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プリキュア5 第44話『お世話役ってどんな人?』 [Yes!プリキュア5]

Give and Takeとは、何かをする代わりの対価がある関係です。
しかしミルクの目指すものは、お世話をする事で何らかの見返りを求める事ではありません。
ただ相手を想い、相手に喜んでもらう事が自分の喜びである、Give and Giveの関係。
カワリーノを中心に暴走するナイトメアの残酷さと対比するように、
いつのまにかのぞみを中心にGive and Giveの関係を築きつつある5人から、
理想のお世話役たるにはどうあるべきかを考えるミルクの描写が際立った一編です。
  
ミルクは珍しく朝寝坊してしまい、
慌てて飛び起きてココとナッツの朝食を作りに向かいますが、
2人とも既に自分達で朝食を済ませていました。
学校へと向かう小々田先生、開店準備に向かうナッツを見送り、
ミルクはお世話無しでもやって行ける2人を見て自分の存在意義に自信を失くしかけました。

そしてナイトメアでは、カワリーノがハデーニャさんと連絡が取れずに苛立っていました。
このまま辞めるような事は無責任だと許さず、
最後くらい役に立ってくれると良いなどと恐ろしい事を呟きながら姿を消すカワリーノ。
一方ハデーニャさんはオープンカフェで食事中ですが、
プリキュアに敗れた事だけでなく、カワリーノに黒い紙を突きつけられた屈辱は忘れられません。
『私はもう要らないってのか?』
テーブルに手を叩きつけ、今度こそ倒すと意気込んで立ち上がりました。

ミルクの寂しさを表しているように木々の枯れた冬の公園。
通りがかったうららはベンチでしょんぼりしているミルクに気付いて、
一緒にナッツハウスへ帰ろうと声をかけると、ミルクが泣いている事に気付きました。
憧れのココとナッツの役に立ちたいと思っていても、
2人とも世話が無くても問題が無く、どうしたらいいか解らないと泣くミルクに、
うららも仕事では鷲尾さんにお世話になりっぱなしだと語ります。
しかし鷲尾さんには感謝していても、うららが考える「お世話役」とは鷲尾さんではありません。
『私、お世話役がどんなものかは良くわからないけど、
 毎日一緒に居なくても一番肝心な時には必ずそばに居て、
 叱ったり励ましたりしてくれる。そんな人の事だと思うな』

うららの脳裏に、桜並木の下で特徴的な指使いをする
「あの人」のシルエットが思い起こされます。

次にミルクはフラワーショップ夏木にりんちゃんを訪ねました。
「叱ったり励ましたり、いろいろズバッと言う」事からりんちゃんを連想をしたようですが、
りんちゃんも「その人」は私じゃないと考えています。
ミルクは「その人」がりんちゃんよりも凄い人だと考えますが、
りんちゃん曰く凄く不器用で勉強もダメ、運動もダメで、忘れ物も多く、
何も無いところで派手に転ぶのが特技と聞かされ、余計に解らなくなりました。
『でもみんなのために泣いて、みんなのために怒って、
 みんなのために笑って、みんなのために悩んでくれる。
 そんな素敵な子なの。私はとっても感謝してる。お世話になってるって思ってるのよ』

りんちゃんの考える「あの人」のシルエットが、元気良く渡り廊下を駆けて行きます。

続けてミルクは図書館にこまちを訪ねます。
役に立ちたい気持ちは持っていても、何をしたら良いか解らないというミルクに、
こまちは思っていても実際に行動するのは難しいと助言しました。
それでも、それが簡単に出来てしまう人の事をこまちも思い浮かべています。
『とても強い意志を持った人よ』
図書館で本を手にする「あの人」を思い浮かべるこまちの言葉に、
ミルクは誰の事か確信し、かれんの所へ向かいました。

橋の上でミルクと会うかれんも、こまちが言っていたのは自分では無いと言い、
ミルクはますます誰なのか解らなくなりました。
そして、みんなに必要とされているその人の事を羨む気持ちは高まります。
『どんな逆境に立たされても輝きを失わない。いつだって信じる事を忘れない子よ』
かれんにも「その子」を羨む気持ちがあると知って、
ますますその人に会いたいという想いが強まるミルク。
しかし、それがのぞみの事だと知って愕然とします。

ところで話は前後しますが・・・
ナッツハウスでは姿が見えないミルクを案じ、
小々田先生とナッツは急いで外へ探しに飛び出していました。

みんなが揃ったナッツハウスで、ミルクはシュークリームを頬張るのぞみを
穴が開くように見つめながら、そんな凄い人には見えず、何かの間違いだと考えています。
ミルクはのぞみに理想のお世話役とはどんな人かを問うと、のぞみの答えは
『良く食べて、良く遊んで、良く寝て、いつも健康で、幸せ一杯な人』
ココとナッツの役に立ちたいと願うミルクにとっては答えになっていませんが、
のぞみはまるで禅問答のように続けました。
『ミルクはココとナッツの事好きなんでしょ?じゃあ、それでいいじゃない』
意味が解らず、ミルクはのぞみなんかに聞くんじゃなかったとへそを曲げてしまいますが、
そのココとナッツの姿は先ほどからナッツハウスに見当たりません。
2人がミルクを探しに外へ向かったと知り、
ミルクはココとナッツに何も言わずに外へ出た事に今更気付きました。

ミルクを探し、工事現場で落ち合う小々田先生とナッツの前に、
案の定ハデーニャさんが立ちはだかりました。
遊んでいる時間は無いと早速鳥人化してコレットを要求しているところに
間一髪駆けつけて変身する5人。

前回に続いて今回も崖っぷちのハデーニャさんも覚悟が違います。
工事現場の資材を使いながら迎え撃ち、一進一退の攻防を繰り広げます。
そしてミルクはココとナッツの役に立てない上に、
心配までかけてしまったと思い込んでさらに落ち込む事となりました。
そんなミルクにハデーニャさんの言葉が追い打ちのように突き刺さります。
あんたがウロウロしてくれたお陰でドリームコレットが手に入ると言われ、
お世話役失格とまで思いつめてしまいますが・・・
『ココとナッツのお世話役は』
『ミルクにしかできないんだから!』
割って入るドリームとルージュのスイートハーモニーキックが畳み掛けられ、
『貴方なんかにミルクの気持ちは!』
レモネードの珍しいドロップキック(笑)が続き、
『わからないわ!』
ミントとアクアのの掌底の連続攻撃に、流石のハデーニャさんも敵わず弾き飛ばされました。

『無理はいけませんよ』
再び立ち上がろうとするハデーニャさんの前に、いつの間にか姿を表すカワリーノ。
忘れ物を届けに来たと語るその手には、あの黒い紙がありました。
『いらないってば!私はまだやれる・・・!』
怯えて後ずさりするハデーニャさんに、あなたが勝つにはこれが必要だと
カワリーノは無理矢理仮面を被せました。
その恐ろしい光景を目の当たりにした5人とココたちから
仲間割れだとの声が漏れますが、カワリーノの言葉は非情そのものです。
『仲間?そんなもの見た事も聞いた事もありませんね』

元々強かっただけに、ハデーニャさんの成れの果てのパワーは圧倒的で、
5人はたちまち吹き飛ばされ、ココ達も巻き添えを食らってドリームコレットを取り落としました。
『ありもしない王国のために健気な事です。それにしてもあなたたち、
 またしてもドリームコレットを守れませんでしたね。・・・本当に情けない』
ココとナッツを嘲るカワリーノの言葉は止まりません。
『何の役にも立たないあなた方なんて、本当は必要無いんじゃないんじゃないですか?』

『黙れミル・・・黙れと言ったミル!!』
コレットは、ミルクが身を挺して守っていました。
ココとナッツはパルミエ王国に絶対必要だと物怖じせずにカワリーノに反論し、
王国の復活を、そしてその後、ココとナッツに仕える夢をぶつけるミルクに、
ハデーニャさんの成れの果てが、そしてカワリーノの魔手が迫ります。
そのミルクのココとナッツを思う気持ちは5人にしっかりと伝わりました。
手分けしてハデーニャさんの成れの果てを押し止め、
一番一番肝心な時にそばにいてくれて、みんなのために怒り、
強い意志を持ち、信じる事を忘れない。
そんな最高のお世話役であるミルクのためにもコレットは渡さないとの5人に打たれ、
ミルクもまたお世話役になるとの強い意志と共にドリームの二の腕にしがみつきました。
ハデーニャさん終了のお知らせ。
こうしてハデーニャさんもまた組織に使い捨てられる哀れな最期を迎えたのでした。
『これでダメとなると・・・』
次の策に想いを巡らせながら、引き上げて行くカワリーノ。

ミルクはすっかり吹っ切れたようで、いつもの笑顔が戻って来ました。
これで一件落着とばかりにシュークリームをつまむココでしたが・・・
ミルクは朝もシュークリームを食べていた事を指摘し、
ナッツにも本を読みふけって徹夜した事を指摘します。
そして前から二人に言っておきたいと思っていた事がいっぱいあると、説教が始まりました。
この調子だとミルクはしっかりした良いお世話役になりそうな予感がします。


個人的に、今回の前半部分は5シリーズの中でも秀逸の構成だと思います。
落ち込むミルクが次々と4人の許を訪れ、その度に聞かされる「ある人」の姿が
常に逆光であったり後姿であったり、顔の上半分が映らなかったりする描写。
それがのぞみだと解っていても、はっきりと誰かの口から
「のぞみ」だと語られる時、ミルクはどんな反応を示すのか期待感を高めています。
そして、のぞみだと知って実際にのぞみと対面した折には、
呑気にシュークリームを頬張る姿との落差で一度肩透かしを喰わせた後、
理想のお世話役に対するのぞみの禅問答のような答えも実に的確です。

お世話役というのもある意味「サービス業」に通じるものがありますが、
結局は人が好きでないとやっていけません。
尽くす相手の事を好きになれば、自然と良い結果が生まれるものです。
ミルクの事を本気で心配していたココとナッツ、
それぞれ正面から向き合い、的確な助言をしたうらら、りんちゃん、こまち、かれん。
ミルクに好かれるだけでなく好いており、その中心にのぞみがいます。
Give and Takeではなく、Give and Giveという関係を築き上げる事が出来たのは
あの絶望に落とされた日を乗り越えたのぞみの存在に依る所があり、
この互いの信頼関係は見ていて大変心地良いものでした。

ところで後半部は身を挺してコレットを守り抜くミルク、
ミルクを守り抜こうとする5人の心意気も熱く、悪い展開ではないのですが、
ハデーニャさんに同情を抱いてしまうために後味の悪さが残るのが
今に始まる事では無いにしても残念です。
みんなに根の深いところで必要とされているのぞみと、
組織に必要とされなくなってしまったハデーニャさん。
互いを信じ合うことが出来た5人と、仲間など見た事も無いと言い放つカワリーノ。
言いたい事を言う事が出来る5人と、「目ェデカッ」としか言えないブンビーさん(笑)。
この対比はハデーニャさん目線で見るととても残酷です。
そして今回は嫌がるハデーニャさんにカワリーノが
無理矢理仮面を被せるのを目の当たりにしているのに、
5人にはハデーニャさんも被害者だと考える余地は無かったのでしょうか。
理性を失い襲ってくるだけのハデーニャさんの成れの果てを葬り去ってしまいますが、
真に倒すべき、忌むべき相手はカワリーノだと気付いても良さそうですが・・・
それを言ってしまうとストーリーが成り立たないため仕方ありませんが、
何度観ても5~5GoGoの「殺して」しまう表現だけは慣れません。
今後もスコルプさんなどで同様の想いを再び抱いてしまいそうです。

ともかく、作品からは前向きなメッセージを受け取って
日々の生き方に活かしたいと考えておりますので、
ネガティブな面だけでなく前半部とラストの描写を心に刻んで
新たな年度へと向かう事にします。
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