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プリキュア5 第41話『伝わる気持ち こまちとうらら』 [Yes!プリキュア5]

主人公が2人のシリーズから一気に5人へと増えた5シリーズでは、
ペアで描かれる事の少ない組み合わせがあります。
今回焦点が当てられる2人、こまちとうららの組み合わせ。
後に5GoGo劇場版でも印象的に描かれる事になるこの2人は、
「物語を書く」、「物語を演ずる」という近しい共通点が見受けられます。
オーディションのラストの台詞に、執筆中の小説の台詞にそれぞれ思い悩む2人が
多くは語らずとも背中合わせで通じ合った気持ちとは・・・?
  
―背中を向ける少年に、少女は言った―
放課後の図書室で小説を執筆中のこまち。
しかし、この先の台詞がどうしても書けずにペンを置きます。
その帰り道、台本を読みながら歩くうららが目に留まりますが、
熱心に台本を読んでいるうららはこまちに気が付きません。

後日、ナッツハウスでうららはドラマのオーディションを受ける事を報告しました。
しかし最後の台詞を自分で考えるという課題に悩んでおり、
そんなうららにのぞみはみんなで考えようと提案します。
そのドラマはラブストーリーで、別れのワンシーンがオーディションの課題。
ずっと想いを寄せていた男の子と離れ離れになる女の子が
その別れ際に自分の気持ちを伝えるシーンと聞いて、こまちの心がざわめき立ちました。

その頃、ナイトメアではカワリーノが珍しく己の出世欲を語りながら、
ブンビーさんはともかくハデーニャさんまでもが結果を出せない事に苦言を呈しています。
その話題を振られたブラッディ氏は、かつての部下に皮肉めいた事を言われても
さすがは最高幹部、マントを翻し、カワリーノに背を向けゆっくりと出撃して行きました。

『私、さよならは言えません!』
みんなの前でナッツを相手に、最後の台詞を涙を浮かべ迫真の演技を披露するうらら。
ただ「ああ」としか相槌を打たないナッツのやる気の無さはともかくとして、
うららの演技に関してはみんなも太鼓判を押し、
あとは緊張せずにいつもの演技が出来れば大丈夫だとアドバイスします。
そして最後の台詞に関しても素直で言い台詞だと評価するみんなの中にあって、
一人こまちだけは考え込んでいました。
うららに意見を求められて我に返ったこまちは、アタフタして無難な答えしか口に出来ません。
こまちに何かを期待していたようなうららは少し残念そうでした。
そして、無難な答えしか口に出来なかったこまちもまた・・・

放課後の学校で一人練習に励むうらら。そして原稿に向かうこまち。
何度も何度も台本を読み返しては首を振り、
何度も何度も書いては書き直し―

翌日のランチタイムで、みんなはオーディションが迫るうららのために
大量の料理を用意して、いっぱい食べて元気に行こうと盛り上げます。
しかしうららは、改めてこまちに最後の台詞の意見を求めました。
突然振られたためか、こまちはまたしても「本当に素敵な台詞だと思う」との
無難な回答しか返す事ができず、うららは改めて本当にそう思うのか問い返します。
言葉に詰まってしまうこまちに謝り、練習してくると言い残して一人立去るうらら。
その後姿を見送ったこまちも、何か心の中に踏ん切りがついたようです。
それにしても折角の大量の食事が勿体無いですが・・・(笑)
この後のぞみ達がおいしく頂きました(嘘)

その放課後、図書館で原稿を手に取るこまちの許へ、
まだ学校にいる筈のうららを探しにやって来るのぞみ、りんちゃん、かれん。
結局のぞみのペースに巻き込まれ、うららと一緒に帰るという理由のため
手分けしてうららを探す事になりました。
そしてこまちは、うららの居場所をなんとなく直感します。

うららは大講堂の舞台上で、一人で膝を抱えて俯いていました。
こまちは薄暗い舞台に照明を灯し、どうしてもうららに話したい事があると切り出します。
こまちが書いている小説もうららのドラマと同じような状況で、
主人公の女の子が男の子に想いをどう伝えるのか台詞が思い浮かばず、
それ故にうららの悩みに答える事は出来ませんでした。
それでも今できる事として、書きかけの原稿をうららに差し出すこまち。
何度も書き直している手書きの原稿を見たうららは、
そんなに書き直しても答えが見つからないのかと改めて驚きました。
何の力にもなれないと謝るこまちですが、
そのお陰でうららは何か大切な事が解ったような気がします。

不意にこまちは悪戯っぽい笑みを浮かべて、例のドラマのワンシーンを切り出します。
『この時が、遂に来てしまったね』
うららもこまちの意図を察し、台詞を続けて行きました。
『目指す道は果てしなく遠いのに、どうして行くのですか?』
『空に太陽が昇るように、この道が希望へと続いているからです!
 ・・・なんちゃって』

少々大げさなアドリブになってしまった事を笑い合う2人。
背中を合わせて座り、見上げた舞台の天井には
空に昇った太陽のような照明が2人を照らしていました。
夢を追う大変な事でも、とても幸せな事。
当初から明確な夢を持っていた2人は、互いに似たような事を考えていました。
うららはいつかこまちが書いた物語を演じてみたいと、
こまちはいつかうららに自分が描いた物語を演じてもらいたいと。
言葉にしなくても気持ちは伝わるという事を知る2人の前に、
口にしなくても気持ちの伝わる人がもう一人やってきました。
その人―のぞみは2人に何の話と問い、何でもないと笑い合ううららとこまち。
和やかな雰囲気が舞台の上を包みます。ところが・・・

唐突に講堂に鳴り響く拍手がその雰囲気を打ち破りました。
いつの間にか客席に座っていたブラッディ氏は面白い芝居を見せてもらったと褒めながらも、
想いが伝わるなど幻想であり、自分以外の者をを信じるなど愚かしいと言い放ちます。
そして椅子に仮面を被せ、講堂内の空間そのものをコワイナー化。
壁から、床から、天井から伸びる無数の腕の前に変身する3人。
そしてりんちゃんとかれんも危機を察したココの導きを受けて講堂へと向かいました。

ミントとレモネードは互いの死角をカバーしながら防戦し、
ドリームに迫る腕を蹴散らします。
しかし、いくら腕を蹴散らしてもすぐに再生し、キリがありません。
ブラッディ氏のステッキが床を鳴らすと同時に現れる無数の腕によって、
3人それぞれ引き離されてしまいました。
『これで二度と意志の疎通などと言う下らないことは言えまい』

講堂の外に駆けつけたルージュとアクアにも無数の腕が迫ります。
腕を蹴散らしながら中の3人の名を呼ぶ2人。
その頃ブラッディ氏は得意の話術でミントの心を揺さぶっていました。
『一人じゃ心細いのかな?ならば早く仲間を呼んだ方が良いんじゃないのかね?
 まあ、この状況で君の危機を伝える方法など、無いと思うが』
他の4人は無数の腕にあしらわれ、ミントにも無数の腕が迫ります。
ミントシールドで防ぐミントを諦めさせるように、ブラッディ氏の言葉が続きます。
『何をやっても無駄だ。君達の想いは誰にも届かないのだから・・・』
『そんな事ないわ!』
ブラッディ氏の言葉に反発すると共に、ミントシールドの防御力が増大して行きます。そして・・・
『(私の想いに、気付いて)』
目を閉じて願うミントの想いは、それぞれの許へ緑に輝く光を差し込ませました。
その光の差す方向へ向けて、4人は一斉にクリスタルシュートを、レモネードシャイニングを、
ルージュバーニングを、そしてアクアトルネードをぶつけます。

『無駄だと言っているだろう。お前たちの想いなど、誰にも届かん』
あくまで余裕の態度を崩さないブラッディ氏に、
伝えたいという強い想いがあれば気持ちは必ず伝わるとみんなで反論。
4人の技はミントの想いを伝える光に導かれ、一斉にブラッディ氏目掛けて襲い掛かります。
すかさず身をかわすブラッディ氏。そして腕コワイナーは4人の技の力で一掃されました。
お互いを想う気持ちは必ず伝わると宣言する5人を前に、
ブラッディ氏は舌打ちして引き上げて行きます。
『どうして気付かなかったのかしら?』
『答えは出ていたんですね』
そして戦いの中で、ミントとレモネードは何かに気がついていました。

うららはオーディションの際、結局最後の台詞を無くし、相手を見つめる芝居だけにした結果、
そのお陰で気持ちを強く表現する事が出来たようです。
そしてこまちも主人公の女の子も何も喋らせない事で相手に気持ちを伝えられると悟り、
小説を先に進める事が出来ました。
ところで、小説の登場人物のモデルは居るのかと聞かれたこまちは急に赤面し、
同じ頃ナッツハウスではナッツがくしゃみをしていました。
そういえば、小説のモデルは居るんですかと聞かれて
『ち、違うのよ!絶対!』
こまちは誤魔化すように先に行き、その後を追ううららを、3人は首を傾げて見送りました。


前々回同様、今回も「別れ」を意識した展開が繰り広げられます。
小説のモデルに自分とナッツを反映しているこまちは、
薄々別れの時が来る事を察していたのではないでしょうか。
だからこそいざ自分達にその時が訪れたら、どんな言葉を口にするのかが解らず、
書き進められずに悩んだのだと思います。

一方うららにとっては、この段階でまだ「別れ」を意識するような相手はおらず、
女優になるための夢の一端として、別れの演技に全身で挑もうとしていたのでしょう。
うららが自分に対して厳しい姿勢で臨む姿はかねてから描かれており、
今回も一人練習し、一人行動の舞台で考え込む姿が印象に残ります。
しかしそんなうららも、他人の意見を聞いて安心したいという気持ちがあったと思います。

意見を求めるのは決して悪い事ではなく、
むしろ適切な助言をもらって良い物を目指すのはプラスに働くものですが、
今回2人が出す結論のように、言葉にしないでも通じる気持ちともあります。
そしてこちらの気持ちを伝えるには、相手に伝えたいというだけでなく、
どうすれば相手に伝わるのか、相手の事を理解しなければ伝える事はできません。
古今の別れのシーンにおいては名台詞にも事欠かず、
無言の別れのというものも多くの名場面があります。
別れに際して伝えたい思いを言葉で伝えるにも、無言で伝えるにも、
互いを想わなければ相手に届かないばかりか、視聴者や読者の心にも響きません。
その事を伝えてくれた今回は、なかなか含蓄のある一編だと思います。

一方、ブラッディ氏が得意とする巧みな話術をもっと織り交ぜ、
ミントとの間に深い論戦があれば更に楽しめたような気がします。
今回のブラッディ氏は言葉巧みに語りかけるいつもの戦法であるものの、
ミントの気持ちというか気合一つに押し返されてしまったようで、
あっさりと反撃されてしまったように感じられたのが残念でした。
全員の変身や技を放つ際も一人ずつ、長めの尺が取られている事もあり
後半が少々間延び観があるのも惜しいと思います。
それでもこまちとうららの心境を表すような夕陽の情景や
舞台上の照明など「光」を上手く使用した演出が印象的で、
シリーズ後半という寂量感も丁寧に描かれていたように感じました。
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まるっさ

再放送見るまでは取り立てて印象のなかった回でしたが、改めてみますとキャラクターの夢に向けての心情など6らしい丁寧さのある話だったと思います。

しかしブラッディさん、社会人が『意思の疎通などありえない』じゃだめなんですが・・・ほうれん草だよ!ほうれん草! 鉄分補給だよ!
もっともナイトメアは超個人主義だからなぁ・・・それ考えるとまだエターナルのアナコンディさんは組織の上司としては優秀だったのだろうかw

それはさておき、みんなの必殺技がミントシールドの光を伝って終結するシーンで定番BGM『五つの心!プリキュア5』がかかった時は、うるっときてしまいました。先述のアクアがハデーニャさんの槍を吹っ飛ばしたときもそうですし、第1話のラスト、そして5GOGOでの館長フルボッコタイムでもそうでしたが、このBGMの盛り上げる力も半端ないな、と思います。
by まるっさ (2012-01-28 11:17) 

スティクス

>まるっささん
私も2年半、初代から続けた再視聴で
新たな発見の数々を楽しんでいましたので、
印象の薄い話の魅力を再発見できる事が再視聴の醍醐味ですよね。

>ブラッディさん
確かに、ホウレンソウが足りてませんね、この組織(笑)
それでいながらブラッディ氏は後に過去の結束を主張したりするので、
現実の組織があまりにかけ離れているだけで
「こういう組織に属したい」という理想は高かったのかもしれません。

>BGM
分断されたミントとみんなが一つに揃うカタルシスを盛り上げていましたね。
佐藤さんの音楽の素晴らしさもありますが、
思い出すだけで涙が出てくるMH最終回の「三人の絆」など
プリキュアシリーズは選曲タイミングの上手さも光りますね。
今日はその「音楽」をテーマにした物語の最終回。
これから気合を入れて臨みますので、こちらも宜しくお願い致します。

by スティクス (2012-01-29 07:46) 

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