SSブログ

秘境 秋山郷を訪ねる [旅行]

最近の猛暑は半端ないですね。
この猛暑から逃れられそうな場所を物色していた折、「秋山郷」という地域の事を知りました。
ちょっとググっていただければ、ここがどれほどの秘境なのか、お分かり頂けると思います。
そして山深い地の集落ならば、きっと涼しいかも・・・?と期待して、
プリキュアがお休みなのを幸いに、一泊二日の日程で訪ねて参りました。
旅のスタートは、ここ越後湯沢。
DSCF0728.jpg
スキー場が連なるこの地も、しかし夏の暑さは変わらず。さらに丁度苗場で開催している
フジロックと重なっていた事で暑さが倍率ドン!さらに倍!といった感じでした。
  
旅先での「酒」も楽しみな私は、車で訪ねる事は滅多になく、
専ら公共交通機関を利用しての訪問を基本としています。
しかし今回の目的地は交通の便が悪く、久々にレンタカーでも・・・と考えたのですが
なにせ2年近くハンドルを握っていない私です。国道405号の隘路を運転する自信が無く
結局時刻表とにらめっこしながらスケジューリングしました。
まずは越後湯沢から森宮野原行きバスに乗って津南で下車。
次の和山温泉行きバスまでの約1時間程度、津南町中心部の散策を試みましたが、
既に気温は35度。日本有数の豪雪地帯でありながら、この夏の気温は半端ないです。
早々に散策を切り上げて町役場の日陰で時間を潰し、ようやく秋山郷方面のバスに乗車。
バスが行く道の狭さに驚き、やっぱりバスで正解だと思いました。

津南から20分程度は、いわゆる日本の美しい農村地帯を走ります。
魚沼産コシヒカリの産地でもあるこの一帯。
水田が広がる光景は、水力発電所を過ぎたあたりから一変、
山深い地域の合間に時折集落が点在する光景に変わり、
その集落もまたこじんまりとした独特のものです。
DSCF0733.jpg
そして「結東」という集落を過ぎたあたりから、私のソフトバンク携帯は常時圏外に・・・
DSCF0734.jpg
新潟の橋50選という、前倉橋からの渓流の流れを見下ろし、津南から50分程度で
DSCF0737.jpg
本日の宿泊地、小赤沢の集落へと到達しました。
それにしてもここに来るまでの急カーブが連続する細い道、
ガードレールも無い区間でその下は崖、普通車がすれ違う事も出来ない区間など、
ここを運転してくるバスの凄さには驚かされました。

丁度昼ごろの到着という事もあり、まずはこの地の名物というイワナを食し、
DSCF0736.jpg
濃い鉄分のために湯が酸化鉄の赤色に染まっている温泉(シャア専用)へ浸かり、
DSCF0741.jpg
湯上りのビールでのんびりした後に本日の民宿へと15分程度の道を歩きました。
その途中の光景で、いかにここが山奥にある地なのか実感させられます。
DSCF0738.jpg
そして棚田、茅葺、花の取り合わせが絵になる事!
DSCF0739.jpg
日本の原風景、という言葉が自然に思えて来ます。

民宿へ荷物を置いて、夕飯までの合間に、近くにあると言う大瀬の滝へ行ってみました。
徒歩20分程度と聞いていましたが・・・
DSCF0750.jpg
DSCF0749.jpg
行けども行けども登り坂。しかも先が見えている区間が長いのが逆にキツいです。
オレはようやく登りはじめたばかりだからな。 このはてしなく遠い男坂をよ・・・
などといらん事を考えながら、実際に20分ほど登った先に、目指す滝がありました。
DSCF0747.jpg
私の写真だとうまく伝わらないのですが、実際に見ると、
落差、水音、水しぶきと滝壷の深さが相俟ってかなりの迫力です。
ここまで男坂を登りつめた甲斐がありました。

夕飯は山の幸尽くしとも言うべき各種山菜、イワナ、そして「鹿肉」
DSCF0751.jpg
DSCF0752.jpg
それなりに旅行をし、旅先の味覚を味わってきた私ですが、
この山菜の美味さには感動を覚えました。
こごみの胡麻和え、行者にんにくの茎?のお浸し、そして意外だったのが「マタタビ」。
ネコのだけのものではないという事を、30年以上生きて来て初めて知りました。
心底うまい夕食の後、東京では見られない星空に期待しましたが、
残念ながら曇りはじめて全く見えず。
携帯は常時圏外のため、一切のしがらみを断ち切って早々に就寝する事にしました。
こうした静かな夜が非日常となってしまった都会人の日常とは、
果たして幸福なのか、などと考えながら・・・

翌朝、お世話になった民宿のご一家に見送られて再びバスに乗り、
秋山郷のさらに奥地へと行ってみました。
DSCF0756.jpg
バスの終点、和山温泉。ここは日帰り温泉ではなく、皆民宿の内湯のため
集落の様子を見た後、そのバスで折り返す事にしました。
ちなみにここからさらに奥には、自分で川原をスコップで掘って温泉を掘るという
他に類を見ない温泉、切明温泉があります。しかし今回はスケジュールの都合上断念。
ここに来る途中の車窓から気になっていた地区を訪ねるべくバスを途中で降り、
DSCF0758.jpg
国道から見下ろした屋敷の集落まで、あえて歩いて下ってみました。
DSCF0761.jpg
橋の上から中津川の流れを見渡し、日帰り温泉もやっている旅館で
秋山郷唯一の硫黄泉に浸かって来ました。
ここの温泉は表面がかなり熱く、これは浸かるのは難しいか・・・と思いきや
中は意外と適温で、少しかき混ぜてから一気に入るのがポイントかもしれません。
硫黄泉特有の湯の花もふんだんに浮いており、昼飯前にまたいい汗を流した後、
再びバスに乗って大赤沢の蛇淵の滝を目指しました。

DSCF0763.jpg
滝の入り口に広がる棚田。これが美しい景色に見えるって幸せな事だと思います。
そして階段を下る事5分。蛇淵の滝が見えました。
DSCF0765.jpg
やっぱり写真だと、10分の1も魅力が伝わらないのが残念です。
大瀬の滝のように滝壷まで行ける訳ではなく、やや距離が遠いのですが
それでも水音が織りなす光景は実際に見ないと伝わりません。

次のバスの時間まで2時間程度。やや中途半端な時間のため、
歩いて下れるところまで下ってみようと、普段ろくに運動していないくせに無謀な意欲が沸き、
国道405号を徒歩で下り始めました。
DSCF0768.jpg
これが「国道」。世にはさらに凄い「酷道」なるものもありますが、ここも結構なものだと思います。
このヘアピンカーブをバスが曲がるんですから、運転手さんのハンドルさばきは見事です。
大赤沢から12分くらい歩いたところで、来る時に渡った前倉橋が。
DSCF0769.jpg
端の際の茶店で一息入れた後、再び「国道」を歩き続けます。
DSCF0773.jpg
DSCF0774.jpg
ガードレールが無いのに片方が崖、しかもすれ違いができない幅員、
地元の方にすればなんでもないのかもしれませんが・・・
ともかく、こうして歩くとマイカーでは決してわからない、
バスでもわからない発見がたくさんあります。
誰も目に留めない小さな滝があったり、突然ヘビに出くわしたり(笑)
とにかく沢山の虫がいたりと(なおには耐えられない光景だと思います
交通量が非常に少ない事もあり、山の中では虫の声とせせらぎの音しかしません。
それにしても、やっぱりひぐらしの鳴き声って、ちょっとキますね(笑)
DSCF0776.jpg
はるか下を流れる川が見えたり、
DSCF0777.jpg
山の威容を正面で観られたりと、疲れはしましたが、実際に歩いて楽しめました。

大赤沢から結東まで2時間。結局7~8㎞は歩いたでしょうか。
あとはバスに乗って津南まで、そこから乗り換えて越後湯沢まで、
そこから新幹線で東京へ。帰りは殆ど寝ていたので、あまり覚えていません。

この秘境の地は土日でも本当に静かでした。
マタギの暮らしぶりや、あまりの僻地ゆえに飢饉による集落全滅の歴史など
観光を生業としている地でもあるだけに、もっと多くの人に知って欲しいと思う反面、
決して観光バスで大勢が乗りつけるような観光地にはして欲しくないという気持ちもあります。
もっとも、あの道を大型バスが通るのは不可能ですし、
秘境の滞在は万人に楽しめるものではありませんので、
今後も知る人ぞ知る観光地であるとは思います。
それでも少しでも多くの人に、一度はこの空気を感じて欲しい、
そしてこれからもオンリーワンの地であり続けて欲しいと感じました。
私はこの滞在で秋山郷にはすっかり魅せられてしまい、これからもリピーターになりそうです。
紅葉の季節、そして雪深い冬に、また訪れたいものです。
nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

nice! 1

コメント 4

元通りすがり

>スティクスさん
新潟ま県で来てくださってどうもありがとうございます。
私の住んでいるところは平地にある地方都市ですが、夏は猛暑、冬は豪雪の大変なところです。
本来暑い地方の作物である米が育つ程の気温が続く季節がありながら冬には雪が積もるというのは世界的にも珍しいそうです。

もし次に新潟県に来られることがありましたら、その時は長岡でラーメンをご賞味ください。
ネットでも新潟県のいろいろなラーメンが紹介されているのですが、
特に長岡はいろいろなタイプのラーメンの店が立ち並んでいますんで、
飽きずに食べられると思います。

by 元通りすがり (2012-08-04 11:24) 

スティクス

>元通りすがりさん
新潟県にお住まいだったのですね。
今回は越後湯沢&津南を通っただけなので
あまり深くは入り込めませんでしたが、
過去には何度か新潟県を旅しています。
上杉謙信の遺構を訪ねて春日山城跡に行ったり、
現・南魚沼市を拠点に八海山ロープウェー乗ってみたり。
ただ今まで新潟市&長岡市には行った事がありません・・・
長岡といえば花火大会と河井継之助のイメージだったのですが、
ラーメンの事は初めて知りました。お勧めありがとうございます。
機会があればお邪魔してみたいと思います。

ところで子供の頃は豪雪地帯は夏も涼しいと思っていたのですが、
かえって東京より暑く感じられた気がしました。
当分暑い日が続きそうですので、ご自愛ください。
by スティクス (2012-08-04 13:14) 

元通りすがり

>スティクスさん

新潟というと米、酒、海産物という印象が強いでしょうが、今はラーメンも新しい名物になりました。

新潟県独自のラーメン(三系統あり)から他所の店で修行した人が新潟で出した店や、
フレンチや和食をやったいた人が作っているオリジナル、
全国の有名店に影響を受けたラーメンや新潟県に進出して来た有名店の支店まであって大激戦区です。

JRを利用されている方でも宮内駅←長岡→北長岡の三駅は徒歩で行ける範囲内に美味しいラーメン屋があるので、
食べ歩きには最適な町だと思います。


by 元通りすがり (2012-08-11 11:07) 

スティクス

>元通りすがりさん
良い米が取れて、良い水があれば良い酒が出来て、
日本海からの海産物も取れて・・・
すみません、まさにその通り米、酒、海産物のイメージでした(笑)

宮内、私も乗り換えで通った記憶があるのですが下車はせず、
その時は小出まで行って「へぎそば」食べて帰って来ました。
東京ではなかなか味わえない土地ならではの味覚に興味があるため、
札幌と福岡と喜多方を除き、
実はこれまで旅先でラーメン食べた事が殆どありません。
新潟オリジナルと言う事であれば、
長岡周辺のラーメンにも興味が出て来ました。
次に行く時に備えて情報収集してみます。
by スティクス (2012-08-11 21:33) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。