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プリキュア5 第43話『こまちの決意とナッツの未来』 [Yes!プリキュア5]

久々のプリキュア5再視聴となった今回。
ハデーニャさんの攻撃を軽々とあしらい、かの有名な「ミント砲」を炸裂させる
「上級生組の本気シリーズ Vol.2 秋元こまち編」
私の記憶の中ではそのようなイメージを持っていました。
しかし、夢を叶えた先に待つものに気付いてしまったこまちの葛藤、
影ながら支えるみんなの存在、そして対比するようなハデーニャさんの立場と
時期が時期だけに非常に重く、色々と考えさせられる一編でした。
  
冬の夕陽が差す図書館。
真っ白な原稿用紙を前にこまちのペンは止まったままです。
そんなこまちを気遣ったかれんは下校の折、力になれるか解らないけれど
話し相手くらいにはと申し出ますが、こまちは申し出は嬉しく受け取るも、
自分の事だからと一人で抱え込んだままです。
何気なくかれんはナッツに相談するよう持ちかけると、
こまちは突然目が覚めたように断りました。
『これは自分の問題だから。自分で何とかしなくちゃ、いけない事だから・・・』

ナッツはパルミエ王国が復活した時に備えて、
学べる事は学んでおきたいと大量の読書に興じています。
遅れてナッツハウスへやって来て、力なく2階へ登って来るこまちは、
うららに今描いている小説はどうなったのかと訊ねられた折、
確か恋愛小説だったと指摘されると、再び人が変わったように焦って言葉を遮りました。
『そ、それがどうしたのでしょうか!?』
そして我に返り、行き詰っている事を漏らすこまち。
小説のモデルがいるのかとの何気ないうららの問いにも口ごもり、
あくまで創作上の事と言いながらも、ナッツを横目で気にしています。
そして小説の続きを書くとの口実で帰ったこまちは、
その夜、暗い自室で一人机に向かい、何を想うのか・・・

ナイトメアでは、カワリーノがいつになくため息を漏らし、珍しく元気がありません。
黒い紙をデスパライアから手渡された為で、
流石のハデーニャさんもカワリーノを気遣う言葉を掛けました。
『物は考えようだよ。それさえあれば確実にプリキュアを仕留めて
 ドリームコレットを手に入れられるじゃないか』
しかしカワリーノはこの言葉をハデーニャさんから引き出すのが目的でした。
黒い紙はハデーニャさんに突きつけられ、先ほどまでの元気の無さは、
渡すのが心苦しかったためと嘯くカワリーノ。
ハデーニャさんは当然受け取りを拒否し、デスパライアに直接真意を問おうとしますが、
その行く手を阻むカワリーノは、自分の言葉はデスパライアの言葉だと
改めて黒い紙を突きつけます。それでもハデーニャさんは受け取りを拒否し、
本気を出せばプリキュアなど一捻りだと肩を怒らせて出撃して行きました。
『ブンビー!!!』『は、はい?』
『呼んで見ただけだよ!!』『・・・返事してみただけっすよ・・・』
その際、当たり散らすようにブンビーさんの名前を叫びながら・・・
しかし大見得切って出て来たものの策があるわけでもなく、
ハデーニャさんは公園のベンチで途方に暮れていると、
目の前の鳩の群れに小さなぬりかべのようなピンキーが紛れているのを見つけて、
運が向いてきたと思わず笑みを漏らしました。

こまちは今日も原稿に向かったまま、ペンは一文字も進みません。
『最初の内は熱に浮かされてるようだった。
 何か表現したいって気持ちで一杯で、抑えられなくて。
 でも書き進めていくうちにだんだん・・・書くんじゃなかった』

様子を見に来たかれんに、こまちは心境を吐露します。
書き進める事が出来なくなったのは、小説の登場人物の「彼」の夢が叶った時、
その人は手の届かないくらい遠い所へ旅立ってしまう事に気付いた為でした。
「彼」はこまちにとってある人物と重なり合います。
『そんな事、初めから解っていた事なのに、どうしていいかわからないの。
 自分がどうしていいか。ラストシーンなんて来なければいいのに・・・』

光の中へ帰っていくような「彼」の姿を思い浮かべるこまちに、
かれんはこまちが変わればラストも変わると助言します。
思わずはっとするこまちに、かれんは小説の話だと悪戯っぽく付け加えました。

のぞみ達もこまちの様子を心配し、ナッツに相談に乗るよう頼み込みますが、
それはこまちにとってもお節介で、かえって迷惑だと取り合いません。
小々田先生もこまちを見守るのが最善だと仲裁に入り、
遅れてやって来たかれんもまた、こまちなら大丈夫だと信じるよう皆に告げました。

その頃こまちは公園のベンチで一人うなだれています。
『みんな心配してたぞ。俺に出来る事があれば、何でも力になる』
突然現れたナッツに、こまちは顔を赤くして目を逸らし、そして心遣いに感謝するも、
今度ばかりは自分で解決しなければいけないと悩みを打ち明けられません。
それでも隣に座り、気が向いたらで良いと言うナッツに、徐々に口を開き始めます。
『どうしてナッツさんは私に優しく接してくれるの?
 私はナッツさんにいつも励まされているばかりで何もしてあげられない。
 私なんてナッツさんに優しくしてもらう資格なんて無い』

しかしナッツ自身はそれ程優しくなければ強くも無く、
自分一人では何も出来ない事を自覚しており、
そのために自分で出来る努力は自分でするよう心掛けているだけだと返します。
『こまちこそ、自分で見つけた夢に向かって懸命に努力している。
 俺は今を必死でもがいているこまちを尊敬するし、そんな人が俺は好きだ』
その言葉に顔を上げ、続くナッツの言葉を聞いたこまちの目から涙が溢れました。
『大事なのは、後悔しない事なんだろう?
 みんなこまちの味方だ。みんなこまちを見守っている』

『私ったら自分の事ばっかり・・・』
ずっと不安に苛まれていた胸の内を、こまちは涙と共に
口に出した途端にこれまでの事、これからの未来が音を立てて崩れ、
何もかも失うのではないかと畏れていた事を口にします。
しかしナッツも未来に不安を抱いていると打ち明け、
それでも必ずこまちに相応しいラストシーンが見つかる筈だと励ましました。
見つめ合う2人。しかしその時間は長くは続きません。
今日はツキすぎて負ける気がしないと自信満々のハデーニャさんが立ちはだかります。

先ほど捕らえたピンキーだけではなく、パルミエ王国の王子と出くわし、
まさに一石二鳥だと笑いが止まらないハデーニャさん。
ナッツを突き飛ばし、ついでにコレットを奪うべくこまちとナッツに迫りますが、
その気配を感じてみんなが駆けつけます。
『出たなナイトメア!』
『人を化けモンみたいに言うんじゃないよ!
 ・・・化けモンみたいなもんだけど。ンな事ぁどうでもいいんだよ!』
いつに無いノリツッコミを披露するハデーニャさんも、
背水の陣で臨んでいるため覚悟が違います。
しかしその口上を途中でぶった切って変身する5人(笑)

ハデーニャさんは人の話は最後まで聞くもんだとサーキュラスのように憤り、
ピンキーに仮面を被せて巨大なぬりかべのようなコワイナーへと変えました。
その先頭スタイルは巨体で倒れこんで押しつぶすもので、
ハデーニャさん自身も巻き込まれそうになるという一面もありますが、
その巨体と攻撃方法に苦戦を強いられるドリーム、ルージュ、レモネード。
一方ココ、ナッツ、ミルクはハデーニャさんに行く手を阻まれ、
ミントはその間に割って入り、単身口論と共に格闘戦を繰り広げます。
ナッツに苦しい思いをさせたくないというミントの想いもさることながら、
後が無いハデーニャさんも必死です。
援護に入るアクアともどもミントを投げ飛ばし、2人にコワイナーとハデーニャさんの
同時攻撃が襲い掛かります。ミントシールドを張るも、
コワイナーの巨体とハデーニャさんの気迫の一撃に突き破られてしまい・・・

『私じゃ無理なの?ナッツさんを守る事も出来ないの?
 私じゃ駄目なの?私は何もして上げられないの?』

無力を嘆くミントに、皆の言葉が耳に入ります。
パルミエ王国の復活はナッツやココ達のためではなく、私達みんなの夢であり、
そう自分で決めたから自分の夢であり自分のため。
『これは私達一人一人のため。あとで後悔しないためのね』
微笑みかけるアクアの言葉にミントは顔を上げます。
その間にもコワイナーは腕を長く伸ばし、天高く跳び上がり一気に押し潰そうと仕掛けて来ます。
その腕を登っていくドリームとルージュの後姿を見て立ち上がるミントには、
改めてアクアの言葉が思い返されました。
『あとで後悔しないためのね』

レモネードに援護要請するドリーム。阻むべくレモネードに襲い掛かるハデーニャさん。
アクアが立ち向かおうとしますが間に合わない・・・
と思いきや、ハデーニャさんの拳は、ミントが片手で受け止めていました。
『まだそんな力が・・・お前のどこに?』
驚愕するハデーニャさん。その間にレモネードシャイニングでコワイナーを牽制し、
ルージュバーニングとクリスタルシュートで仮面を破壊。コワイナーは元のピンキーに戻ります。
そしてミントは・・・

頭上から淡い緑の光の粒が散りばめられる中、
ハデーニャさんの腕を払いのけるミントはもう迷っていません。
『そう、これは自分のため。自分にちゃんと接してくれる人たちに、ちゃんと向き合うための・・・
 どんな未来になったとしても、私がちゃんとしていられるように・・・』

続くハデーニャさんの猛打をもろともせずに全て受け流し、
誰のためだったのか、ミントははっきりと悟りました。
『そう、私のために・・・』
未来も夢も吹っ飛ばすと突っ込んでくるハデーニャさん。
アクアトルネードがその行く手を押しとどめる中、ミントの頭上の輝きは光を増して行きます。
『もうあなた達の好きにはさせない!』
気合一閃。ハデーニャさんの眼前に来た輝きから猛烈な守りの力が放出され、
地面を抉りながら吹っ飛ばされたハデーニャさんは辛うじて撤退していきました。

冬の夕陽が差す図書館。
こまちは今日は執筆ではなく、本の整理をしています。
気遣うかれんに心配しないよう答えるこまちからは、
全ての整理は付いていないかもしれませんが、もう深刻な迷いは伺えません。
『きっと見つけて見せるから。私なりのラストシーンを』


ピンキーを全て集めて、ドリームコレットの力でパルミエ王国を復活させるという事。
ココとナッツの悲願でもあり、プリキュア5人共通の目的ですが、
その目的を達成した時に避けられない別れが待っています。
プリキュア5シリーズでは既に第39話でこのテーマをココの視点から描いており
今回はこのテーマをこまちの視点から描いていますが、
特に今回は製作陣の想いをこまちが代弁しているように思えました。
これまで多くの作品を手がけてきている製作側の皆様は、
何度となく最終回という名の別れを経験している筈です。
どんな物語もいつかは終わりが訪れ、その度にもうこのキャラクター達の世界を
描く事が出来ないという作品との別れを想像すると、
ラストを迎えたくないという想いもあるかもしれません。

その気持ちを割り切って、どのように物語を完結させるのか。
今回こまちが導き出す答え、どのように割り切るかは人それぞれの事ですので
正解はありませんが、自分とも他人ともきちんと向き合うという点は揺るぎないと思います。
こまちは一人で悩みを抱え込み、それを周りに相談できず、
さらに周りがこまちを気遣っていると知った時に
「自分の事ばっかり」と悔やみながら涙を流しました。
しかしこまちは本人が漏らすような、決して自分の事しか考えない子ではありません。
自分を卑下してしまうのはこまちの「優しすぎる」という短所でもありますし、
その優しさ自体は長所でもあります。
「自分の事ばっかり」と卑下していたこまちが
「私のために」「私なりのラストシーン」を導き出す様は、
今この世の中の状況に置かれている私としても大変力づけられました。
それでも完全に気持ちの整理はつかない事でしょう。
人生には少し足を休め、じっくり考え気持ちの整理する時間があっても良いものです。
今回のラストシーンで、こまちは執筆ではなく本の整理をしていますが、
これは「気持ちの整理」とかけた表現だと思います。

そしてハデーニャさんの描かれ方も際立っていました。
一人で思い悩んでいると思っていたこまちには心配してくれる仲間がいますが、
ナイトメアの実力者として振舞っていたハデーニャさんは、
その後ろ盾となる組織にあっさりと切り捨てられています。
組織を信じたくても信じる事が許されず、途方に暮れても相談する相手も居ません。
今回インパクトのある1シーン、「ブンビー!!!」と当り散らすように呼ぶ場面は、
本当はブンビーさんでもいいから話相手にてもなってもらいたかったのだと思います。
しかしプライドが許さなかったのか、そのまま出撃してしまいましたが、
仮にブンビーさんともう少し話していたらどうなっていたでしょうか。
ブンビーさんは後に似た状況に追い込まれたスコルプさんと手を携えただけに、
ハデーニャさんの力になれたのではないかと思いました。

固い話ばかりになってしまうとこちらも少々疲れそうなので(苦笑)
目線を変えますが、今回はとにかく片手でハデーニャさんを止めてからの
ミントの異常な強さがインパクト抜群です。
あまりにも圧倒的な強さでハデーニャさんを止めているため、
見ているアクアが呆然としてしまうのもご愛嬌と言うべきでしょうか。
続くハデーニャさんの攻撃を香港映画ばりの動きで完全に見切る腕さばき、
そして最初で最後の披露となる「ミント砲」の破壊力の凄まじさは、
技を放った本人がしばし呆然となる地面の抉れっぷりが強烈でした。
後にも先にも「一人」でこれだけ強烈な技を放ったのは、今のところミントだけです。

またのぞみにもコミカルな一面が描かれており
重いストーリーを和らげる効果を醸し出していました。
のぞみはナッツに対して冷たいと言い放った際、
ミルクが聞き捨てならないと飛びかかるのですが、
それを片手で止める場面などはハデーニャさんを止めたミントと重なります。
また、ナッツがこまちに対してもっと脳天気でいいとアドバイスした際、
盛大なくしゃみをする等、良い意味でののぞみらしさが描かれていました。
そしてもう一つ、戦い終わった皆がミントの許へ寄り添うように集まる中、
ドリームだけが唯一人木の枝に引っかかってぐったりしているのですが、
このドリームが実に色っぽく、と言うよりもぶっちゃけとってもエロくて特筆されます(笑)

そして次回は、そののぞみとミルクに焦点が当たり、
今回生き永らえたハデーニャさんの最期の戦いでもあります。
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まるっさ

『勘違いしてるやつが多いがミントシールドはただの割れるオブジェじゃない。術士の妖力・・・もといプリキュア魂を爆発的に高める餌なのよ』

・・・と(笑)、この回のミントさんの無双ぷりの要因を解釈してます。使用者そのものが最強の盾と化すわけで。
しかし登場の度事に(カウンター能力・圧殺能力など)どんどん新たな能力を見せるミントシールド。何のかんのでシリーズではルミナスさんのに次ぐ能力の高いシールドではないでしょうか。

もっとも今回の再放送ではこまちさんの可愛らしさ・恋に悩む乙女ぷりに泣けたわけですが・・・中のヒトの演技力凄いです。
しかしつくづく一話完結の色合いが強いなと思います、5。残り6話なのに。

by まるっさ (2012-02-01 22:07) 

スティクス

>まるっささん
先日のかれんさんに続き、上級生覚醒したらコワイナーシリーズへのコメント
お待ちしておりました(笑)

攻撃は最大の防御、とは良く言いますが、
これは「防御は最大の攻撃」というべきでしょうか。
火力の強い一撃のインパクトは凄かったですね。
そして、直後の木に引っ掛かったドリームの
妙な色気と相俟って忘れられない場面になりました。

もちろん、図書館に始まり、図書館に終わる
こまちの内面についての描写も丁寧で上手でした。
あと数話という段階でこのような話が作れたのは、
2年目が既に決まっている時期だったからかも知れませんね。
通常ならばまとめに入らなければならないので、
他のシリーズの「43話」と比べるとその点、恵まれている気がします。
by スティクス (2012-02-01 22:33) 

まるっさ

・・・あれ、幽遊白書ネタは判りませんでしたか(汗)。

ともあれプリキュアを作り上げられた(ドラゴンボールでお馴染みの)西尾さん演出だけにとても初代ばりのコミカルな戦闘が楽しめました。

>色気(笑)
ピンキーが腹部?をうろついてるのがさらにそそりますw
あと今回他のシーンでも鎖骨が描かれていたのが印象的でした。
by まるっさ (2012-02-02 02:06) 

スティクス

>まるっささん
すみません。幽白はジャンプ連載時に本誌で読んでいた程度なので・・・
ストーリーはだいたい知っているつもりなのですが、
台詞までは覚えておりませんでした。
同じ冨樫作品でも「レベルE」は好きで単行本を持っているのですが・・・

そういえば久々の西尾演出でしたね。ミント砲もさることながら、
ハデーニャさんの攻撃を全て弾く戦いっぷりには
初代らしさとともに往年のジャンプらしさがあったように思えます。

鎖骨やピンキーも含めて、印象深いものが多い一編でしたね。
by スティクス (2012-02-03 06:42) 

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