SSブログ

プリキュア5 第42話『りんとかれんのひそかな約束』 [Yes!プリキュア5]

当初はそりが合わなかったりんちゃんとかれん
この2人はとにかく負けず嫌いな事が共通していますが、
もう一つ、この時点で自分の将来像が描けていないという点もありました。
明確な目標に向けて歩んでいるうらら、こまちの姿が眩しく見えてしまった2人は
りんちゃんの店の手伝いとブンビーさんとの戦いを通して徐々に道筋を掴んで行きます。
珍しく悪役らしい活躍を見せるブンビーさんを2人と対比するように描いた、
シリーズ終盤に相応しい一編です。
 
作中世界ではもうすぐクリスマスです。
ナッツハウスのクリスマスセールに向けてチラシを作ったり、店内の装飾をしたりと、
まだ12月になったばかりと言うのにクリスマスムードに盛り上がる様は
この世界に来て日の浅い小々田先生やナッツを驚かせるに十分です。
りんちゃんはうららが照明さんに教わったと言うライティング法に感心し、
かれんはこまちがその文才を活かして商品に添えたポエムを評価します。
ちなみにそのポエムは以下のような、いささか恥ずかしい内容ですが・・・(笑)
”聖なる日、聖なる夜 何処の空の下に貴方は―
 私は貴方を求め、今宵も星空の海を彷徨い行くのだろう・・・"

自分で飾っておきながら恥ずかしそうなこまち。
そして店内には花が無い事に気が付いたのぞみは、
りんちゃんとかれんを半ば強引にお花係りに任命しました。

『チッ・・・いい気なもんだ』
ハデーニャさんの肩を揉みながら、ギリンマ君のようにボソっと小声で漏らすブンビーさん。
当然面と向かってそんな事は言えずにへつらうブンビーさんに、ハデーニャさんは
何の目標も無くただ肩を揉んでいるだけでいいのかと痛いところを突いてきます。
ブンビーさんには前の部署を潰してしまったマイナス査定もあるため、
例の黒い紙を渡されてしまうかもとハデーニャさんに脅しをかけられ、内心冷や汗モノです。
(もっとも次回で、ブンビーさんをいじめていたハデーニャさんに
 先に黒い紙が渡される事を知っている身としては、実に皮肉なワンシーンでした)

さて、りんちゃんとかれんは花を見繕いにフラワーショップ夏木へ向かいますが、
丁度和代ママはゆうとあいを迎えに行かなければならず、
渡りに船とりんちゃんに店番を頼みました。
断る事も出来ず、かれんに先に戻って貰おうとするりんちゃんに、
かれんは手伝いを申し出ますが・・・
『気にしないで下さい。慣れてないと色々大変だから』
このりんちゃんの一言がかれんの負けず嫌いの心に火をつけました。
『あら?私だって少しはお手伝いできるわよ。時々見てるんだから』
『見るのとやるのとじゃ、違うと思いますけど』
久々に火花が散る2人。その時店の電話が鳴り、適切に電話応対するりんちゃんを
少し見直したように見守るかれん。そんな中にお客さんが来店し、
電話応対に追われているりんちゃんを見て、忙しそうだと遠慮して帰ってしまいそうです。
かれんはしばし戸惑うも、そのお客さんを引きとめて代わりに接客を務め、
その後も球根を買った男の子に適切な育て方をアドバイスする等、
りんちゃんもかれんの応対と草花の知識を改めて見直しました。
そしてかれんもまた、一人で恐る恐る花を買いに来た日向みのりちゃん(違)に対して、
膝を落として同じ目線で接客をするりんちゃんを改めて見直します。

ナッツハウスではりんちゃんとかれんが中々戻ってこない事で、
以前のようにモメているのか心配する声も上がる中、
2人を任命したのぞみは絶対大丈夫だと自信を持っており、
そしてこまちとうららも改めてのぞみの言葉通り2人を信じて待つことになりました。

かれんの接客も次第に板につき、りんちゃんはかれんの草花の知識を認めて、
手伝ってくれた事に素直にお礼を言います。
かれんもお客さんの必要としている物をきちんと考え、
丁寧に優しく応対していたりんちゃんの仕事ぶりを素直に評価し、
本当に好きじゃないとあんな風には出来ないと評しました。
しかしりんちゃんは将来花屋になると決めた訳ではなく、
まだ自分のやりたい物を見つけていないような気持ちに囚われています。
それはかれんも同様で、りんちゃんは何でも出来るかれんが
将来の道筋を立てられない事に少々以外そうです。
かれんは目の前の事は一生懸命やっていても、それが将来もやりたい事なのかと思う事があり、
こまちやうららのように一つの事に真っ直ぐ進んでいる人を羨んでいました。
りんちゃんもフットサルや店の手伝いを楽しんでいる毎日に充実感を覚えていますが、
それでものぞみのようにココ達のためにプリキュアとなって、みんなの先頭に立てる姿を見て、
本当にやりたい事とはあのように頑張れる事だと考えていました。
のぞみのようにやりたい事を見つけられるか、
りんちゃんもかれんもまだ自信がありませんが、だからこそ2人は約束しました。
将来やりたい事が見つかったら互いに真っ先に教え合う、と。
そして、どちらが先に見つけるか楽しみだと笑い合う2人。しかし・・・
『やりたい事?そんなの見つかる筈無いよ。君達に将来なんて無いんだからね』
2人の約束を、ブンビーさんが通りの影で伺い、嘲笑っていました。

すっかり遅くなってしまったりんちゃんとかれんは、
銀杏の落ち葉が舞う夕暮れの道をナッツハウスへと急ぎます。
その行く手を、すっかり待ちくたびれたブンビーさんが阻んで、
肩揉みだけでなくやる時はやるのだと早速臨戦態勢になり、
銀杏の落ち葉に仮面を被せたコワイナーと共に立ちはだかります。
変身し、コワイナーに蹴り掛かるルージュとアクア。
しかし今回のコワイナーはなかなかの力の持ち主で、
返り討ちに遭い跳ね飛ばされた2人にブンビーさんの言葉が突き刺さります。

『聞かせてもらったよ。君達には無いんだよね?将来の夢も希望も』
思わず息を呑む2人。今回のブンビーさんはいつになく雄弁で、
それは絶望と言うのではないかと水を向けます。
私達の夢は必ず見つかるとブンビーさんに反発して立ち上がり、反撃に転ずる2人。
と思いきや、2人の反撃はあっさりとブンビーさんに止められ、
投げ飛ばされ、かかと落としを叩きつけられ、更にブンビーさんの言葉が突き刺さります。
『所詮夢なんてものは、幻想にすぎないんだよ!
 そんな物なんてどこを探したって見つかる訳無いよねぇ?』
ルージュとアクアはのぞみやうらら、こまちはちゃんと見つけてると反論し、
幻想などでは無いと主張しますが、そんな2人にブンビーさんは
まるで日ごろの鬱憤を晴らすように激しくラッシュを叩き込みながら力説します。
『いくら見つけたって、叶わなければただの幻!そして幻の先にあるのは絶望というものだ!
 希望だの夢だの全て無意味!絶望こそ唯一絶対の力ッ!!』
夢も希望も無意味じゃないと、続くブンビーさんの拳を受け止める2人。
しかし今回のブンビーさんは定石破りでした。
ルージュとアクアの反撃になるかと思いきや逆に2人を蹴り飛ばし、
倒れた2人に止めを刺すべく腕ミサイルを構えるブンビーさん。
絶体絶命のその時、ようやくのぞみ達が駆けつけました。

変身し、コワイナーに挑みかかるドリーム、レモネード、ミント。
そしてルージュとアクアを介抱するココ、ナッツ、ミルクに、
またもブンビーさんの悪役らしい台詞が掛けられます。
『無駄無駄ァッ!2人とももうボロボロだよ!』
しかし3人の心は曲がらず、ルージュとアクアから相手の事を思う気持ちや、
それをちゃんと伝える事を教えてもらったと言うドリームに続き、
ミントはあの結婚式の日の事を持ち出して、心のこもったりんちゃんの気持ちを力説します。
そしてミルクはかれんに看病してもらった事を持ち出し、
人を思いやり人を笑顔に出来る力こそが夢であり希望であると悟ったルージュとアクアは、
互いに結婚式の日の事を、ミルクの看病の事を思い出し、再び立ち上がります。
誰かがそれで喜んでくれるならそれだけでも凄く嬉しいと立ち上がった2人は、
どんな事だって一生懸命やってきたという自信に満ちていました。
そしてルージュバーニングとアクアトルネードを同時に叩き込み、コワイナーを撃退。
ブンビーさんはまた肩揉みかと愚痴りながら撤退して行きました。

ナッツハウスにりんちゃんとかれんが持ってきたのはカトレアとシクラメン。
異なる2種の花は、2つの種類の花を楽しめた方が良いと相談した結果の産物です。
そしてりんちゃんもかれんも、みんなのお陰で
少しだけやりたい事に気付き、持ち寄った花を見つめて笑い合いました。


りんちゃんのアクセサリーデザイナーの夢はあの結婚式の日に、
かれんの医師の夢はあの看病の日に心に留まっていたと思い込んでいましたが、
それぞれのエピソード以降も2人にとってはまだ確固たる将来像として
決まっていなかった事に、今回のエピソードを再見して改めて気付かされました。
そしてそれを気付かせるのもりんちゃん自身、かれん自身の気持ちではなく、
ミントとミルクの言葉がきっかけだったと言う点が興味深いです。
こまちやうららのように明確な目標に向かって歩む子供達もいると思いますが、
大多数の人は中学時代の将来像と、現在の姿に乖離があるのではないでしょうか。
それは悪い意味ではなく、むしろ人生には様々な可能性があり、
自分でも気付かなかった事を他人の言葉で気が付くという点で、
りんちゃんとかれんがおぼろげに自分の目標を決める件は秀逸な展開だと思います。
私自身も中学時代はおろか、大学時代から考えても
今の仕事をしている事が考えられないのですが(苦笑)
人生とはどこに転機があるか解りません。そして自分が相応しいと考えている適性だけでなく、
自分の知らない適正に気がつく事もあります。

例えばスポーツ万能で活発、花屋の仕事も好きというりんちゃんからは、
あの結婚式の一件が無ければアクセサリーデザイナーの素質は気付きにくいです。
そしてかれんもあの看病の際に心底ひたむきになれた事で医学への道を志す事になりますが、
何でも出来る、逆に言えば何でも出来るが故に何か一つに絞れずにいました。
これから2人が大人になった時、その道を歩む事が出来るかはわかりません。
それは現時点で明確な目標を持つうららとこまちも同様です。
しかし夢の結果ではなく、そこを目指す過程にこそ価値があると私は思います。
大学で学んだ専門課程とは全く関係の無い職に就いている私ですが、
そこで得たもの、学んだものは決して無駄にならないと、
過程で得たものは、どんな結果になろうとも必ず活きて来ると信じています。

いつも以上に説教臭い語り口になっているのは酒のせいもありますが(笑)
今回のブンビーさんの境遇と主張が他人事とは思えず、
ブンビーさんの主張に共感してはいけないと危機感を感じた事でもあります。
今回のブンビーさんはりんちゃんとかれんに対比するように、
現実に生きるうちに夢も希望を失くしてしまった者の代弁者のように映ります。
日々の仕事、日常は同じ事の繰り返しのように見えることもあり、
朝起きて食事して電車に乗って仕事して、帰宅して入浴して寝る。
そんな日々の暮らしの中でも、夢を持つ事だけは忘れたくないと思いました。
もう30代中盤に差し掛かろうと言う私がこんな青臭い事を言うのも難ですが、
例え年齢を重ねても、失望する事の多い日々の中でも、
夢や希望をまだ掴んでおらずともそれを信じる事の出来る
りんちゃんとかれんのようにありたい。ひいてはこまちやうららのように、そしてのぞみのように。

いささか臭くなってしまったので印象的な場面に目を向けます。
今回はそれでなくてもブンビーさんの強さが異常に際立ち、
直接攻撃の強さだけでなくブラッディ氏のお株を奪うような論戦もインパクトがありました。
逆転ムードのBGMと共に立ち上がるルージュとアクア。
普通ならここでブンビーさんをお説教とともに叩きのめす流れですが、
その定石を破るような構成は見事で、徹底的に2人がブンビーさんにやられるからこそ、
その後に立ち上がる場面の自信に満ちた表情が際立っていました。
また花屋の接客シーンでもりんちゃんとかれんの個性がしっかりと出ており、
久々に見返して大きな手ごたえを感じた一編になりました。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。