SSブログ

ハートキャッチ第40話『さよならサソリーナ・・・砂漠にも咲くこころの花です!』 [ハートキャッチプリキュア]

このように異様な緊張感を持って本編視聴に臨んだのは、
無印第21話SS第23話フレッシュ第23話、そしてフレッシュ第46話以来、5度目の事でした。
キリヤ、満と薫、イース様、ウエスターさんとサウラー、過去4度の前例はいずれも
それぞれの最期(厳密には異なりますが)を描いたものです。
サソリーナは憎めないところがあったものの、プリキュア達と馴れ合う事も無く、
敵味方の狭間で揺れる描写も無いのですが、なぜここまで心惹かれてしまうのでしょうか。
「嫉妬」「寂しさに耐える」人間味のある心を持ちながら、砂漠の使途として殉じたサソリーナ。
その最期は、切ない中にも救いを感じさせる余韻を残す、印象深いものでした。
  
開始早々繰り広げられるデザトリアンとの戦い。
デザトリアンを操るのはサソリーナですが、以前にもこんな展開があったように
この状況はいつもの負けパターンです。マリンの攻撃、サンシャインの防御の反動を受けて
デザトリアンの体内でアタフタと慌てふためくサソリーナ。
そのまま一気にシルバーフォルテウェーブを受けて、
サソリーナはまたしてもデザトリアンもろとも浄化されそうになるも、
我に返り、からくも脱出して砂漠の国へと逃げ帰ります。
ところが砂漠を照らす満月を見上げたサソリーナは、胸に込み上げる暖かさを感じていました。
『ねえ、私達このままでいいのかしら・・・?』
呆けたように満月を見上げ、ため息を漏らすようなサソリーナの言葉を聞いて
顔色を変えるクモジャキーとコブラージャさん。
プリキュアの聖なる光を浴びた事で邪悪さが薄れていると判断し、
無念そうに立去るクモジャキーと、サソリーナを見守るコブラージャさん。
サソリーナの様子を見た2人の大幹部は何を思うのか・・・

つぼみとえりかは、いつきに生徒会長を辞めると打ち明けられて驚きました。
正確には任期満了に伴うものですが、今後激しさを増す砂漠の使途との戦いに専念するため
時期生徒会長選には出馬しない意向です。
いつきが会長を務めている間、すごく良くなったとその決意表明を惜しむえりかですが、
いつきの決心は揺るぎません。会長選挙には現副会長の佐藤君を擁立する方向を固めます。

しかしその佐藤君、不純な野心を隠せません。
誰もいない生徒会室で会長の椅子の座り心地を堪能し、
会長になった暁には女子生徒たちに囲まれるバラ色の学園生活を妄想しています。
ところがつい妄想が口を突いて出ており、その言葉はいつの間にか生徒会室にいる
いつきに全て聞かれてしまいました。慌てて弁明しても後の祭り。
穴があったら入りたいとはこの事でしょう。いつきの残念そうな目が佐藤君には堪えます。
生徒会長は学園みんなのために働くものだと諭されて、
恥ずかしさに耐えかね、佐藤君は謝りながら生徒会室を飛び出していきました。

こちらも同様に残念そうな目をした2人、クモジャキーとコブラージャさんが
サソリーナの処遇についてサバークに申し出ます。
既に戦う気力が無く、幹部の任を解いて惑星城へ帰すべきとの提案を
無言で聞くサバーク博士。そこにサソリーナが激昂して割り込んできました。
『あんた達!何勝手な事言ってるのよ!』
サソリーナは直接サバークに出撃の指示を求めますが、
その肩に手を置き、クモジャキーがそれとなく思い留まるよう言い含めました。
『今のお前では無理ぜよ・・・』
コブラージャさんも哀れむような目をサソリーナに向けますが、
サソリーナは2人の想いを振り切ってサバークに再度申し出ます。
その熱意を受けて出撃を認めるサバークですが、これが最後だと通告。
サソリーナは物怖じせず、本気で臨むと残してサバークの許を離れます。

出撃の前、一人満月を見上げていたサソリーナに
3倍のダークパワーでかかれば太刀打ちできるかもしれないと、
餞のように自らのダークブレスレットを渡すクモジャキーとコブラージャさん。
しかし体に相当の負担がかかるという代償もあります。
『礼は言わないわ・・・』
サソリーナは花を持たせてくれた2人に対し、彼女らしい感謝を表して最期の戦いへと赴きます。

屋上で一人ため息をつく佐藤君。
当然これでは格好の心の花提供要員となってしまい、心の花を抽出されました。
サソリーナが生み出す最後のデザトリアンは・・・

まるで異次元空間に迷い込んだような異変が起こる校内。
つぼみとえりかに逃げるよう促し、いつきは取り残された生徒を探しに校内を駆け回ります。
生徒達の避難誘導をしている鶴崎先生に助けた生徒を託し、再び校内へ向かういつき。
なかなか出てこないいつきを案じた鶴崎先生が校内へ向かおうとした時、
逃げ遅れた生徒と共にいつきが無事出てきました。
直後、学校そのものがデザトリアンとして立ち上がり、
つぼみ達は心の花を取られたのは佐藤君だと知りました。
大地を揺るがす巨体に呆気に取られている3人でしたが、
ゆりに檄を飛ばされて我に返り、変身して立ち向かいます。

おののく生徒達の前に現れる4人のプリキュア。
いきなり「からだパンチ」と妙な技を叩き込むブロッサムを先頭に、デザトリアンに突っ込みます。
校舎の体の上に立つサソリーナは、3倍の力を持つダークブレスレットを見せつけ、
いつもと違う気迫と危険性を察するムーンライト。
その身を襲う負担に喘ぎながら、サソリーナはブレスレットの力を解放し、
デザトリアンの体内へと潜り込んで行きました。
負担に耐え、強大なパワーを発揮するデザトリアンをけしかけるサソリーナ。
ムーンライトの、サンシャインの攻撃に押されて、ブロッサムとマリンの
「ダブルからだパンチ」で体勢を崩したところに次々とフォルテウェーブが叩き込まれます。
しかし、今の私は無敵と豪語するサソリーナ、デザトリアンには通用しません。
今度はデザトリアンの反撃が始まりました。
様子を見に来たクモジャキーとコブラージャさんも、その善戦ぶりを見守ります。

『何が心の花よ!何がプリキュアよ!くだらない!』
デザトリアンのパンチはサンシャインの防御を破り、4人を壁に叩きつけます。
4人に留めの一撃が振るおうと、高笑いしていたサソリーナですが・・・
3つのブレスレットの負担は大きく、暴走した力がサソリーナを襲い、
制御できなくなったデザトリアンものた打ち回ります。
ムーンライトはその苦しみを終わらせるべく、ハートキャッチミラージュ使用を促し、
牛久大仏ハートキャッチオーケストラの巨大な拳によって
デザトリアンは押し潰され、体内のサソリーナもろとも浄化されていきます。
『こんなところでッ・・・!私は砂漠の使途の・・・!大幹部よ・・・』
抗うサソリーナも徐々にその顔から険がとれて穏やかになって行き、そして・・・

『まずい!』
サソリーナを救い出そうとするコブラージャさんを制するクモジャキー。
『あいつはもう戦えんぜよ・・・ならば、このまま・・・』
クモジャキーの意図を察し、コブラージャさんも全てを見届ける事にしました。
『君も甘いな・・・』
デザトリアンが浄化される勢いで、烈風が当たりに吹き荒びます。

元に戻った校舎、取り戻した心の花を手に喜ぶのも束の間、
4人は胸を痛める光景を目の当たりにしました。
斃れたサソリーナを抱きかかえるクモジャキー、そして無言で見つめるコブラージャさん。
お前にしてはよくやったと最期のねぎらいをかけるクモジャキーの言葉で目を開き、
サソリーナは遺志を託すようにダークブレスレットを差し出します。
『クモジャキー・・・コブラージャ・・・ありがとう・・・』
サソリーナの目に溢れる涙を見て、4人の心に動揺が走ります。
クモジャキーの腕の中で、コブラージャさんに看取られる中、
静かに目を閉じるサソリーナの頬を一筋の涙が伝い、サソリーナは光と共に消えて逝きました。
後には心の花、カタクリを遺して・・・
花言葉は「嫉妬」「寂しさに耐える」
サソリーナの心の花が天に消えると同時に晴れ渡る空の下で、
遺された2人はサソリーナの仇討ち決意とも取れる言葉を残して引き上げていきました。
『この事は忘れんぜよ!』『遊びは終わりだ。次は必ず君達を倒す』
佐藤君が元に戻っても、晴れ渡る空とは裏腹にブロッサムの心は晴れません。

ある山奥の小さな診療所。
長く昏睡状態だったのか、ベッドに横たわっていた女性が意識を取り戻して起き上がります。
『長い間、悪い夢を見ていた気がする』
その女性のベッドの上で人懐っこくさえずる一羽の雀。
雀を慈しむように撫でる女性の悪夢は終わり、その女性の穏やかな療養生活が始まりそうです。
サソリーナによく似た風貌の女性の・・・

派手に散らかった校舎内を片付けるのは、うんざりそうな大変な作業ですが、
そんな中、黙々と片づけを始める佐藤君の姿に触発されて
いつしか生徒達が協力し合い、次第に校内が元に戻って行きました。
みんなのために頑張る佐藤君は、良き生徒会長になれそうな予感がします。

一方、つぼみとえりかはサソリーナの最期の涙が忘れられません。
砂漠の使途にも心があると知り、サソリーナを失ったクモジャキーとコブラージャさんは
今まで以上に手強く立ちはだかる事が予想されます。
そんな不安と暗い気持ちを吹き飛ばすように、
『どんな時も私達は負けません!!』『おっしゃー!!頑張るぞー!!』
2人も校舎の復旧作業へと向かいました。


歴代の女性敵キャラクターの中で、美しく散る最期が描かれたのは
意外にもこれが初めてではないでしょうか。
ポイズニー姐さんは直接的な描かれずとも恐ろしい悲鳴が嫌な想像力をかき立て
翔子さん=レギーネは無念を残したままジャアクキングに吸収されました
戦いの中で壮絶に散ったビブリスどこか笑える要素を残して消えたシタターレ姐さん
職務に忠実なあまり自分を見失ったアラクネアさん、黒い仮面を強要されたハデーニャさん、
物語を終わらせたくない未練を残したシビレッタ。正体があんなものだったノーザ「さん」
イース様は直後に転生するため除外すると、比較的美しい最期を迎えたのは
サソリーナ同様、最期に涙を遺したアナコンディさんだけですが、
アナコンディさんにしても容赦なく消される無残な最期だったため、
今回のサソリーナの物悲しく美しい最期は印象的でした。
そして、プリキュア達が倒した敵幹部の中で、敵にも「心」がある事を認識したのも
劇場版のダークドリーム等を除いた本編では、これが初めてだと思います。

最期の戦いの内容も、リスクを伴ってのパワーアップからは
昨年のイース様を連想させ
、破滅が待ち受けていると予想しつつ
サソリーナの覚悟と決意は見ている方も緊張感を強いられます。
イース様のような思いつめた発言や悲壮な描写ではなく、
途中まではサソリーナらしい口調で余裕を感じさせているだけに、
暴走し始めた後の苦しげな描写が一層痛々しく感じられました。
ただ、その苦しみから解き放ってあげたいというのはムーンライトの本心だったと思いますが、
牛久大仏巨大女性の拳で叩き潰すというのはちょっと・・・
結果的に浄化するとはいえ、この技の演出にはいまだ違和感を覚えます。

サソリーナが消えた後の病院のシーンで救いがあるのも評価したいです。
あのままサソリーナを倒した後のフォローが無くても良いかもしれませんが、
これだけ愛嬌があった憎めないキャラクターをそのまま葬るのは後味が悪く感じます。
あの女性は心の花を奪われたために昏睡状態となり、
奪われた心の花で作り出されたのがサソリーナという存在だと考えられますが、
明確にそのような描写はなく、あくまで見る側の想像に委ねられています。
本当はサソリーナを倒してしまっているのかもしれませんが、
無印のラストに登場するキリヤに似た少年のように
どこかで生きているかもしれないと想像する事も出来る、良い構成だと思います。
もっとも、クモジャキーやコブラージャさんもこのように決着するのでは?
と思わせてしまう欠点もありますが・・・

「嫉妬」「寂しさに耐える」
サソリーナが遺した心の花は、彼女の性格をよく現しているようですが、
人間誰もが持ちうる感情でもあります。そしてワガママでもあったサソリーナでしたが、
心の奥底には雀を慈しむような小さな優しさが封じられていたのでしょう。
サバークによって意図的に封印されていたのか、
自ら覆い隠そうとしたのかは分かりませんが、それ故に今までも隙が出来て
プリキュアの技を受けた影響とはいえ、花を慈しむような一面を見せたりもしました。
願わくば、その心を取り戻したサソリーナ似の女性の平穏な生活を祈りたいものです。
そして今回、久々に生み出された心の種は、佐藤君のものだけでなく、
もしかしたらサソリーナのものだったのかもしれないと思いました。

クモジャキーとコブラージャさんの描写も優れていました。
仲が悪そうに見えて意外と結束が強い事は今までにも描かれており、
彼らなりにサソリーナを心配している事が想像できます。
「惑星城に戻す」という意見も前線から遠ざけようという物ですし、
サソリーナの力の限界を告げて思い留まらせ、
それがサソリーナのプライドを傷つけると判断すると
サソリーナのやりたいようにさせるという懐の深さを感じさせます。
サソリーナを助けに入ろうとしたコブラージャさんを留めたクモジャキーの心境も、
サソリーナのプライドを尊重しただけではないと思います。
最後通告を受けている以上、ここで帰還したところでサソリーナを待ち受ける運命は
サバークあるいはデューンによる粛清でしょう。
それならばいっそ、戦いによる名誉の戦死を選ばせたのではないでしょうか。
出撃に赴く際、礼は言わないと言ったサソリーナが、
最期に遺した言葉はクモジャキーとコブラージャさんへの感謝だった事からも、
内に秘めた彼らの結束の強さを感じさせます。
サソリーナはあの女性として元に戻っただけかもしれませんが、
彼らにとっては「サソリーナ」という人格は失われ、死んでしまったと同じ事です。
今までおちゃれけていた彼ら(特にコブラージャさん)が、
今後どのように立ちはだかるのか、終盤戦の行方が楽しみになってきました。

心の花抽出要員なのに佐藤君の存在感が弱いのは仕方がありませんが
佐藤君の不純な妄想や、深刻な戦いにもかかわらず
「からだパンチ」(前は「ぜんぶパンチ」だったような気がしますが)という
妙な技を繰り出しての戦いは、サソリーナの最期という悲壮感を和らげる意味でも
バランスが取れていると感じました。

次回は、予告からはなんとなく軽そうな話にも思えましたが、
険しい表情のクモジャキーが気になります。
もしやクモジャキー最期の戦いになるのか、それとも・・・
残り僅かになったハートキャッチシリーズは、まだまだ気が抜けません。

なお最後に蛇足ながら、本日の新聞テレビ欄の表記が
「最終サソリーナ」となっており、何とも脱力ものでした。
フレッシュ第46話の「最終敵イケメン」もそうでしたし、
今後退場回の伝統となってしまうのでしょうか(笑)
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。