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N響アワーの思い出 [音楽]

3月25日の放送で30年以上続いてきたN響アワーが終了しました。
毎週観ていた訳ではありませんでしたが、
私にとってはクラシックの世界に足を踏み入れるきっかけの一つであり、
この度の番組編成による終了は実に残念です。
既に最終回から6日経ち、今更感がありますが、
本日やっと録画したものを見返したため、少し思い出話らしきものを・・・
  
N響という名を初めて耳にしたのは、ドラクエ3のCDでした。
普段耳にしていた音楽が、まるで違ったもののように聴こえてくるこのCDは衝撃的で、
オーケストラの音の素晴らしさに驚いた事が思い出されます。
当時小学生だった私はまだ自分のCDプレーヤーなど持ち合わせていなかったため、
カセットテープにダビングして、それこそ擦り切れるまで聴きこんだものです。
そしてこの演奏をしている「N響」はどんな人たちなのかに興味が沸き、
N響アワーという番組を観てみる事にしました。
ところが当時の私にとっては少々難しく、この人たちが演奏しているんだ、
といった程度の感想しか抱きませんでした。

ドラクエ4、ドラクエ5と続く度、合わせてリリースされたN響盤の演奏を聴きながらも、
なかなか本格的にクラシックへの入り口が見いだせなかった私ですが、
ある日たまたまチャンネルを合わせた時、N響アワーのオープニングに重なりました。
その時のオープニングテーマは「ブラームス 交響曲第3番 第3楽章」。
なんて美しい曲だろうと聴いている内に、いつのまにか本編を最後まで観通し、
この時はじめてクラシックへの入り口が開けた気がします。
肝心の本編で何をやっていたのかが思い出せないのですが、
演奏している姿そのものが大変カッコよく観えた事を覚えております。

それから毎週必ず、という訳ではありませんが、
なんとなく最初の印象が良い曲だった折には最後まで観るといった感じで、
月に1度くらいは観るようになり、次第にクラシックの魅力が解りかけて来ました。
自分でCDを買い漁ったり借りたりと、いろいろな演奏に触れて行くうちに
逆にN響アワーから遠ざかってしまった時期もありましたが、
転機になったのはあのお二方が司会に就任されてからです。

私は独眼竜政宗をきっかけに大河ドラマファンになり、
ドラマの内容とともに勇壮なテーマ曲にも魅せられていただけに、
この曲を生み出した池辺晋一郎氏はどんな方なのかと思っていたら・・・
オヤジギャグを連発する姿に、良い意味で脱力したものです。
そしてアシスタントを務める壇ふみさんの、
そのオヤジギャグを華麗に切り替えし、時にスルーする様。
あくまで品の良さがある中でのギャップが楽しく、
この2人の掛け合いが見たくて、毎週観るようになりました。
今回、最終回ではかつての名場面として、
池辺先生のオヤジギャグが編集され、怒涛の連発となっておりました。
明らかに寒いギャグなのに、なぜか笑えてくるのは
お二人の軽妙な掛け合いと人柄ゆえの事でしょうか。
後に壇ふみさんが降板した後も池辺先生のオヤジギャグは止まりませんでしたが、
やはり壇さんとのやり取りがあってこそ、引き立っていたように思えます。

最終回となる今回、過去の演奏がリクエストで再放送されました。
デュトワが常任就任間もない頃の「幻想交響曲」第2楽章、
今や老大家の風格を漂わせるブロムシュテッドによる「エロイカ」第4楽章と、
異なる色彩の楽曲、演奏が挙げられ、最後にこの比較が出来て楽しめました。
そして本当の番組最後となる演奏に選ばれたのは、
奇しくも私が先日取り上げた、チャイコフスキーの交響曲第5番、第4楽章。
スヴェトラーノフによるこの演奏は、私もよく覚えています。
コーダで指揮棒を止め、オーケストラに演奏を任せた立ち姿のインパクトが強く、
その場面は今回も指摘されておりましたが、
もう一つこの演奏会には特別なものがありました。
このコンサートはダイアナ妃が不慮の事故で他界した直後だったため、
スヴェトラーノフは2楽章に入る前に客席に向き直り、
この演奏をプリンセス・オブ・ウェールズ(=ダイアナ妃)に捧げる旨をアナウンス。
続く第2楽章はその通り見事な出来だったと記憶しています。

なお今更遅いのですが、私がリクエストしたかったのは2つあります。
・チョン・ミョンフンが初登場した際の「チャイコフスキー 交響曲第4番」
・アシュケナージが急遽振れなくなり、指揮者なしで敢行した「チャイコフスキー 交響曲第4番」
(指揮者なしの珍事はN響アワーの放映ではなかったかもしれませんが)
たまたまチャイ4が2件重なっておりますが、この2つの演奏が忘れられません。

明日からどんな形式の番組になるのか、未だ不安ではありますが、
まずは観てから評価したいと思います。
ただ残念なのは、NHKはスポンサーの意向が無い筈なのに、
視聴率に左右された番組編成を行っているように思える事が気になります。
低視聴率の話題ばかりが先行している感のある平清盛も、
ドラマの質は高く、私は大いに楽しんで観ています。
スポンサーに左右されない以上、高い質を維持した番組作りを望みたいものですし、
新番組にもそれを期待したいものです。
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なぎほの

こんばんは。
スティクスさんの記事を読んで、「N響」で検索したら以下の記事が出てきました。

『「N響アワー」終了について、NHKから返事が来ました。』
http://jiro-dokudan.cocolog-nifty.com/jiro/2012/02/nnhk-1180.html

「N響アワー」終了には、多くのクラシックファンが涙を流しているようです。

音楽番組に限りませんが、スティクスさんがおっしゃるように、NHKは受信料で成り立っている公共放送なので、民放のように視聴者に媚びるような姿勢は避けていただきたいなあと私も思います。
ここ数年前から、NHKは民放のバラエティ番組のノリをかなり取り入れていて、音声だけきいていると、NHKか民放か分からないことがよくあります。

民放が視聴率を意識して、専門的な番組作りよりも「広く浅く」の路線を取るのは致し方ないでしょう。
NHKは逆に、民放では作れない「狭く深く」を追求した、番組作りをしていいのではないでしょうか。
民放とは一線を画す、NHKの心意気をみせて欲しいです。
by なぎほの (2012-04-01 21:02) 

スティクス

>なぎほのさん
プリキュア直後の「題名の無い音楽会」もありますが、
それとは一線を画した音楽番組として貴重な存在だっただけに、
N響アワーの終了は本当に残念です。
惜しむ声の数々、私も各サイトや投書欄などで目にして、
視聴率などでは測れないものがあると感じました。

先程、新番組となる「らららクラシック」を観終えました。
決して悪い作りではないものの、
なにか「これじゃない感」が拭えませんでした。
私はクラシックはお高く堅いものであるべきと考えておりませんし、
敷居を下げて親しみやすくしようとする意図は伺えます。
しかし、今まで持っていた品の良さも払いのけてしまったようで、
「題名の無い~」より少し高級?でもN響アワーより大衆的という、
中途半端な印象がありました。
バラエティ番組のような、いちいち字幕で強調する表現は
つとに残念でなりません。
まだ1回目なので、これから先を観なければ評価しようがありませんが・・・

おっしゃる通りの「狭く深く」質の高い番組作りを通して
NHKの本気を期待したいものです。
そのために受信料を払っていますので(笑)
by スティクス (2012-04-01 22:53) 

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