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スイートプリキュア第14話『アワワワ~!ミューズ対ミューズ、本物はどっちニャ?』 [スイートプリキュア♪]

これまでありそうで無かった「偽プリキュア」。
例外は響が、もとい夏子と京子が扮した、痛いコスプレニセプリキュアがありますが、
敵が成りすますのは珍しい展開です。
偽ウルトラマンや偽仮面ライダーのようにバレバレの外見でもなく、
ただ一点の飾りと、「自らの口で話す」事を除けば見分けが付かない偽ミューズ。
その姿を借りたセイレーンと、偽ミューズに相対する響と奏にとって
「仲間」とは何かがが交錯する一編です。
 
セイレーンはメフィストに対し、ミューズの可能性を明確に否定します。
ハミィに心を動かされたのではないかと問われても一笑に付し、
最も憎むべきはハミィとプリキュアだと言い放って、
奴らを倒すと強い決意を伺わせるセイレーンを、メフィストは再びリーダーに命じました。
セイレーン=ミューズの誤報で面目を失い、
再びセイレーンの部下に甘んじる事になったバスドラの舌打ちが響く中、
ミューズの正体をプリキュア達も知らない事に目をつけたセイレーンは、
プリキュア打倒策をメフィストに進言します。
『同じプリキュアという仲間なら、何を言っても奴らはきっと信じるはず・・・』

セイレーンとの関係修復が残念な結果に終わり、
元気の無いハミィを慰めるべく、自分達のカップケーキをあげる響と奏。
ハミィは現金なもので、あっさり立ち直って再び音符探しに出かけていきました。
それにしてもミューズの正体は誰なのか、謎は深まるばかりです。
同じ年頃の中学生くらいで、音楽を愛する心を持っていて、
黒のパンツスタイルで、ピンチの時にビシッとかっこよく敵を倒して・・・
響がスケッチブックに鉛筆を走らせている間、奏はある心当たりを思いつき、
明日、本人に直接聞いてみると乗り気です。ちなみに響はといえば・・・
この絵に似ている子を探せばいいと自信たっぷりにスケッチブックを見せますが、
まるで咲なみの絵心の無さに奏も言葉がありません。
響本人に言わせると、上達したとの事ですが・・・

奏の予想する人は、まさかの王子先輩です。今度こそ史上初の男性プリキュア?
ミューズは「女神」だから女の子ではないかという響の意見も、
ガラス越しに憧れの先輩を見る乙女全開の奏には届きません。
『やっぱり王子先輩がキュアミューズだったんですね!?』
『ああ。僕、南野さんの危ないところ、見ていられなかったんだよ』
すっかり自分の世界に入り込んで、痛~い一人芝居を始める奏。
別の意味で南野さんの危ない所を見ていられなくなった響が退散するのも気付かず、
奏はりんちゃんのような一人芝居に興じ続けていました。
いつの間にか王子先輩に妙な姿をマジマジ見られている事に気付いて我に返り、
思い切って先輩にミューズかどうかを尋ねてみますが、
当然先輩には質問の意味が解りません。奏も期待が外れて肩を落としました。

教室全体に『おっはよー!キュアミューズ!』と呼びかければ
ミューズが反応するのではないかと試みる響のアイディアも
クラス全員が呆気に取られて反応してしまい、失敗。
そもそもミューズの中の人が同じ学年かどうかもわかりません。
そんな時、響はスピーカーに目を留めて悪魔の微笑を浮かべました。
そして昼休み、お昼の放送ジャックを敢行します。
及び腰の奏も、道場破りのように威勢よく突入する響を前に後に退けず、
放送部員を羽交い絞めにして響を援護。響の校内放送が全校に流れました。
『皆さんこんにちは!私、2年A組の北条響です。
 ミューズって言う名前に心当たりがある人を探しています。
 っていうかミューズさん。今日の放課後屋上で待ってるから、だから必ず・・・ちょ・・・アッー!』
『し、失礼しましたぁ。ではランチタイムミュージックを再会します』
これでは響が放課後、職員室に呼び出しを喰らってしまいそうですが(笑)
放送部員に頭を下げた後、響はこの作戦に絶対の自信を持っています。

が、屋上で待つ事しばらくしても、ミューズは来ません。
それどころか、2人はすっかり晒し者になっており、遠巻きに笑いものにされて
響のアイディアなど信用するんじゃなかったと頭を抱える奏。
響も奏が王子先輩に目を付けた事を指摘して言い合いになりますが、
その最中、屋上に聖歌先輩が現れました。
まさか聖歌先輩が・・・?と思いきや、先輩も面白半分の訪問です。
勘違いさせた事を謝りながら、差し入れのクッキーを渡して事情を尋ねる聖歌先輩。
そして、2人が探しているミューズが姿を現さないのは何か理由があっての事で、
いつかその時が来れば名乗り出てくれるのではないかとの意見を述べました。

話は前後して・・・音符を求めて潮溜まりを漁っているハミィの背後に、
静かに降り立つミューズの姿がありました。
気配を感じたハミィが振り返ると、そこには誰も居ません。
が、しばらくして音符が見当たらずに音を上げるハミィの背後に、再びミューズが現れました。
今度はそれに気付いて、驚くハミィを無言で見下ろすミューズ。しかし・・・

学校の響と奏の許に、ドリーとレリーが飛んできてミューズが現れた事を報告します。
急ぎ海へと向かった2人を、ミューズが岩陰で待ち構えていました。
ずっとあなたを探していたと言う奏に、ミューズは「自らの言葉で」語り始めます。
『今までちゃんと話せなくてごめんなさい。
 本当は私も、二人と仲間になりたいとずっと思っていたの・・・』
ところが自分で話している事といい、ミューズの話はどうも不審です。
ハミィと2人で音符を全て集めたものの、
モジューレのト音記号が無いと楽譜が完成しないと、響と奏が持つモジューレを要求。
敵の魔手が迫る前に急ぎメイジャーランドに届けるよう頼まれたと言う言葉を
疑いなく信じる響と奏は、ミューズの胸元に下がる飾りが、
セイレーンと同じものだとは気付いていません。

差し出されたモジュールを前にして、目論見どおりとはいえミューズ(セイレーン)も
かつて響の心のト音記号に弾かれた事を思い出し、緊張を隠せません。
恐る恐るモジューレに触れ、問題が無いと知るや、
一気に2人の手からモジューレを奪い取りました。
と同時に反応を始めるモジューレを、そのまま海へと投げ捨てます。
突然の事に戸惑う響と奏にかけられるミューズの言葉、そして視線は冷たいものでした。
『もう用が無いから捨てたのよ。あなた達二人も、もう用はないわね・・・』
そのまま赤黒い五線に縛られた2人は、ミューズ(セイレーン)が示す方向に
猿轡をされて縛られたハミィと、カゴに囚われたフェアリートーンを目にします。
『今まで助けてくれたのは、私達を信用させるためのワナだったの?』
未だ目の前のミューズがセイレーンだと気付かない2人。
暗く、悲しい調べに満ちたマイナーランドの姿が浮かぶ海へと放り出されそうですが・・・

間一髪。本物のミューズが登場し、響と奏を縛る五線を断ち切ります。
『私の真似はやめるドド』『うるさい!私が本物だ!』
例の如く言葉を発しない本物のミューズに挑みかかるミューズ(セイレーン)
ミューズとミューズの戦いが繰り広げられますが、
息が切れるミューズ(セイレーン)と異なり、本物は呼吸一つ乱れていません。
そしてドドリーは、モジューレに下がる飾りに目を留めてセイレーンだと見破ります。
正体を見破られたセイレーンは元の姿に戻り、
近くの海中の海藻に音符が潜んでいるのを見つけ、起死回生とすべくネガトーン化させました。

その間に響はハミィの猿轡を口で外し、奏は額でフェアリートーンをカゴから出しました。
3人の手を縛ったままの五線譜はフェアリートーンの力で外し、
海に捨てられてしまったモジューレは両前足が自由になったハミィの力で
無事に響と奏の手元に戻ります。
そしてミューズに成りすまし、モジューレを奪おうとしたセイレーンに憤り、変身する2人。

『一人では敵わない困難だって!』
『仲間と力を合わせれば、打ち克つ事ができる!』
戦闘開始直後、海藻ネガトーンを力一杯殴り飛ばし、
メロディの猛ラッシュに続けて、リズムの強烈な蹴り上げが叩き込まれます。
苦し紛れに飛び道具を指示するセイレーン。
しかしミューズが問題なく防ぎ、リズムはネガトーンを掴んで投げ飛ばし、
落下地点でベルティエを構えるメロディがネガトーンを打ち返しました。
そのままミラクルハートアルペジオと、ファンタスティックピアチェーレの
同時攻撃で一気にネガトーンを撃破。
『覚えておけッ!プリキュア共!』
いつも以上の忌々しさが感じ取れる台詞を吐き捨て、引き上げるセイレーン。

そしてミューズも、まだ仲間になる時ではないけれども、
時が来たら必ず仮面を外して現れると約束して去って行きました。
結局ミューズの正体は未だ解らずじまいですが、
正体が分からずともミューズは大切な仲間だと確信し、
去り際の約束を信じる2人。間もなく夕陽が沈もうとしています。


今回、響と奏はミューズの正体を興味本位だけで追い求めるのではなく、
「仲間」として迎え入れたいと思って行動している点に好感が持てます。
ミューズ本人(ドドリー)は「誰の味方でも無い」と言っていましたが、
これまで何度も窮地を救ってくれたのは事実で、
言葉にはせずとも「仲間」だと思いたい、思われたいと双方が感じていると思われます。
戦闘開始早々のメロディとリズムの台詞しかり、
ラストシーンでの響と奏の台詞しかり、はっきりと互いの素性は知らずとも、
手を携えて戦い合って来た仲間を信じたいという想いが伝わってきました。

そしてこの「仲間」という言葉が、偽りの姿を取るセイレーンの口からも出ている点が、
セイレーンの寂しい内面が滲み出ているような気がします。
冒頭、セイレーンはメフィストにハミィに心を許しているのではないかと
指摘されて笑い飛ばしますが、作戦を申し出た後に、
『同じプリキュアという仲間なら、何を言っても奴らはきっと信じるはず・・・』
と口にする際、心なしかうつむいているようにも見えます。
これはマイナーランドの「仲間」であるメフィストが言った前回の言葉を信じているセイレーンが、
プリキュア達と自分自身の事を重ね合わせているのではないでしょうか。
ミューズに扮してプリキュアに嘘をつく作戦を始めようとするセイレーンが、
自分もメフィストに同じような嘘をつかれているのでは、と案じているような気がしました。
重ねてハミィという「仲間」を信じる事が出来なかった自分を嘲るような風にも思えます。

「本当は私も、二人と仲間になりたいとずっと思っていた」
ミューズの姿で語るセイレーンの言葉も、少し本音が混じっているように思えます。
何より響と奏のモジューレに手を伸ばした際、第1話のようにすぐに弾かれなかったのは
100%マイナーランド寄りの心ではなかったからだと思いました。
モジューレは奪い取られた後、セイレーンがほくそ笑むと同時に反応を始めました。
悪の心に反応すると思われるモジューレが最初反応しなかったのは、
本当はセイレーンは悪一色ではないと言いたいのだと思います。

前回レビューで、ハミィを「天才」として語る際にモーツァルトを引き合いに出しましたが、
今回のハミィを見ていると、改めて天才(天然)ゆえの悲しみがあるように見えました。
ハミィは今回、カップケーキ3個であっさりと立ち直りますが、
その際「ちょっぴり元気が出たと」言っています。
と言う事は、ちょっぴりではない残りは大きな悲しみを抱いていると捉えられる事も出来ます。
ただ単純なだけで、少し持ち上げすぎかもしれませんが、
一見ただの天然のように見えて、実は悲しみを表に出さず、
辛くてもあのように振舞える精神の持ち主のように思えます。
ほとんどが長調のモーツァルトの作品のうち、
交響曲第25番と第40番、ピアノ協奏曲第20番と第24番、ピアノソナタ第8番と第14番等、
数少ない短調の作品群はいずれも聴き手の魂を揺さぶるような悲しみに満ちています。
天真爛漫に見えるモーツァルトが、嘆き悲しみを表に出さずに作品に込めたように、
ハミィ自身も誰も知らない悲しみに耐えているような気がしてなりません。
本人がそこまで意識せずとも、無意識に明るく振舞えるのは誰にでも出来る事ではなく、
それだけでもハミィは強い存在に思えてきました。

聖歌先輩と、本物のミューズ(ドドリー)が共に口にする「その時」はいつなのか、
そしてこの2人の発言がなぜ被るのか、この点も気になります。
まさか聖歌先輩が深い関わりがあるとも思えませんが・・・

ところで、前半部の響と奏が表情豊か、かつ特徴的で楽しい話でもありました。
スピーカーを見上げる響が見せる小悪魔的な笑顔や、
ガラス越しに王子先輩を見つめる奏の憧れの表情は、大変可愛くインパクトが強いものでした。
そして咲よりはマシかもしれませんが、とんでもない絵心の持ち主かつ本人に自覚の無い響、
純情乙女の恋物語でのりんちゃんのような一人芝居が痛々しい奏と、
ミューズ登場後、少々薄くなりがちだった2人の個性が、
改めて強く前面に押し出されて印象深いものになったと思います。
そして、屋上での言い争いは序盤の2人ならケンカに発展したと思いますが、
そうならなかったところに2人の関係が深まっている事も伺えます
また明堂学院の生徒会員を彷彿とさせる放送部員など、
ちょっとしたファンサービスのようで楽しめました。

五線の拘束がフェアリートーンによって簡単に外れたり、
海に沈んだモジューレがいとも簡単に回収されたりと、
ややご都合主義な点が気になりますが、
短いながらも意外と激しかったアクションパートなど、概ね楽しむ事が出来る一編でした。
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横浜学園都市部

このお話ではレビューでも仰ってますが、表情豊かな響と奏と、短いながらもミューズと連携を取ったアクションに印象が残りましたね。

表情面は初代やS☆Sのキャラデザを担当した稲上さんが作監だっただけに、やけに可愛らしかったですね(因みに本作のキャラデザの高橋さんとは、下の名前が同じ「晃」だったりします)。

一人芝居を進めていく内に、王子先輩に見付かって我に返った奏の可愛さは今も忘れられません。

そして、いきなりのバトルの際の2人の台詞は、個人的に名台詞だったりします。
by 横浜学園都市部 (2011-11-02 12:28) 

横浜学園都市部

今回の話は、上の感想とやや被りますが、当時の2人は各々の性格の固定観念を覆している印象が有りますね。

強気な姿勢でありながら繊細な部分をやや散見した響。

落ち着いた物腰をしていながら妄想に浸ると暴走しがちな奏。

それまでの主人公のキャラには無い内面性を見れた感じにもなりましたね。

尤も…後者の奏次の話も顔芸を披露しますけどね(思えばメンバー内では一番顔芸を頻発しています)。
by 横浜学園都市部 (2012-03-03 13:30) 

スティクス

>横浜学園都市部さん
この話の魅力はおっしゃる通りの連携バトルもさる事ながら、
「豊口ボイスのミューズ」というレアものが見られた事もありそうです。
今聴くとすっかりビートの声なのですが、
それが黒ミューズの雰囲気ともマッチしており、
どこかでセイレーン説が捨てきれない一因になっていたかもしれません。
(たとえばセイレーンの別人格や、未来から来たセイレーン等)

>稲上さん
SS以降のシリーズでも何度か作監をされていらっしゃいますが、
プリキュアの初代と2代目を担当されていただけに、
親しみやすさと安定感があって私も好きです。

>我に返った奏
本当、この子は「たおやか」担当なんですよね(笑)
奏のこういうところが私も好きだったりします。

>バトルの際の2人の台詞
ある意味答えを言っているようで感慨深いです。
一人だったノイズの孤独と絶望に、
力を合わせて打ち克ったとも見る事ができますので、
既にこの頃から方向性は決まっていたのかもしれません。

>主人公のキャラには無い内面性
なぎさが実は繊細だったり、ほのかが非常に肝が据わっていたりと
多かれ少なかれ見られたものではありますが、
特に響と奏には顕著だったかもしれません。
だからこそ後半の響の落ち着きっぷりに、感慨深いものがありました。
もちろん奏の暴走も楽しめましたが(笑)

>顔芸
本当、この子は「たおやか」担当なんですよね(笑)
by スティクス (2012-03-03 22:07) 

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