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プリキュア5 第23話『大ピンチ!悪夢の招待状』 [Yes!プリキュア5]

"本当に友達と呼べる人は居ない、あなたは一人ぼっち。解りますよ・・・私はあなた自身だもの"
"気ヲ遣ウノモモウ嫌ダナッテ思ッテルデショ?嫌ナ事ナンテ忘レテ、私達ト遊ボウ!"
"あんな子友達じゃないよ。のぞみなんて居なきゃいいのに。そう思った事、無い?"
"女優かプリキュア、あなたどっちを選ぶ?ほーら迷ってる。あなたは素敵な女優になれるわ・・・"

5人の関係に亀裂が入る時、深淵から見返すもう一人の自分が呼びかける、甘い囁き。
それは絶望を招き入れ・・・

―怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。
 おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。―

ニーチェ「善悪の彼岸」より

5人みんなで長い時間と手間をかけて創り上げた蝶の飾りは完成間近。
その中でうまくビーズ飾りを作る事ができず、
不器用なのぞみを見かねたミルクは、ミルクがやるとビーズを奪いとりました。
逃げ回るミルクをのぞみが追い回すいつものやりとりは、
せっかくの蝶の飾りを倒してしまいそうで危なっかしく、りんちゃんはのぞみに注意します。
のぞみはその注意を聞き流し、ミルクが逃げ込んだ卓の下へ入り込みますが、
暴れまわるミルクに驚いて卓を揺らしてしまったその時・・・
卓上に置かれていた蝶の飾りは音を立てて倒れ、
針金から外れた5色のビーズがゆっくりとナッツハウスの店内に転がりました。
ここ数日の作業が水泡と化し、呆然とする4人。そして・・・

『ミ・・・ミルクは悪くないミル!』
様子を見に来た小々田先生に隠れるようにミルクがすがり付いたのを皮切りに、
のぞみに向けてりんちゃんの激しい非難が発せられます。
『だってミルクが・・・』
のぞみの弁明に耳を貸さず、頭ごなしに叱り飛ばすりんちゃん、
キツい言い方しなくてもとたしなめるうらら、
のぞみも悪気があってした事ではないと仲裁に入ろうとするこまち、
のぞみの態度を冷たく言い含めるかれん。
ところがのぞみを巡るやり取りは、うららがこまちに同意を求めた事で一変します。
うららの言い分と、かれんやりんちゃんの意見、どちらにも一理あると言うこまちに
かれんが向けた言葉は辛辣でした。
『どっちつかずの態度はその人のためにならないわ。
 こまちは甘いのよ。優柔不断だわ・・・』

『かれん・・・!そんな風に思ってたの・・・?』
失言に気付いたかれんが否定しようとしても時既に遅く、俯いて黙ってしまうこまち。
『そんな事より!!』『そんな事とは何よ!!』
こまちを傷つけたと気が気でないかれんは、りんちゃんに「そんな事」と言われて逆上し、
皆の対立はさらにエスカレートしていきます。
『みんな・・・そう興奮しないで・・・』
のぞみが恐る恐るなだめようと口を挟むと、その矛先は再びのぞみに向かいます。
『何言ってんの!!!元はといえばのぞみが悪いんでしょうが!!!』
『だからりんさん!!!そういう言い方・・・!!!』
収拾がつかなくなった店内に、ナッツが激しくテーブルを叩く音が響き、我に返るみんな。
『責め合う前に片付けるのが先じゃないのか?』
しかし誰も動こうとせず、店内は重々しい空気に包まれます。

そして、こちらも重々しい空気が流れるナイトメア社。
ブンビーさんはギリンマ君に辞令と称して黒い紙を差し出し、
それが何を意味するのかを知るギリンマ君は激しく狼狽します。
このままナイトメアを辞めるか、ナイトメアに忠誠心を見せるか二つに一つ。
ナイトメアへの忠誠心を選んだものの、
ギリンマ君の顔は恐怖に引きつり、脂汗を浮かべて震えが止まりません。
そして幹部であるカワリーノも動き始めました。
5枚の仮面を手にして、5人をバラバラにすれば良いとデスパライアに進言します。

その夜、小々田先生とナッツ、ミルクは黙々と店内に散らばったビーズを拾い集めていました。
いつものふてぶてしさも無く、肩を落としてビーズを集めるミルクも
本当はわかっているのでしょう。小々田先生に声をかけられると開口一番慌て出します。
『ミ、ミルクは悪くないミル!』
小々田先生とナッツは、素直に謝れないのをたしなめるものの
ミルクはビーズを集めてくる、と逃げるようにその場を離れ、
人知れずナッツハウスの裏手で膝を抱えます。
そして小々田先生は、のぞみの作りかけのビーズ飾りに目を留め、拾い上げました。

翌日のランチタイムは、いつもなら5人一緒の時間なのに、のぞみの周りには誰もいません。
りんちゃんは部活、うららは仕事、こまちは図書委員でかれんは生徒会。
たまたま用事が重なっているとはいえ、昨日の事があるだけにのぞみの心は晴れません。
そんなのぞみに声をかける小々田先生は、みんなのぞみの強い気持ちに惹かれて集まり、
みんなをもう一度笑顔に戻せるのはのぞみだけだと勇気付けます。
のぞみは飾りを壊してしまった事をまだ気に病んでいますが、
失敗は誰だってすると諭し、大切なのはこれからどうするかだと言い聞かせる小々田先生。
そのために、まずは泣きそうな顔を何とかしないと、と言われて
目に涙を溜めている事に気付いたのぞみは、涙を拭って精一杯の笑顔をつくりました。
そして小々田先生は昨日拾ったのぞみの作りかけを
作り変えたキーホルダーをプレゼントします。
店の飾りもアクセサリーも、どんな事も諦めなければきっとうまく行く、
のぞみなら出来ると言い聞かせて立去る小々田先生。
『こんなの、わざわざキーホルダーにしなくても・・・』
そう呟いた後、のぞみは改めて言い直しました。
『わざわざ、キーホルダーにしてくれたんだ』
そしていつもの快活なのぞみに戻り、みんなとの仲直りを誓います。
ところが・・・

『ごめんなさい、昨日の事・・・』
『いいのよ、別に』
暗雲が立ち込める空の下、謝るかれんと返すこまちは互いに目も合わせず、
2人の間には微妙な距離が隔てられています。
突如、その行く手を遮ってギリンマ君が立ちはだかり、変身する2人。
しかしギリンマ君の様子はいつもと異なります。
『俺はずっとナイトメアのために働いてきた・・・それなのにお前達のせいで俺はッ・・・!』
ギリンマ君は搾り出すような声で恨み節をぶつけ、
歯軋りをして拳を握り締め、決意を固めて懐から黒い紙を取り出しました。
紙は黒い仮面と化し、自我の崩壊を招くと知った上でギリンマ君は自ら仮面を被ります。
警戒するミントとアクアの前で、不気味に変貌して行くギリンマ君。
そしてその姿は巨大なカマキリの怪物と化しました。
怪物の強烈な一撃に身を守る事すら敵わず、
吹き飛ばされるミントとアクアをカワリーノが闇の力で包み込みます。
意識を失った2人が闇の中で見たものは・・・

『これより会議を始めます。議題は生徒会長、水無月かれんについてです』
時空が捻じ曲がったような生徒会室で目を覚ますアクア。
その前には仮面をつけた生徒達が座り、アクアの問いかけにも答えず
淡々と「水無月かれん」についての報告書を読み上げて行きます。
『成績は学年トップ、あまりに優秀すぎて誰も彼女について行けないため、
 常に周囲から浮いてしまう。その事を悩んでいるのに誰にも相談しない。
 本当に友達と呼べる人はいない・・・』
『嘘よッ!』
否定するアクアの声は、仮面の生徒の言葉に打ち消されます。
『あなたはひとりぼっち・・・』
『あなたに何がわかるの!?』
『わかりますよ。だって・・・』
反論しようとしたアクアは、仮面を外す生徒の顔を見て愕然としました。
『私はあなた自身なんだもの・・・』
無表情な仮面の下から現れるのは、同じように無表情な水無月かれんの顔。
その冷たい目に魅入られて、徐々にアクアの意識は薄れて行き・・・

ミントは花畑で目を覚ましました。そよ風が花を揺らす穏やかな光景が広がる中、
不意にミントの前にこまちを象ったような人形が姿を現します。
『コマチチャン、コンニチハ!』
そして花畑の四方から無数の人形が現れてミントを取囲みました。
それはこまちが幼い頃に初めて書いた物語のキャラクターで、
そのページにはこう書かれていました。「そして こまちは ぼうけんに いきました」
『コマチチャン、コマチチャン、私達ト一緒ニ、冒険ノ旅ニ出ヨウヨ!』
ミントはみんなの所へ戻ろうと人形達の誘いを振り切るものの、
胸元に登った一体の人形が、心の深淵をえぐるように語りかけます。
『本当ハ戻リタクナインデショ?頑張ッテ喧嘩ヲ止メヨウトシタノニ、
 優柔不断ッテ言ワレチャッテカワイソウ。気ヲ遣ウノモモウ嫌ダナッテ思ッテルデショ?』
『そ・・・そんな事・・・!』
否定しようとして口ごもるミントも、心のどこかでそう思っていたのでしょう。
『ココナラコマチチャンノ思イ通リダヨ。嫌ナ事ナンテ忘レテ、私達ト遊ボウ!』
耳まで裂けた口で笑う人形が、ミントの目の前で呼びかけます。
人形たちに屈したミントは人形たちの山の中に沈んで行き、
後には人形たちの声だけが響き渡り・・・
『コマチチャン、コマチチャン、コマチチャン、コマチチャン・・・』

あっさりとミント、アクアを手中に収めたカワリーノ。
その背後からギリンマ君の成れの果てが、敵味方の判別もつかず見境無く襲い掛かります。
『ギリンマさん・・・あなたのナイトメアに対する忠誠心は素晴らしい!』
カワリーノはその一撃を難なく止めて、もう一働きさせるべく動きを封じました。
『まずは二人・・・』
ミントとアクアを見下ろすカワリーノの手には、2枚の仮面がありました。

うつむきながら一人で下校するりんちゃんに追いすがるうららは、
のぞみと一緒じゃないのかと訊ねますが、りんちゃんの答えはそっけないものでした。
『私はいつものぞみと一緒な訳じゃないし、はっきり言って面倒見きれないよ』
『そんな言い方したら、のぞみさんがかわいそうです』
そう言いながらもどこか寂しそうなりんちゃんには、
のぞみの事だけを案じているようなうららの言葉が癇に触ったのでしょう。
普段の思慮深いりんちゃんなら、絶対に言わないような暴言が飛び出しました。
『口を開けばのぞみのぞみって、あんた他に友達いないの!?』
そう言ってしまってから失言に気付いても既に遅く、うららは歩みを止めて涙を浮かべています。
そして、一番言われたくない事を言われたうららも激しく反発しました。
『りんさんには関係無いじゃないですか!!
 のぞみさんとうまく行ってないからって、八つ当たりしないで下さい!!』

『私がいつ八つ当たりした!?』
『してるじゃないですか!!!』
しかしいがみ合っていても、ピンキーの姿を見つけると我に返ってその後を追いますが、
まるで暗い路地裏に誘い込むように動くピンキーの様子はおかしいです。
果たして人気の無い路地裏ではギリンマ君の成れの果てが待ち構えていました。
変身して立ち向かうも、その圧倒的なスピードとパワーに成す術も無く、
弾き飛ばされたルージュもまたミントとアクア同様、闇に包み込まれました。
先ほどのピンキーに姿を変えていたカワリーノによって・・・

『うわー痛そう』
幼い頃、のぞみと二人で歩いた道で、足に怪我を負って街灯の下でうずくまるルージュに、
帽子を目深に被った子供が声をかけます。
『危ないよ、早く逃げ・・・』
『のぞみのせいだよね』
気遣うルージュの言葉を遮り、帽子を脱いだ子供は、幼い時のりんちゃん自身でした。
『いっつもそう。のぞみのせいで大変な事に巻き込まれてさ、
 こっちが必死に面倒見てるのにちっとも感謝してないし、あんな子友達じゃないよ』
『そんな事、無い!』
近づいて来る幼いりんちゃんに反論するルージュですが、
目の前に来た幼いりんちゃんの囁きが心の深淵に響き渡ります。
『のぞみなんて居なきゃいいのに。そう思った事、無い?』
心の闇を覗き込むような、幼いりんちゃんの目。
そしてルージュの瞳に写る幼いりんちゃんが歪んだ笑顔を浮かべるのを認めて
ルージュの意識は遠のいていき・・・

あれ程言い争っていてもルージュを気遣い、
単身ギリンマ君の成れの果てに立ち向かうレモネードですが、一人ではどうにもなりません。
レモネードフラッシュはまるで効かず、ギリンマ君の成れの果てに吹き飛ばされて
同様にカワリーノに囚われました。

『こんにちは♥』
楽屋で気がつくレモネード。しかし鏡に映っているのは「うらら」で
その「うらら」が鏡の向こうから語りかけてきます。
『仕事が増えてきてもう大忙し。でもお父さんやお爺ちゃんも喜んでくれるし、
 お仕事もっともっと頑張らなきゃ。もうプリキュアやってる暇は無いな』
『私はやるって決めてるの。女優も、プリキュアも』
レモネードの反論は、「うらら」にあっさりと切り捨てられます。
『甘い甘い。女優になりたい子はたっくさん居るのよ。他の事をやってる暇はないわ』
それでもこれからものぞみと一緒にプリキュアを続けると主張するレモネードに、
入学当時の事を思い出させる「うらら」の言葉が突き刺さります。
『女優になるのが最優先。友達が出来なくても構わない!・・・って』
動揺するレモネードに追い打ちをかけるように、鏡の中から「うらら」が身を乗り出してきます。
『両方やるなんて絶対無理・・・女優かプリキュア、あなたどっちを選ぶ・・・?』
本心では迷いがあるのか、レモネードは答えられません。
『ほーら迷ってる。あなたは素敵な女優になれるわ・・・』
レモネードの瞳に映る「うらら」の歪んだ笑顔、
耳をくすぐるような「うらら」の笑い声は徐々に遠のいて行き・・・

ナッツハウスを訪れたのぞみは、まだ誰も来ていない事を知りました。
ココとナッツは先ほど異様な気配を感じており、
みんなの身に何かあったのではないかと案じていると、突然上からカワリーノの声が響きます。
いつの間にかナッツハウスの2階に姿を現し、丁寧に自己紹介をするカワリーノからは、
線の細い外見や柔らかな物腰だけに、かえって恐ろしく危険な雰囲気が漂っています。
カワリーノから他の4人をナイトメア本部に拉致した事を告げられ、息を飲むのぞみとココ達。
そしてカワリーノは当然のように4人の身柄と引き換えにコレットを要求しました。
りんちゃん、うらら、こまちさん、かれんさん・・・のぞみの脳裏に4人の姿がよぎります。

『みんなを傷つけたら、コレット壊すから!』
意を決してナッツからコレットを預かったのぞみは、
逆にコレットを盾にしてカワリーノと交渉を始めました。
コレットを壊せばパルミエ王国は蘇らない、と動じないカワリーノですが、
ココとナッツもナイトメアにコレットが渡るなら壊したほうがマシだとのぞみを後押しします。
コレットが欲しいならナイトメアの本部へ連れて行くよう要求するのぞみに
カワリーノは何やら不敵な笑みを浮かべて空間にナイトメア本部への扉を作りました。
一人扉へと歩んでいくのぞみ。
ココとナッツもミルクに残るよう念を押した後、その中へと進んでいきます。
しかしミルクは忠告を破って、そっと後からついて行きました。

無機質なビルが立ち並ぶ世界に聳え立つナイトメア本部ビル。
のぞみとココ、ナッツはカワリーノに導かれてエレベーターに乗り、
ブンビーさん達の部署のあるフロアへ飛び込みます。
突然現れたのぞみに度肝を抜かれてお茶を吹き出すブンビーさんを他所に、
のぞみは背後のモニターに映るデスパライアと睨み合います。
『私の友達を返して!』
そのような者はここには居ないと言われて、
とぼけないでと叫ぶのぞみを嘲笑うようにカワリーノは
『あなたの友達と言うのはあの4人ですか?』と水を向けます。
ナイトメアの従業員達が連れて来る4人のプリキュア。
ゆっくりと振り返るその顔は、絶望の仮面で覆われており・・・
のぞみ達の前に広がる悪夢は、まだ終わりません。


何の因果か、クリスマスにプリキュア史上最も恐ろしいエピソードを見返す事になりました。
既にこの内容とその後の展開を知っていても背筋が寒くなり、
何度見返してもその恐ろしさは変わりません。
かれん、こまち、りんちゃん、うららの心を容赦無く抉る各々の場面の恐ろしさも去ることながら、
(特にコマチチャンは今見ても夢に出そうなくらいに強烈です)
何よりも恐ろしいのは築き上げてきた信頼は実に脆く崩れてしまうという事実です。
今回の危機はカワリーノをはじめとしたナイトメアが仕組んだものでは無く、
5人の心が分断されてしまった所にたまたまカワリーノの策が的中しただけです。
ハートキャッチを除いた全てのシリーズにおいて仲違いが描かれますが、
なぎさとほのかは藤Pを交えての考え方が咲と舞は「姉」と「妹」の立場の違いが
フレッシュの4人は皆がシフォンを守ろうとして独りよがりになった事が原因で、
敵側が全て仕組んだものは皆無と言えます。
持ち物を消して咲と舞を気まずくさせようとした満と薫
あゆみさんを利用した結果、ラブとせつなの関係をぎこちなくさせたノーザ「さん」
数少ない例外と言って良いかも知れませんが、いずれも大した効果を上げていませんでした。
つまり敵の小細工よりも、仲間同士の信頼関係の崩壊こそが、
プリキュアにとって深刻な結果を及ぼしています。

のぞみが壊すと同時にナッツハウスに散らばる5色のビーズは、
そのままバラバラになった5人を暗示していました。
一通りビーズの雨が降った後、ピンク色のビーズを中心に散らばる赤、黄、緑、青のビーズ。
ほんのさりげない一場面ですが、これは仲違いだけでなく、
バラバラになったみんなの中心にのぞみがいる事を暗示していると思わせます。
その事を気付かせるような小々田先生の語りかけ、
そしてキーホルダーのプレゼントは次回で立ち直るきっかけとなりますが、
どうにもならない程分裂している冒頭の描写であっても、
関係改善を伺えるような伏線になっているように感じました。
そして他の4人のように秀でたものが無いのぞみが何故リーダーたり得るか。
カワリーノに対しての見事な駆け引きの上手さもそうですが、
立ち直りの早さと諦めない気持ちがのぞみの強さだと思います。
小々田先生からキーホルダーを貰った後「わざわざキーホルダーにしなくても」
と漏らした直後に、「わざわざキーホルダーにしてくれたんだ」と言い直しますが、
同じ意味でも感じ方は全然異なります。
きっかけは小々田先生の言葉であっても、自らポジティブに向ける事が出来る前向きな姿勢。
この場面はりんちゃん、うらら、こまち、かれんの誰に置き換える事もできません。
これこそがリーダーの素質ではないでしょうか。

自分の見られたくない心の奥底を他人に知られてしまうのは恐ろしいですが、
それを自分自身が見てしまうのも恐ろしいことです。
4人が見る悪夢の世界で、それぞれ自分の分身に告げられる言葉は図星だからこそ、
自分では認めたくない、目を背けたいものでした。
人はその本心を隠すための仮面を被って生きています。
それは悪いことだけではなく、人間関係を円滑に進めるためにはどうしても必要な事ですが、
仮面に覆われた本心はいつしか自分でも見えなくなるものです。
仮面が素顔になってしまい、自分でも素顔がわからなくなってしまう。
自分を見失うとはそのような状態です。
過去、私自身も心の病に冒されましたが、
自分の心の見たくない一面と徹底的に向き合わされ、再び社会復帰を果たせました。
このように説教臭い文章ばかりを綴る私自身を嫌う事は簡単ですが、
そんな私自身を認めてこれが私なのだと自分を知る事。
ありのままに生きる事が大切なのだと、自分自身に言い聞かせるようにしています。

追い込まれてしまったギリンマ君もまた、プリキュア達と同様自分を見失い、
「ナイトメアの忠誠心」という仮面を被ってしまいましたが、
仮面に覆い隠されてしまった本心はどうだったのか。
カワリーノに襲い掛かったのは、ひょっとして本心ではないでしょうか。
プリキュアのせいだと言いながらも、
今まで懸命に働いてきた自分をあっさりと捨て駒にする組織に対し、
特に黒い仮面を指示したカワリーノに対する恨みを理性を失った怪物として果たそうとしている。
後に同様の末路を辿るナイトメアの皆さんが、ギリンマ君のように敵味方の区別無く
襲い掛かるという描写が見られないため、そのような印象を受けます。
怪物と化し、理性を失った後はただ唸り声を発するだけなのですが、
カワリーノに拘束され、唸り声を上げながら激しく暴れるギリンマ君の声は
一瞬「嫌だ」と言っているようにも聞こえます。
これ以上働かせるのは、利用するのはやめてくれ、という哀願のようで
ギリンマ君には特に同情を禁じえません。

不注意だったのぞみに、ちょっかいを出したミルク。
直接の原因はこの二人であっても、
ミルクの事を置いてのぞみだけを頭ごなしに怒鳴ったりんちゃん、
他のみんな(特にりんちゃん)の気持ちを考えずのぞみの肩しか持たないうらら、
かれんの言うとおり確かに優柔不断な面が否めないこまち、
自分に厳しいあまりに他人にも厳しく当たるかれん、
非はそれぞれ全員にもあります。
それはこれまでミルクにきちんと注意してこなかったココとナッツにもあり、
2話前の展開から問題の一端が見えていました。
しかし覆水盆に帰らず、過ぎた問題を振り返ってもどうにもなりません。
どのように立ち直り、どのように新たな信頼関係を築くのか。
今年最後の再見になる次回の展開で、改めて見極めたいと思います。
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