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下北半島3泊5日の旅~②恐山 [旅行]

出だしから体力的に厳しい状態でスタートした今回の旅行。
スーツケース抱えたまま周辺の散歩に出るのも大変ですし、とりあえずバスが来るまで駅の待合室で仮眠することにしました。
08:50頃。野辺地からの列車が到着する前に目を覚まし、ちょっと早めに開いていたコインロッカーに大きな荷物を突っ込んで、隣の観光案内所で資料収集した後、恐山行きのバスへと乗り込みました。
運賃はどうせなら穴開き銭(50円)6枚の300円で支払う、だったら面白いのですが、それでは採算が取れないのでしょう。下北~恐山間は800円也。
  
下北駅を出発して、市街地の「むつバスターミナル」を過ぎるあたりまでは、観光客が大半を占めるありふれた地方の路線バスという風情でした。
ところが「念仏車」なる強烈な名前のバス停を過ぎたあたりから、バスの停留所案内に混じって恐山観光案内のテープが流れ始め、雰囲気が変わって来ます。
その音声が聴き取り辛く、バスがやけにギシギシ鳴るのも相俟って、なんとも陰気な感じになってきました。
 これはこの世のことならず 死出の山路の裾野なる 賽の河原の物語・・・
良く聴こえなかったのですが、たぶん地蔵和讃だったと思います。
不幸にも幼くして死んだ子どもが、親不孝の罪を償うために賽の河原で石を積み、鬼がやって来てそれを壊すという、なんとも救いの無い歌が延々と流れる車内。
今日は晴れていたから良かった?ですが、これが雨が降っている薄暗い日だったりしたらかなり怖そうです。
音質の悪さが雰囲気づくりに拍車をかけ、次第に彼岸へ向かっているような気分になってきました。
バスの車内で不吉な歌ということで、某アニメでの「運の悪いヒポポタマス」を思い出した次第です。

終点、恐山着。
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バス停前には広大な駐車場が広がり、その向こうは宇曽利湖と、恐山の外輪山が聳えています。
一見、美しい湖と山々の景色に見えるのに、なぜかこの世のものでは無い感が漂っている不思議。
恐山菩提寺へ入山する前に、バスの案内テープで「三途の川」を渡ると聞こえたので、一度来た道を戻ってみました。
鼻をつく硫黄臭。見ると、湖に流れ込む川が黄色く変色しています。
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湖面もところどころ泡立っていて、おそらく湖底から硫化水素を含んだ温泉が湧いているのでしょう。
そのために強い酸性となった湖には、この環境に適応したウグイしか生息していないそうで、湖そのものは美しく澄み輝いているのに、ほとんど生物が見えないことが、この世のものではない印象を伺わせています。

5分ほど歩いて、三途の川にかかる橋まで戻って来ました。
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なんだか本当に此岸と彼岸の境目のような雰囲気が漂う橋。
ところが、そのたもとに何とも場違いな注意書きがありました。
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・・・・・・・・・こんなところまで来てポケモンやるなんて・・・
ポケモンじゃない別のものをゲットしてしまいそうな場所なのに・・・
ドローンについても、無許可で飛ばした輩がいたということでしょう。
「禁止されてないから」「迷惑かけてないから」という理由でやっているとすれば、嘆かわしいものです。
常識をわきまえろと言っても聴く耳持たない方々には、せめて「粋」に行動してみてはどうかと言いたいです。

現世の無粋を愚痴っても仕方がありません。せっかくなので彼岸気分を味わおうと思います。
三途の川にかかる橋を渡って山門まで戻り、境内へと入場する事にしました。
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「地蔵和讃」の通りに積まれた石と、カラカラ回る風車、そして見守るお地蔵様・・・
入場してすぐ、独特の雰囲気が漂っています。

散策の前に、境内に温泉があると聞いていたので、早速目指してみました。
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門と本堂の間に温泉小屋がある、何ともシュールな光景。
参道を挟んだ反対側には女湯の小屋が2件あります。
夜行バス明けということもあり、まずはさっぱりしたくて中に入りました。
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ちょうど誰もいない貸切状態。硫化水素臭が立ち込める、青みがかった乳白色のきれいな湯です。
かなり熱い湯ですが、夜行バスで疲れた体を休めるにはちょうど良い刺激でした。
ただ、脱衣所には成分が濃いため長湯禁止と書いてあり、確かに5分も浸かっていると妙にヌルヌルしてきます。
時間があれば一周した後にまた入ろうと、ひとまず上がりました。

それにしても、静かです。
周囲を見渡すとそれなりに観光客・参拝客がいるのに、聞こえてくるのはカラカラと風車が回る音ばかり。
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時が経つのを忘れて風車の音に耳を傾けていると、黄泉の世界を覗いているような気分です。
ふと、カラスの鳴き声で我に返り、現世に引き戻されたような気がしました。
周囲で目につく鳥はカラスしかおらず、さながら死後の世界の使いのような威厳が感じられます。

硫化水素ガスが吹き出し、草も生えない岩場に石が積まれて風車がカラカラと回る「地獄」から一転、宇曽利湖のほとりに白浜が広がる「極楽浜」は、魂の平安が感じられるような風景でした。
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こちらでも風車の番をするかのようにカラスが佇み、時折鋭い声を上げます。
例えが微妙で難ですが、FF10の「異界」ってこんなところなんじゃないかと思い出しました。

この後の順路では再び「地獄」を見せられるのですが、
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「極楽」を見た後だけに教訓のようなものが伺えました。

一周したところで再び先程の温泉に入り、腹ごしらえをする事にしました。
入場券売り場の隣でおばあちゃんがアイスを売っており、それが「合掌霊場アイス」なる、強烈なネーミングです。
ただネーミングに反して「よもぎアイス」は昔食べたヨモギの草餅の味で、なつかしく感じました。
そういえば昔うちの祖母がヨモギの草餅作ってくれたな・・・
などと思い出してしまうのは、ここが「恐山」だからでしょうか。

その後、「蓮華庵」というこれまたお寺っぽい名前の食事処に入りましたが、メニューはごく普通のそば、うどん、ラーメン、カレー等。
ある意味懐かしさを感じる品揃えで、「極楽定食」とか「激辛!地獄カレー」などといった変に狙ったメニューではなく好感が持てました。
町のごく普通の立ち食い蕎麦屋で食べる蕎麦、という感じの蕎麦を食べた後、次のバスまでかなり時間があったのでもう一度参詣路を一周。
DSCF2004.jpg
15:00のバスで、現世へと戻ってまいりました。
まだ今回の旅は3分の1も消化していません。長いなぁ・・・
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