スイートプリキュア第7話『テッテケテ~!音吉さんの秘密に迫るニャ♪』 [スイートプリキュア♪]
「協奏曲」というジャンルは指揮者とソリストの個性のぶつかり合いが聴き所です。
互いの美点を活かそうとする演奏もあれば、互いが一歩も譲らぬスリリングな演奏もあり、
特に後者は白熱した名演となる事も、一歩間違えばチグハグな演奏になる事もあります。
異なる個性をぶつけ合い、毎度不協和音を醸し出す
響と奏の関係もご多分に漏れず後者の例に当てはめられますが、
それでも安心して観る事が出来るのは「プリキュア」であるからでしょうか。
謎めいた音吉さんの素性と共に、このシリーズらしく楽しめる一編でした。
『それは、良く晴れた日曜日でした。その日は私と響にとって、すごく大切な一日でした』
逆に奏がテンポについて行けず、もう少しゆっくり演って欲しいと申し出ます。
お互い自分のペースでという約束だったと不満を漏らす響に、
奏も合わせる所を合わせないと曲ができないと譲りません。
いつしか2人の間に毎度おなじみの不協和音が漂い始め、
響は説明して「あげてる」という奏の物言いにつっかかりました。
フェアリートーン達がまたやってるよ的な呆れ顔で見下ろす中、
ハミィが慌てて仲裁に入るも、口論はどんどんエスカレートして行きます。
『こんな息が合わない二人じゃ世界を救えないよ。このままじゃプリキュア解散じゃない?』
『解散!?・・・最悪』
その痴話喧嘩を、いつからそこにいたのか、音吉さんがじっと見つめていました。
人語で仲裁に入っていたハミィも慌てて口を塞ぎ、
奏は語尾に「ニャ♪」をつけて猫っぽい仕草で誤魔化し、
響は話題を変えるべく音吉さんに孫の話を持ち出します。
孫の話が出るとそれまでの事を全て忘れてしまうという音吉さんはすっかりデレデレ。
孫から誕生日プレゼントに貰ったという手作りの人形を取り出しました。
そして音吉さんはちゃっかりと響と奏に梯子を運ぶ手伝いを頼み、
悪戦苦闘しながら運ぶ2人を見ながら、ハミィにそれとなく語りかけます。
『ときには二人だけの時間を作ってやる事も大事かも知れんなぁ。のう、猫ちゃん?』
ハミィも音吉さんの意図を察し、フェアリートーンと共に館を後にしました。
梯子を運び終えた二人が戻った時には、音吉さんの姿も見えません。
そしてピアノの上にはあの人形が置き忘れてありました。
さらにハミィも居ないと気付き、気まずい状態で2人きりになっている事を案ずる2人。
それでも奏は音吉さんに人形を返しに行こうと持ちかけ、しぶしぶ響も頷きました。
『こうして、私達の長い長い旅が始まったのです』
当ても無く探したところでなかなか見当たりません。
そんな折、クラシカルな自転車を漕ぐ音吉さんとすれ違い、急いで後を追う2人。
スポーツ万能の響がその脚力を活かして加速するのも束の間、
猛スピードで坂を下ってゆく音吉さんに追いつく事は出来ませんでした。
響はハンバーガー屋のガラスに顔を押し当て、食べている人を覗きこんでいる始末。
お腹空いたと子供っぽい駄々をこねる響を、人形を届けてからと一蹴する奏。
どのみち2人はお金を持っておらず、昼食を買い食いする事も出来ません。
響は届けるのは明日でも良いのではと持ちかけますが、
奏はやると決めたら最後までやると聞く耳を持たず、またも不協和音が漂い始めます。
『思い通りに行かないとすぐ弱音吐いて投げ出す。音楽の練習だってやれば出来るのに』
奏は響のためを思ってと主張を曲げず、響も明日で良いとの考えを捨てません。
そのやりとりの最中、音吉さんの人形を落としてしまうと、中から小銭がすれる音がします。
背中のジッパーを開けると小銭が詰まっており、
このままでは泥棒になってしまうと慌てだす2人。
丁度そこに自転車に乗った音吉さんが通りかかり、その目を誤魔化すために
店先の変装用具、というより奇妙なヅラと変装メガネでやり過ごしました。
そして、音吉さんを探していたのに誤魔化してどうするんだと我に返り、
『Oh,My God!』
思わずそう漏らしてしまった響に、外国人が道を尋ねてきました。
トンチンカンな回答をする響に助言する奏。
外国人も諦めて苦笑しながら行ってしまい、
奏は響のヘンテコな英語対応を真似してからかいますが、
いつの間にか2人は自然に笑い合っていました。
奏はふと、乗ると音が鳴る鍵盤の上を跳びまわった日々を思い出し、
もう一度、一緒にやろうと響に持ちかけて、2人でドミソの上を飛び跳ねて行きます。
そしてあの頃みたいに何でも話そうと、好きな人の事や将来の夢など、
他愛のない話に笑い合う中、いつしか不協和音は協和音になりました。
1・2・3と声をかけながら鍵盤を最後まで完璧に渡り終えて笑い合う2人。
ところが、音吉さんの事を忘れていたと思い出して我に返りました。
海へ足を運んでも音吉さんは見つからず、響の空腹も限界で
やっぱり明日にしようと漏らした事で折角の協和音も雲行きが怪しくなります。
『また諦めるの?』『またって・・・もういいよ。先帰る』
波打ち際を走って帰る響。その後を奏が凄まじい勢いで追いかけて来ます。
しかし奏は波打ち際に足をとられて転びそうになり、とっさに響へ人形をパス。
セーフ、と思いきや響もバランスを崩して転んでしまい、
人形ともども2人はすっかりずぶ濡れです。
もう無理だと肩を落として帰ろうとする響ですが、奏はまだ響を押し留めます。その理由は・・・
『足くじいた。おんぶして』
さっき挫いた足はもう治ったと平然と立つ奏に、
さっきおんぶした際「重かった」と不満を露にする響。
またまた不協和音が漂い始める2人に、ハーモニカの音色が聴こえて来ました。
ハーモニカを吹いているのは音吉さんで、2人はギャラリーの影から聞き入るうちに
音楽の良さを、そして老後も音楽を続ける幸せについて想いを巡らせます。
『私達おばあちゃんになっても』『一緒にピアノを弾いてるかな?』
寂しさを滲ませ、互いに今日は悪かったと切り出そうとした時、
肝心の人形が無い事に気付き、そしてハーモニカを吹いていた音吉さんも
いつの間にかいなくなっていて、2人は急いで海へと戻ります。
浜辺に忘れられている人形には音符が潜んでおり、
その匂いをトリオ・ザ・マイナーが嗅ぎ付けていました。
『見ぃつけた~♪』
そんな事やってる合間に、人形ごとハミィが一足先に手に入れます。
しかし追って現れたセイレーンによって人形はネガトーンと化し、
浜辺に駆けつけた響と奏は大事なプレゼントを怪物にした事に憤り、変身。
今回のネガトーンはハーモニカから強風を噴出して襲ってきます。
吹き飛ばされそうになったリズムはとっさにメロディにしがみつき
そのまま押し流されてしまう2人。
強風を前に思うような力を発揮できない2人の戦いぶりを、音吉さんが静かに見守っています。
『さっきは子供の時みたいな仲良しに戻れたよね?』
この状況を打開するため、力を合わせようと切り出すリズム。
言いたい事があればはっきり言って欲しいと、
分かり合えば昔みたいになれるかもしれないとの申し出に、
戸惑っていたメロディもはっきりと言いたい事を言いました。
『いつも上から目線なところがイヤ』
謝るリズムに、メロディもまた謝ります。
『私もすぐ子供みたいにスネたりしてごめん』
『いいよ、知ってるもん。知ってるから安心してケンカできるの』
そして先程の公園での出来事、1・2・3のリズムで息を合わせた事を思い出した2人は、
一緒に高く跳んでダブルプリキュアキックならぬ「プリキュア・スイートハーモニーキック」で
ネガトーンの体勢を崩し、そのままメロディがミュージックロンドでネガトーンを仕留めました。
君達ならきっと届けにきてくれると思っていたと言う音吉さんの言葉で、
2人は音吉さんが仲直りのために仕組んだ事だと察しました。
力を合わせて一つの事を成し遂げる事は素晴らしいと語る音吉さんもまた、
幸せの音を奏でる奇跡のパイプオルガンを作り上げるべく日々作業しています。
いつかこのオルガンでみんなに音楽の素晴らしさを気づかせる事が音吉さんの夢でした。
そして、朝「最悪」と漏らしていた2人に今の気分を尋ねます。
2人とも今日一日、響と、奏といて楽しかったと、そして互いに甘えていたと謝り合います。
『私、奏なら許してくれると思って甘えてたのかもしれない』
『私も、響なら聞いてくれるって思って・・・』
振り返った時、音吉さんの姿はいつの間にかどこにも見えません。
『結局音吉さんはどんな人か、よく分かりませんでした。
でも、この加音町に音符が集まってくるのは、もしかしたら音吉さんがいるからなのかも』
『おやすみ、響』
遠く向こうに見える響の部屋からも、点滅する灯りが返って来ます。
互いに光のメッセージを送り合う2人。
長い旅となった今日一日、2人にとってすごく大切な一日は、もうすぐ終わろうとしています。
前回ともども、今回も披露される奏の頑固さを欠点として切り捨てるのは簡単な事です。
しかし、頑固さが前向きになった時の意志の強さは見習いたいものです。
響が主張する、明日出来る事は明日やればいいという考えも正論ですし、
私自身も仕事上、無理に今やる必要のない事は明日に回したりもします。
ところがその内なあなあになり、ズルズルと先に延ばしてしまったり事もあり、
奏の主張するように決めた事を無理してでもやり抜く努力も必要でしょう。
ところが今回の奏は意外と響に頼っている描写が見受けられるのが興味深いです。
冒頭のピアノ練習時ではテンポを落とすよう願い出たり、
成績優秀・勉強が得意という奏なら道案内くらいの英会話は出来そうなのに、
外国人への対応の際も、響に助言するだけで自分でやろうとはしていませんでした。
足を挫いての「おんぶして」発言や(この状態の2人を想像するとたまらないのですが・・・)
戦闘時でも真っ先にメロディの足を引っ張ってしまう等、
言う事は厳しい=理想は高いけれどもそれに行動が伴っておらず、
完全無欠ではないからこそ、奏のキャラクターが実に人間味あふれて見えます。
それは響も同様で、意志が強そうなのに意思が弱い、
単純そうでいて悩みやすく繊細、時折見せる内気な態度などがこれまでに描かれました。
欠点が多い2人だからこそ、ぶつかり合い、手を取り合う際にスリリングな関係が滲み出し、
深いところでは互いを理解しているための安心感も感じさせています。
これから先、冒頭で例えたような、協奏曲の名演を聴ける様な期待感が感じ取れました。
毎度こりずに痴話喧嘩を繰り広げる響と奏。
今回も結局和解してまた少しラブラブ度が上がったものの、
おそらく来週もその次も何らかの原因でケンカして、その都度仲直りすることでしょう。
そんな展開でも安心して見られるのは、水戸黄門のようなお約束の流れだと割り切れる事、
そしてプリキュアシリーズであるが故に、これまでのシリーズで培ってきたものを
絶対に裏切る事は無いと、ファンとして信じられるからでしょうか。
今回、リズムはメロディに「知ってるから安心してケンカできる」と打ち明けました。
これは観ている側にも同じ事が言えます。
どんなにケンカしても、必ずそのままで終わらないようにフォローされる事が、
そして周りの助言だけではなく自分達で原因を見極めて解決出来る事が解っているからこそ、
2人のケンカも、犬も食わない痴話喧嘩に見えて楽しむ事が出来るのだと思います。
また今回は奏の日記に始まり、奏の日記に終わるという
演出・構成面でも独特な展開が目を惹きました。
時系列をあえて描き出す展開もこれまでに無く、
2人がどのような一日を過ごしたのかを共に体験したような感覚を覚えました。
それにしても中学2年生の女の子が夜9時に就寝というのは少々早い気がしますが(笑)
少女向けの番組である事を踏まえると夜11時等には出来ないのでやむを得ないでしょう。
ラストの懐中電灯でメッセージを送り合うという展開も、
今なら携帯やメールで済ませられそうですが、あえて古くアナログなものにした事で、
携帯などでは伝えきれない心の絆のようなものを感じさせ、
そして2人の超ラブラブっぷりを感じさせる手法だと思いました(苦笑)
雪城さなえさんやカオルちゃんの系譜に連なりそうな、
音吉さんの飄々として謎めいたキャラクターも気になります。
前回登場したアコの祖父である事は容易に想像がつきますが、
町の創設者と同じ苗字である事は何か関連性があるのか。
そしてハミィに語りかけるあたりはその素性を見抜いているとしか思えず、
プリキュアの戦いぶりを見守っている等、今後どのように関わるのか興味深いです。
場面展開の際、ハミィの『ニャープニャプ♪』が
忍者ハットリ君のソレカラスのようで私世代には懐かしく、
響と奏の猫っぽい仕草の愛らしさや、あまりにヒドい扮装などの要素も楽しめました。
トリオ・ザ・マイナーとセイレーンの影が薄すぎるのがやや残念ですが、
次回セイレーンが主役とも言えそうな展開なので、そちらに期待します。
その次回、イース様時代のせつながラブを懐柔しようと接近したフレッシュ第7話や
満と薫が転校して来たSS第14話のようで、今から非常に楽しみです。
互いの美点を活かそうとする演奏もあれば、互いが一歩も譲らぬスリリングな演奏もあり、
特に後者は白熱した名演となる事も、一歩間違えばチグハグな演奏になる事もあります。
異なる個性をぶつけ合い、毎度不協和音を醸し出す
響と奏の関係もご多分に漏れず後者の例に当てはめられますが、
それでも安心して観る事が出来るのは「プリキュア」であるからでしょうか。
謎めいた音吉さんの素性と共に、このシリーズらしく楽しめる一編でした。
『それは、良く晴れた日曜日でした。その日は私と響にとって、すごく大切な一日でした』
AM08:30―調べの館―
2人でピアノの練習中の響と奏。響の腕前もだいぶ戻って来ており、逆に奏がテンポについて行けず、もう少しゆっくり演って欲しいと申し出ます。
お互い自分のペースでという約束だったと不満を漏らす響に、
奏も合わせる所を合わせないと曲ができないと譲りません。
いつしか2人の間に毎度おなじみの不協和音が漂い始め、
響は説明して「あげてる」という奏の物言いにつっかかりました。
フェアリートーン達がまたやってるよ的な呆れ顔で見下ろす中、
ハミィが慌てて仲裁に入るも、口論はどんどんエスカレートして行きます。
『こんな息が合わない二人じゃ世界を救えないよ。このままじゃプリキュア解散じゃない?』
『解散!?・・・最悪』
その痴話喧嘩を、いつからそこにいたのか、音吉さんがじっと見つめていました。
人語で仲裁に入っていたハミィも慌てて口を塞ぎ、
奏は語尾に「ニャ♪」をつけて猫っぽい仕草で誤魔化し、
響は話題を変えるべく音吉さんに孫の話を持ち出します。
孫の話が出るとそれまでの事を全て忘れてしまうという音吉さんはすっかりデレデレ。
孫から誕生日プレゼントに貰ったという手作りの人形を取り出しました。
そして音吉さんはちゃっかりと響と奏に梯子を運ぶ手伝いを頼み、
悪戦苦闘しながら運ぶ2人を見ながら、ハミィにそれとなく語りかけます。
『ときには二人だけの時間を作ってやる事も大事かも知れんなぁ。のう、猫ちゃん?』
ハミィも音吉さんの意図を察し、フェアリートーンと共に館を後にしました。
梯子を運び終えた二人が戻った時には、音吉さんの姿も見えません。
そしてピアノの上にはあの人形が置き忘れてありました。
さらにハミィも居ないと気付き、気まずい状態で2人きりになっている事を案ずる2人。
それでも奏は音吉さんに人形を返しに行こうと持ちかけ、しぶしぶ響も頷きました。
『こうして、私達の長い長い旅が始まったのです』
AM10:00―時計台前の道―
いざ探すと言っても音吉さんについて名前しか知らず、当ても無く探したところでなかなか見当たりません。
そんな折、クラシカルな自転車を漕ぐ音吉さんとすれ違い、急いで後を追う2人。
スポーツ万能の響がその脚力を活かして加速するのも束の間、
猛スピードで坂を下ってゆく音吉さんに追いつく事は出来ませんでした。
PM00:00―街中―
奏は空腹を我慢しながら音吉さんを探す決意を固めますが、響はハンバーガー屋のガラスに顔を押し当て、食べている人を覗きこんでいる始末。
お腹空いたと子供っぽい駄々をこねる響を、人形を届けてからと一蹴する奏。
どのみち2人はお金を持っておらず、昼食を買い食いする事も出来ません。
響は届けるのは明日でも良いのではと持ちかけますが、
奏はやると決めたら最後までやると聞く耳を持たず、またも不協和音が漂い始めます。
『思い通りに行かないとすぐ弱音吐いて投げ出す。音楽の練習だってやれば出来るのに』
奏は響のためを思ってと主張を曲げず、響も明日で良いとの考えを捨てません。
そのやりとりの最中、音吉さんの人形を落としてしまうと、中から小銭がすれる音がします。
背中のジッパーを開けると小銭が詰まっており、
このままでは泥棒になってしまうと慌てだす2人。
丁度そこに自転車に乗った音吉さんが通りかかり、その目を誤魔化すために
店先の変装用具、というより奇妙なヅラと変装メガネでやり過ごしました。
そして、音吉さんを探していたのに誤魔化してどうするんだと我に返り、
『Oh,My God!』
思わずそう漏らしてしまった響に、外国人が道を尋ねてきました。
トンチンカンな回答をする響に助言する奏。
外国人も諦めて苦笑しながら行ってしまい、
奏は響のヘンテコな英語対応を真似してからかいますが、
いつの間にか2人は自然に笑い合っていました。
PM02:00―公園・海―
昔、2人はよくここで遊んでいました。奏はふと、乗ると音が鳴る鍵盤の上を跳びまわった日々を思い出し、
もう一度、一緒にやろうと響に持ちかけて、2人でドミソの上を飛び跳ねて行きます。
そしてあの頃みたいに何でも話そうと、好きな人の事や将来の夢など、
他愛のない話に笑い合う中、いつしか不協和音は協和音になりました。
1・2・3と声をかけながら鍵盤を最後まで完璧に渡り終えて笑い合う2人。
ところが、音吉さんの事を忘れていたと思い出して我に返りました。
海へ足を運んでも音吉さんは見つからず、響の空腹も限界で
やっぱり明日にしようと漏らした事で折角の協和音も雲行きが怪しくなります。
『また諦めるの?』『またって・・・もういいよ。先帰る』
波打ち際を走って帰る響。その後を奏が凄まじい勢いで追いかけて来ます。
しかし奏は波打ち際に足をとられて転びそうになり、とっさに響へ人形をパス。
セーフ、と思いきや響もバランスを崩して転んでしまい、
人形ともども2人はすっかりずぶ濡れです。
もう無理だと肩を落として帰ろうとする響ですが、奏はまだ響を押し留めます。その理由は・・・
『足くじいた。おんぶして』
PM03:00―木陰の広場・再び海―
服を乾かして一息つき、奏は改めて探しに行こうとします。さっき挫いた足はもう治ったと平然と立つ奏に、
さっきおんぶした際「重かった」と不満を露にする響。
またまた不協和音が漂い始める2人に、ハーモニカの音色が聴こえて来ました。
ハーモニカを吹いているのは音吉さんで、2人はギャラリーの影から聞き入るうちに
音楽の良さを、そして老後も音楽を続ける幸せについて想いを巡らせます。
『私達おばあちゃんになっても』『一緒にピアノを弾いてるかな?』
寂しさを滲ませ、互いに今日は悪かったと切り出そうとした時、
肝心の人形が無い事に気付き、そしてハーモニカを吹いていた音吉さんも
いつの間にかいなくなっていて、2人は急いで海へと戻ります。
浜辺に忘れられている人形には音符が潜んでおり、
その匂いをトリオ・ザ・マイナーが嗅ぎ付けていました。
『見ぃつけた~♪』
そんな事やってる合間に、人形ごとハミィが一足先に手に入れます。
しかし追って現れたセイレーンによって人形はネガトーンと化し、
浜辺に駆けつけた響と奏は大事なプレゼントを怪物にした事に憤り、変身。
今回のネガトーンはハーモニカから強風を噴出して襲ってきます。
吹き飛ばされそうになったリズムはとっさにメロディにしがみつき
そのまま押し流されてしまう2人。
強風を前に思うような力を発揮できない2人の戦いぶりを、音吉さんが静かに見守っています。
『さっきは子供の時みたいな仲良しに戻れたよね?』
この状況を打開するため、力を合わせようと切り出すリズム。
言いたい事があればはっきり言って欲しいと、
分かり合えば昔みたいになれるかもしれないとの申し出に、
戸惑っていたメロディもはっきりと言いたい事を言いました。
『いつも上から目線なところがイヤ』
謝るリズムに、メロディもまた謝ります。
『私もすぐ子供みたいにスネたりしてごめん』
『いいよ、知ってるもん。知ってるから安心してケンカできるの』
そして先程の公園での出来事、1・2・3のリズムで息を合わせた事を思い出した2人は、
一緒に高く跳んでダブルプリキュアキックならぬ「プリキュア・スイートハーモニーキック」で
ネガトーンの体勢を崩し、そのままメロディがミュージックロンドでネガトーンを仕留めました。
PM06:00―調べの館―
ようやく音吉さんを探し当て、人形を返す2人。君達ならきっと届けにきてくれると思っていたと言う音吉さんの言葉で、
2人は音吉さんが仲直りのために仕組んだ事だと察しました。
力を合わせて一つの事を成し遂げる事は素晴らしいと語る音吉さんもまた、
幸せの音を奏でる奇跡のパイプオルガンを作り上げるべく日々作業しています。
いつかこのオルガンでみんなに音楽の素晴らしさを気づかせる事が音吉さんの夢でした。
そして、朝「最悪」と漏らしていた2人に今の気分を尋ねます。
2人とも今日一日、響と、奏といて楽しかったと、そして互いに甘えていたと謝り合います。
『私、奏なら許してくれると思って甘えてたのかもしれない』
『私も、響なら聞いてくれるって思って・・・』
振り返った時、音吉さんの姿はいつの間にかどこにも見えません。
『結局音吉さんはどんな人か、よく分かりませんでした。
でも、この加音町に音符が集まってくるのは、もしかしたら音吉さんがいるからなのかも』
PM09:00―奏の自室―
奏は日記帳を閉じて消灯し、就寝する前に窓の外へ向けて懐中電灯を点滅させました。『おやすみ、響』
遠く向こうに見える響の部屋からも、点滅する灯りが返って来ます。
互いに光のメッセージを送り合う2人。
長い旅となった今日一日、2人にとってすごく大切な一日は、もうすぐ終わろうとしています。
前回ともども、今回も披露される奏の頑固さを欠点として切り捨てるのは簡単な事です。
しかし、頑固さが前向きになった時の意志の強さは見習いたいものです。
響が主張する、明日出来る事は明日やればいいという考えも正論ですし、
私自身も仕事上、無理に今やる必要のない事は明日に回したりもします。
ところがその内なあなあになり、ズルズルと先に延ばしてしまったり事もあり、
奏の主張するように決めた事を無理してでもやり抜く努力も必要でしょう。
ところが今回の奏は意外と響に頼っている描写が見受けられるのが興味深いです。
冒頭のピアノ練習時ではテンポを落とすよう願い出たり、
成績優秀・勉強が得意という奏なら道案内くらいの英会話は出来そうなのに、
外国人への対応の際も、響に助言するだけで自分でやろうとはしていませんでした。
足を挫いての「おんぶして」発言や(この状態の2人を想像するとたまらないのですが・・・)
戦闘時でも真っ先にメロディの足を引っ張ってしまう等、
言う事は厳しい=理想は高いけれどもそれに行動が伴っておらず、
完全無欠ではないからこそ、奏のキャラクターが実に人間味あふれて見えます。
それは響も同様で、意志が強そうなのに意思が弱い、
単純そうでいて悩みやすく繊細、時折見せる内気な態度などがこれまでに描かれました。
欠点が多い2人だからこそ、ぶつかり合い、手を取り合う際にスリリングな関係が滲み出し、
深いところでは互いを理解しているための安心感も感じさせています。
これから先、冒頭で例えたような、協奏曲の名演を聴ける様な期待感が感じ取れました。
毎度こりずに痴話喧嘩を繰り広げる響と奏。
今回も結局和解してまた少しラブラブ度が上がったものの、
おそらく来週もその次も何らかの原因でケンカして、その都度仲直りすることでしょう。
そんな展開でも安心して見られるのは、水戸黄門のようなお約束の流れだと割り切れる事、
そしてプリキュアシリーズであるが故に、これまでのシリーズで培ってきたものを
絶対に裏切る事は無いと、ファンとして信じられるからでしょうか。
今回、リズムはメロディに「知ってるから安心してケンカできる」と打ち明けました。
これは観ている側にも同じ事が言えます。
どんなにケンカしても、必ずそのままで終わらないようにフォローされる事が、
そして周りの助言だけではなく自分達で原因を見極めて解決出来る事が解っているからこそ、
2人のケンカも、犬も食わない痴話喧嘩に見えて楽しむ事が出来るのだと思います。
また今回は奏の日記に始まり、奏の日記に終わるという
演出・構成面でも独特な展開が目を惹きました。
時系列をあえて描き出す展開もこれまでに無く、
2人がどのような一日を過ごしたのかを共に体験したような感覚を覚えました。
それにしても中学2年生の女の子が夜9時に就寝というのは少々早い気がしますが(笑)
少女向けの番組である事を踏まえると夜11時等には出来ないのでやむを得ないでしょう。
ラストの懐中電灯でメッセージを送り合うという展開も、
今なら携帯やメールで済ませられそうですが、あえて古くアナログなものにした事で、
携帯などでは伝えきれない心の絆のようなものを感じさせ、
そして2人の超ラブラブっぷりを感じさせる手法だと思いました(苦笑)
雪城さなえさんやカオルちゃんの系譜に連なりそうな、
音吉さんの飄々として謎めいたキャラクターも気になります。
前回登場したアコの祖父である事は容易に想像がつきますが、
町の創設者と同じ苗字である事は何か関連性があるのか。
そしてハミィに語りかけるあたりはその素性を見抜いているとしか思えず、
プリキュアの戦いぶりを見守っている等、今後どのように関わるのか興味深いです。
場面展開の際、ハミィの『ニャープニャプ♪』が
忍者ハットリ君のソレカラスのようで私世代には懐かしく、
響と奏の猫っぽい仕草の愛らしさや、あまりにヒドい扮装などの要素も楽しめました。
トリオ・ザ・マイナーとセイレーンの影が薄すぎるのがやや残念ですが、
次回セイレーンが主役とも言えそうな展開なので、そちらに期待します。
その次回、イース様時代のせつながラブを懐柔しようと接近したフレッシュ第7話や
満と薫が転校して来たSS第14話のようで、今から非常に楽しみです。
はじめまして。ようやく春らしくなってきましたね。体調を崩しやすい季節ですから気をつけてくださいね。
by 代官山 美容室 (2011-03-28 11:46)