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5GoGo 第45話『キュアローズガーデンの扉現る!』 [Yes!プリキュア5GoGo!]

紆余曲折の末、遂に目を覚ますモンブラン国王。
4人の国王が揃い、いざキュアローズガーデンへ!
普通ならこのような展開になってもおかしくありませんが、
そこにシロップの畏れ、そして後ろ髪弾かれるような心境を描き出すところが、
ありきたりのストーリーではありません。
シロップの抱く複雑な心境が、間もなくこの物語が終わってしまう事を
惜しむような気持ちとリンクして、最終盤ならではの余韻を残す一編です。
  
ナッツハウスに集い、ホットケーキを作るのぞみ達。
楽しそうな雰囲気とは裏腹に、目元が不自然に暗い事が奇妙な違和感を与えます。
『おかえり、シロップ!』『今みんなでホットケーキ作ってるの』『シロップ、手伝って!』
『何で俺がそんな事・・・』
そこに帰って来たシロップが面倒臭そうに応じるいつもの光景。と思いきや・・・
シロップは無表情な5人を、そして抑揚無く言葉を続けるのぞみを目の当たりにしました。
『だって私達、もうキュアローズガーデンに行かなくちゃ。
 私達だけで行くの。だからシロップは一人で残ってホットケーキ作るのよ』

続けて立ち上がる小々田先生、ナッツ、くるみも同様に冷たく、
突如あたりが闇に包まれ、闇の中、徐々に遠ざかって行くみんな。
取り残されたシロップが懸命に追いすがろうとしても追いつけず・・・
気付いた時、シロップはベッドの上で小々田先生の二の腕を掴んでいました。
心配して様子を見に来た小々田先生と、味噌汁が覚めると文句を言いに来るくるみ。
いつもと変わらぬ日常がそこにあります。
しかし、シロップが抱くこの胸騒ぎは、一体何なのか―
キュアローズガーデンに行き、記憶を取り戻した先には、
今までのようにみんなと過ごす穏やかな日々が続いているのか不安を抱くシロップ。
不安を紛らわして飛ぶシロップの心を揺らすように、時計台の鐘の音が鳴り響きました。

ナッツハウスに帰って来たシロップは、
のぞみ達がホットケーキを作っている、夢と全く同じ状況に出くわしました。
思わず腰が引けるシロップ。しかし夢とは異なり、のぞみはシロップの手を引いて
半ば強引にホットケーキ作りの輪に加えます。
材料に羊羹を入れているこまちに文句を言いながらも、
シロップはみんなのペースに乗せられて楽しそうです。
その時、不意にローズパクトが輝いて、モンブラン国王が目を覚ましました。

その頃、エターナル。
アナコンディさんは館長に未だ4人の国王は見つかっていないと報告します。
ブンビーさんからモンブラン国王の情報を聞いている筈ですが、
意図的にそれを隠ぺいしていると知ってか知らずか、報告を聞く館長の関心は
国王などではなくローズパクト、そしてその先に居るフローラのみ。
館長の冷たい目を前に、アナコンディさんも言い返す事が出来ず、
ただローズパクトを奪う事を誓約して引き下がるしか出来ません。

モンブラン国王が元気になった事で、
いよいよパルミエ王国と周囲の4ヵ国の王の力を合わせ、扉を開く時が来ました。
くるみはミルクの姿になり、他国の王を迎える使者として準備を始めますが、
肝心のシロップは上の空。
もうすぐみんなで一緒にキュアローズガーデンに行けると
単純に喜ぶのぞみと裏腹に、シロップには名状しがたい畏れを抱いています。
フローラから館長へ宛てた手紙。みんなが離れていく悪夢の光景・・・
これらが去来する中、それでもミルクを乗せて大空へと羽ばたいて行きました。

一方ムカーディアさんは、主の不在中にアナコンディさんの執務室に忍び込み、
彼女が引き出しの奥に厳重に隠しているものを探り出そうとしています。
引き出しは厳重に封じる電撃がムカーディアさんの腕を容赦なく襲い、
電撃に悪戦苦闘している間に、部屋の主の足音が次第に近づいてきます。
腕を襲う衝撃に耐えながら、引き出しに力を込めるムカーディアさん。
引き出しが開くのと、アナコンディさんが扉に手をかけるのはほぼ同じ。そして・・・
アナコンディさんが扉を開けた時、室内には誰もいません。
が、彼女は何かを察したのか、意味深な笑みを浮かべました。

空はどんよりと曇っていますが、ようやくキュアローズガーデンに行けると期待を抱き、
シロップの帰りを待つのぞみ達。
『よーし!みんなでキュアローズガーデンに行くぞ!けってーい!』
突如、その背後にムカーディアさんが現れました。
すっかりエターナル呼ばわりされているムカーディアさんは
アナコンディさんの机から手に入れた手紙を手にして、
シロップが居ないと知り、隠し持ったコインをホシイナー化しました。
ナッツハウスの前で変身する5人。

初登場時のように椅子に腰かけ、高みの見物と洒落込む
ムカーディアさんの指示の下、ホシイナーが打ち出す無数のコインが5人を襲います。
巧みにその間隙を潜り抜け、ファイヤーストライク、サファイヤアローを打ち出すも、
固いコインに弾かれてしまい、ムカーディアさんが指を弾くと周囲のコインが炸裂。
そこに戻って来たシロップは、上空からナッツハウスの異変を察知します。
立ち上がれないドリームの前に、鋭い刃を携えたムカーディアさんが迫り、
その刃が今まさにドリームに振り下ろされようとするその時、
シロップと共に戻って来たローズが救援に駆けつけました。

ローズの登場でシロップの帰還を察したムカーディアさんは
標的を変え、ホシイナーにシロップを狙うよう指示します。
たちまち撃ち落されるシロップ。
シロップが連れてきた3人の国王、そしてモンブラン国王を見て取って、
4人の国王が揃っているとは知らなかったムカーディアさんは
思わぬ収穫に出世の好機を見てとりました。
そしてシロップを捕まえ、あの手紙を突き付けて過去を思い出すよう問い詰めます。
『俺の、記憶・・・?』
キュアローズガーデンに行けば素性が解る気がするとココに語った日の事、
走っても走っても抜け出せない暗闇の中にいる夢を見る事―

シロップの下へと駆け寄るみんなは次々とホシイナーのコインに動きを封じられ、
ローズもドリームを庇い、砂煙が立ち込めます。
『もし記憶が戻って、これからみんなと一緒に居られなくなったりしたら・・・』
淀んだ空に、シロップの苦悩の叫びが響きわたりますが・・・

『シロップを離して。シロップは私達と一緒にキュアローズガーデンに行くのよ!』
よろめく足取りで砂煙を越え、シロップを捕まえている
ムカーディアさんの腕を掴むドリーム。
余裕を見せていたムカーディアさんも、思わぬドリームの力にたじろぎました。
『もうシロップを傷つけないで。シロップの記憶はシロップのものよ!』
あまりの力にシロップを手放してしまうムカーディアさん。
そしてドリームはシロップの手を優しく握りました。
『大切なものは絶対に手放すな。シロップが教えてくれたでしょ?
 一緒に行こう。キュアローズガーデン』


ムカーディアさんは激昂し、建物ごと国王たちを没収すべくホシイナーをけしかけます。
コインの一撃が畳み掛けられ、砂煙が辺りを覆いますが、
今度はシロップがその一撃から皆を防いでいました。
そして今度はドリームに手を差しだし、これまで抱いていた不安を口にします。
『俺、記憶が戻ったらみんなと一緒に居られるかわからなくて、不安で、恐かった』
しかし不安を乗り越え、シロップはみんなと共に歩む道を高らかに宣言します。
『大切なものは絶対に手放しちゃいけない。将来どうなるか分からないけど、
 今までみんなと築いたものがちゃんとここにある。だから、ローズパクトも王様も、
 そしてみんなと帰るこの場所も、絶対に・・・絶対に、渡さない!』
迷いを払拭したシロップの心を暗示するように、
厚い雲の合間から薄日が差す中、みんなも立ち上がり、
一緒にキュアローズガーデンへ行く事を決心します。
そしてココとナッツがシロップの想いに応えると共に、
王冠が完全な形となって2人の頭上に輝きました。
そのままメタルブリザードがホシイナーを撃破。
続けてムカーディアさんをレインボーローズエクスプロージョンが襲います。
せめて国王と手紙の件だけでも館長に報告しようと撤退しようとした矢先、
彼の足元は何者かによって拘束されていました。
そのまま退く事が叶わず、押し潰されるムカーディアさん。
『困るんですよ。あの手紙を館長に見せられては・・・』
ムカーディアさんの末路を見届けたアナコンディさんが、木陰で冷たく呟きました。

緊張が解けて腰を落とすシロップに、今度はドリームが手を差し伸べる番です。
『シロップ、ありがとう』
頭をかいて照れながら、その手を取って立ち上がるシロップ。
ドリームの向こうにはルージュが、レモネードが、ミントが、アクアがいます。
そしてシロップの後ろにはローズが、小々田先生が、ナッツがいます。
『行こう。みんなと一緒に、キュアローズガーデンへ』

遂に扉を開く時が来ました。
モンブラン国王を中心に6人の国王が王冠を捧げ、全ての意志を注ぎ込むと、
ローズパクトから花弁が舞い散り、周囲を彩ります。
一見して何も変わっていませんが、湖の方を見たうららは声を上げました。
ナッツハウス前の湖の中央には大きな扉がそびえ立ち、
あの先にフローラがいると思うと、のぞみは居てもたってもいられません。
水面の上を歩けるという不思議な現象も起こり、
みんながのぞみに続いて扉の前へと集まりました。

ナッツハウスを振り返るシロップ。そして・・・
『行こう。シロップ』『ああ』
と、突然何者かが国王達に襲い掛かりました。
これからというところに現れたのは、アナコンディさん。
報告書をかなぐり捨て、フローラの息の根を止めて
全てにカタをつけると、皆の行く手に立ちはだかります。
キュアローズガーデンの扉が、そして最後の戦いの扉が開こうとしています。
―哀しい女の戦いが―


今回は記憶を取り戻す事を望みながらも、
記憶が戻った先に待つものに恐れを抱くシロップを中心に描く中、
のぞみ=ドリームの存在感が非常に大きい事が印象的です。
言うまでも無くのぞみはこの物語の主人公であり、中心的存在です。
なぜ彼女が主人公で、リーダーなのかを改めて感じ入りました。
このような佳境に入っても、シロップに対して常に自然体であり、
迷えるシロップに都度向ける笑顔や態度は、
シロップでなくとも「この人について行けば間違いない」と思わせるものでした。
加えて随所で描かれる薄目に妙な色気が感じられたり、
ムカーディアさんからシロップを解放した後に向ける笑顔が妙にイケメンだったり、
作画とも相まってのぞみ=ドリームの新たな魅力を
この最終版に於いても見つけた次第です。

そのシロップの迷いは、このシリーズが間もなく終わってしまう事に対する
作り手の方々の想いがにじみ出ているようにも取れました。
ナッツハウスで過ごした日々は楽しく、
この時間が永遠に続いて欲しいとシロップも感じていた事でしょう。
ナッツハウスに集うみんなの日常は、そこから始まる事件であったり、
何かのイベントであったりと、プリキュア5の世界そのものです。
その時間の終わりがすぐそこまで来ている事を惜しむような、
後ろ髪を弾かれるような想いは、見ている側も抱きます。
シロップが記憶を取り戻す事で大きな代償も考えられ、
それはすなわち最後に待ち受ける壮絶な戦いを予感させます。
戦いに赴く前のひと時、何の変哲もない平穏な時間の尊さ。
振り返れば初代に於いて、最後の戦いに赴く前のなぎさとほのかが感じたような心境が
今回のシロップにもあった事でしょう。

それでもシロップははっきりと言い放ちました。
「将来どうなるか分からないけど、今までみんなと築いたものがちゃんとここにある」
再び戻って来る事は出来ないかもしれない。
けれども、みんなと過ごした時の記憶は生き続ける。
過去を振り返るのではなく、過去をしっかりと踏まえて前に向かう姿勢からは、
この一年間のシロップの歩みがはっきりと見て取れました。
しかし完全に未練を断ち切るのは、誰であっても難しいもの。
最後にナッツハウスを振り返るシロップからは、
またこの場所に戻ってこられるのか、ここで過ごした日々を再び過ごせるのか
といった微かな未練が感じれます。
それでも扉に向かって向き直る姿が大変肯定的に見えました。
失った記憶を取り戻すのが怖いから、キュアローズガーデンに行くのをやめる。
仮にシロップがこう言ったとしても、のぞみ達は受け入れたと思います。
しかしそれでは、シロップがのぞみ達のこれまでを否定した事になり、
記憶を取り戻す以上の痛みを覚えてしまう事でしょう。
シロップにはキュアローズガーデンに行く以外の選択肢はありません。
しかし、強制的に記憶を取り戻そうとしたムカーディアさんと異なり、
のぞみ達はあくまでシロップに自然体で接し、シロップの意志を尊重しています。
今回随所で見受けられた「手を差し伸べる」「手を差し伸べられる」関係の素晴らしさ、
それを支える周囲の関係など、最後の戦いの直前に相応しく
作品自体のテーマとともに盛り上がりを損ねずに重ね合わせた、
この時期でなければ描けない優れた一編だと思いました。

次回は遂に或る哀しい女の戦いが・・・
今なお印象深い最期の姿を、襟を正して見届けたいと思います。
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まるっさ

いよいよ終盤ですねw

僕も冒頭の演出といい、作画全般といい、ドリームの笑顔そして恐ろしい握力(笑)、などストーリー以上に作画面演出面の印象の強い回だったりします。
そしてラストのお馴染みのエターナルのテーマ曲とともに出てくるアナコンディさんのカッコよさもまた然りで。ホントに風雲急を告げる、といったところでしょうか。

しかしこの回でもってシロップの人間態が見られるのは最後なんですよね・・・ちょっと寂しかったりして。DX1のラストのモブシーンを除けば次に台詞付の人間態が見られるのは1年以上後のDX2だったりします。

来年5周年を迎える5シリーズ。なんだか本が出るらしい!?ですが・・・どうなったかな(笑)。またこのプリキュアシリーズで最も大所帯で最もにぎやかで個性に溢れてた彼女たちに会いたいものです。DXどうなるか判らないですし。
by まるっさ (2011-10-02 20:22) 

スティクス

>まるっささん
はい、いよいよ終盤です。振り返れば初代の再視聴から2年半。
私もここまで続けられるとは思ってもみませんでした。
あと2回を残していますので、感慨めいた事は全てが終わってからにしますが、
高い山の頂がようやく見えたような気持ちがこみ上げてきています。

確かに今回は独特の演出が印象的でしたね。
冒頭の不穏な雰囲気もそうですが、
ムカーディアさんがアナコンディさんの引き出しを開けようとしている際、
思わずムカーディアさんを応援するような心境にさせられる展開が
スリリングで面白かったと思います。
あとは「水面歩き」。思わずジョジョラーの血が騒ぎましたが、
今回は自重させて頂きました(笑)

>シロップの人間態
なんと、そうでしたか。全く意識しておりませんでした。
この次の話はアナコンディさん、その次はブンビーさん、
そして最終回というインパクトがあったために、すっかり忘れておりました。
そう考えると今回は人間態のシロップが大いに活躍した話で、
最後に大きな見せ場を作ったという事でしょうか。
土煙の向こう、ドリームに語りかける一連の台詞回しは
素晴らしく印象に残りました。

>本が出る
先日出たSS設定資料集のようなものなのか、それとも・・・?
確かに来年以降のDXがどうなるかわからない今、
過去のプリキュア達に会えるかもわかりませんので、
何らかの形で機会を設けてもらいたいものです。
by スティクス (2011-10-02 22:33) 

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