
『みんな!卵焼きとタコさんウィンナーよ!』
みんなは瞬時にアクアの意図を理解しました。・・・ドリームを除いて(笑)
しかし、今日の事を思い出せと言うルージュの声でようやくドリームもアクアの意図を理解します。
ミサイル攻撃に再びプロテクションを張るミントを、効かないと言った筈だと
切り捨てたブンビーさんでしたが、ミサイルの威力はアクアストリームで殺がれ、
プロテクションに弾かれた事に愕然としました。
『例え一人一人の力は小さくても』
『みんなで知恵を出し合って』
『力を合わせて何とかしてみせる!』
ミント、アクアに続き、レモネードがコワイナーを牽制する間に
ドリームとルージュがコワイナーの腕をつかんで動きを止めます。
『力が無いならお互いに補って・・・』
『支え合って頑張る事が大切・・・なの!』
コワイナーは続けざまに放たれたルージュファイヤーとドリームアタックで撃退され、
多額の経費をかけた仮面を砕かれたブンビーさんは負け惜しみを残して退散しました。
『今回の出費は無駄ではない。次回勝利するための必要経費だ!』

再びシュークリームを頬張るココを囲んで、部費問題解決を喜ぶ5人。
かれんもみんなにお礼を言ってめでたしめでたし、となった所で、
怒ったこまちの迫力があった事が話題に上ります。
かれんより一歩引いているようで、実はこまちがかれんをリードしているのでは?
その問いには答えず、菩薩のような微笑を浮かべて聞いているこまち。
そこにおタカさんが事態解決のお祝いに、大量の試作パンを差し入れで持ってきました。
『誰かに頼るんじゃなくてみんなで知恵を出し合って協力する。それが一番大事なんです
 ・・・って理事長が言ってたよ』
そのおタカさんの口ぶりはまるで理事長本人のようですが、
こちらもその問いには答えずに誤魔化してその場を立去るおタカさん。
再び部員達が、今度はパン目当てに押し寄せ、騒々しいやり取りを見守るおタカさんの胸元には
理事長の胸元で輝いていたブローチが飾られていました。
賑やかなパンの奪い合いは続き、ありつけずに嘆くのぞみを
こまちとかれん、2人の三年生が微笑ましく見守りました。


プリキュアで生徒会長といえばかれんの他、現ハートキャッチのいつきがいますが、
いつきは生徒会長としての職務の多忙さや悩みがさほどクローズアップされていないため、
今回のかれんが抱える問題はシリーズ全体でも珍しいものと言えそうです。
部からの要求と、現実的に厳しい予算の間での板挟みという
中学三年生という「子供」にとって難しい問題を、
安易な増資によって解決しない展開は好感を覚えます。
劇中でかれんがつい口にしてしまう「水無月家による増資」は
あの水無月家の資産を見る限り、大した金額ではない筈です。
また、サンクルミエール学園自体の資産にも余裕がある事が伺え、
理事長もその気になれば増資に応じられると思いますが、
あえて突き放し、それでいて考える場を与えるところからは教育者としての理念が感じられます。

その理事長、後に正体がはっきりと描かれますが、
ここまでの描写で「仮の姿」の時に常に生徒達の動向を見極め、
適切な助言を与えて導いている事に改めて気付かされました。
「仮の姿」での物腰や態度は一見して軽いのですが、その本質は変わっていません。
それにしても理事長の姿を目ざとい増子さんはおろか、
生徒会長であるかれんすら知らないのは少々ありえない設定ですが
理事長自身の強い希望も後に明らかになるので、
この時点では言及しない事にします。

今回は「怒るこまち」のインパクトが大きいのですが、
こまちとかれん、2人の間に流れる空気も目を惹きました。
3年生同士という事もあって付き合いも長いためか、初代シリーズを終えた
MHでのなぎさとほのかのような、またはSS最終回エピローグでの咲と舞のような、
酸いも甘いも知ったような関係が感じられます。
かれんが僅かに浮かべた悩む表情に気付き、
直談判に行ったかれんを絶妙のタイミングで待ち受けて、
ただ傍にいるだけでかれんに安心感を与えているような存在。
ラストでも笑顔ではぐらかす等、こまちのどこか不思議な器の大きさが印象的でした。

そして悩める中間管理職ブンビーさん。
カワリーノにへつらったり、タクシー運転手とのやり取りなど笑いを誘う場面もありますが、
少々気の毒ながらやはり反面教師として描かれました。
経費削減のために部下を信頼せず、自分ひとりで出向いた事を長々と自慢する姿は
アクアに一笑に付されますが、この時のアクアはブンビーさんを笑ったのではなく、
そこに見たかつての自分を笑ったのだと思いました。

安易にお金で問題を解決しない事。このように知恵を出し合って解決する展開は
見ていて清々しいものがあり、私自身もすぐ稟議を上げる前に、何か他の手段が
あるのではないか、改めて一歩踏みとどまって考えてみようと感じさせられました。
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