Go!プリンセスプリキュア 第8話『ぜったいムリ!?はるかのドレスづくり!』 [Go!プリンセスプリキュア]
時に厳しく叱責し、干渉しすぎず見守ること。
気持ちに寄り添い、現実的なアドバイスを送ること。
どちらが正解というものではありません。真にその人のことを考えての行動ならば、想いはとどくもの。
Go!プリンセスプリキュアにおける「第8話」も、はるかに向けたみなみときららの気持ちがクローズアップされた、見応えある一編となりました。
もうすぐノーブル学園の伝統行事、ノーブルパーティです。あれ・・・?前回もこんな書き出しだったような(笑)
女子生徒はみんなドレスを着て参加する晩餐会と聞いて、はるかは胸のキュンキュンが止まりません。
『ドレスでパーティーなんて幸せ満開だよ!!』
みなみは昨年ドレスに自分で刺繍をした程度ですが(それでも大したものですが)、一から手作りする生徒もいるようです。それを聞いて、はるかのやる気に火が付きました。しかしはるかには洋裁経験などありません。きららは既にファッションの世界へ足を踏み入れているだけに、デザインを描き、布を裁断してミシンで縫う工程全てを一人ですることの大変さを忠告しますが、はるかのやる気は揺るぎません。ともかくこういう時にはバンダイ様お勧めの大変便利なレッスンパッドの出番。シャムール先生にドレス作りの指導を仰ぎます。
まずは無数のドレスを参考に自分だけのデザインを決めるところからスタート。しかしはるかは無数のドレスの森に迷い込んでしまい、デザインを決めかねて頭を抱えてしまいました。
『そういえばはるか。あなたが憧れているプリンセスはどんなドレスを着ているのかしら』
みなみの助け船が功を奏し、はるかは夢の原点である花のプリンセスが着ているドレスを思い浮かべて筆を進めました。花のアップリケを散りばめたデザインに、シャムール先生もOKを出します。
次は実際に作る作業。布を選んで採寸し、裁断してミシンへ向かいます。しかし意気込みとは裏腹に縫い目が曲がってしまいました。ひとまず、本日はここまでとなりますが、その夜も、はるかは自室でミシンと向き合いました。
ドレス作りを始めてからというもの、はるかは授業に身が入っていない様子です。英語の授業では居眠りをした挙句に課題を忘れ、罰として10ページの追加課題を課せられました。漢字のテストも35点と無残な結果で追試を受けることに。そして音楽の授業では調子が外れたリコーダーの音色でクラスメイト達を悶絶させ、音楽教師にとらばーゆした(死語)クローズ先生に駄目出しされました。
『どんなに素敵なドレスを作っても、中身が伴わなくてはせっかくのドレスが台無しよ。プリンセスになるには何が必要なのか、良く考えなさい!』
みなみははるかのことを聞きつけ、ドレス作りをやめるよう厳しく注意します。
『みなみん、怖っ。ねえ、はるはる』
みなみが行った後、きららが気遣って軽く声を掛けますが、はるかは深刻な表情で思い詰めています。みなみに怒られてしまったとため息をつくはるかに、きららはそんな時はスイーツだとマーブルドーナツの話題を出しました。いつしか一人盛り上がり始めたきららの話を、はるかは上の空で聞いているようでしたが・・・
『よーし!私、やる!ドレス作りも勉強も、どっちも頑張る!』
突然復活して立ち上がりました。戸惑うきららにお礼を言って、元気に駆け出して行きます。
『なんで元気になってんの?』
なぜお礼を言われたのかわからず、きららは戸惑いながら立ち尽くしました。
それから毎晩、はるかは夜遅くまで睡魔と闘いながらドレス作りと課題に挑み続けます。英語と漢字の課題をやり遂げ、ミシンに向かう手を時々止めてリコーダーを練習し(隣でゆいちゃん寝てるんじゃ(笑))、クローズ先生(違)からも拍手をもらいました。そして今夜もミシンに向かいます。
あくる日、きららが差し入れのドーナツを持って様子を見に来ます。振り返ったはるかはきららが驚くほどやつれていますが、その甲斐あってドレスはもうすぐ完成しそうです。
『みんなでお茶にするパフ♪』
・・・パフには失礼ながら、嫌な予感しかしません。案の定、お茶を運んでいたパフは耳を踏んで転び、はるかのドレスにお茶をぶっかけました。急いで拭いても既にシミになってしまい、もう落ちません。険しい表情でシミを見つめるはるかにすがりつき、パフは涙ながらに謝ります。
『大丈夫だよ、パフ。生地はまだ残ってるし、この部分を取って縫い直せば大丈夫!』
パフの頭を優しく撫でて手直しを決意するはるかに、きららも手伝いを申し出ます。しかしはるかは一人でやり遂げたいと申し出を固辞しました。
『プリンセスに近づくための一歩だもん。だから、最後まで自分の力でやりたいの。夢は自分で叶えたい』
きららは現実的に無理だと説得しますが、いくら説得してもはるかは一歩も譲りません。
『大丈夫だよ、きららちゃん!』
やつれているのに、強い意志を感じさせる目で言い返され、きららは何も言えなくなり引き下がりました。
その頃、学園にロックが現れ、パーティに向けて気合のレシピを見せるべくケーキを焼いている料理部員に目を付けました。最高のケーキを作ってスイーツの鉄人となる彼女の「夢」は絶望の檻へと閉じ込められ、代わりにオーブンのゼツボーグが出現します。
『もう、あの意地っ張り。このきらら様が手伝うって言ってんのに!』
きららが悶々としながら廊下を行くと、花に水をあげているみなみに会いました。
『ごきげんよう、どうかしたの?』
きららははるかのドレスに手直しが必要になったこと、それを一人でやると言っていることを熱弁します。しかし、みなみの反応は淡泊でした。呆気にとられるきららに、みなみは自分の考えを語ります。
『だってはるかは自分でやるって言ってるんでしょ。だったらそうさせてあげればいいわ』
その考えをきららは冷たいと評しますが、もちろんみなみも、はるかを応援していないわけではありません。夢を心から大切にしているはるかなら、きっと成し遂げると信じています。しかしきららにとっては不可能な現実にしか思えませんでした。
その時、アロマがゼツボーグ襲来を告げに来ます。続けてはるかに知らせに行こうとするアロマを引き留め、きららはみなみと二人で立ち向かいます。
『はるはるの分まで頑張らなきゃ』
マーメイドと二人、奮戦するトゥインクル。互角以上に戦いを続けていると、そこにはるかのちょっと待ったコール(死語)が響きました。驚くマーメイドとトゥインクルの前で、やつれたはるかが変身します。変身直後もふらつく等、さすがに疲れは隠せません。ゼツボーグはフローラに狙いを定めて襲って来ますが、とっさにトゥインクルが割って入りました。
『何で来たのよ。ここは私たちに任せてくれればいいのに』
フローラはそれには答えず、微笑だけを返してゼツボーグへと挑みかかります。
『何で?あんなにふらふらだったのに・・・』
その戦いぶりを見て呟きを漏らすトゥインクルに応えるように、フローラは懸命に戦っています。
『私、プリンセスになりたい。その夢のために、ドレス作りも勉強もプリキュアも、全力でやる!夢をこの手で叶えるために!』
その姿を見て、トゥインクルは夢を心から大切にしているはるかならきっとできるという先程のみなみの言葉を思い出しました。
『夢を掴むためには、もっともっと頑張らなくちゃ駄目だって、そう教えてくれたマーメイドのためにも』
そう言いながら戦うフローラを前に、トゥインクルは引け目を感じています。
『二人はずっとわかってたんだ・・・でも、私は・・・』
『そして、私の事を凄く心配してくれたトゥインクルのためにも!』
その言葉に、トゥインクルは驚いて顔を上げるました。
『私は頑張る!頑張りたいの!』
トゥインクルの名に曇り顔は似合いません。その名に相応しい輝きが、トゥインクルの表情に現れます。
劣勢を見かねたロックはゼツボーグに指示を出し、熱風攻撃をフローラへ向けて放ちます。駆け寄ろうとしたマーメイドとトゥインクルは鉄板で妨害。
『夢ねぇ。そんなのすぐ絶望に変えてあげるんだね』
『フローラの夢は誰にも壊せないわ』
『フローラならきっと・・・ううん絶対素敵なドレスをつくり上げる!』
その間もフローラは熱風に耐えています。トゥインクルが鉄板を振り払い、抜け出したマーメイドがゼツボーグに足払いを決めました。体勢を崩したところを、フローラルトルビヨンで撃退。料理部員の夢も無事に開放しました。
そして夕暮れ。ドレスはようやく完成しました。きららは感極まってはるかに抱きます。
『助けてくれてありがとう、きららちゃん』
『え?私何もしてないじゃん』
きららに自覚は無くとも、はるかを心配し、応援して、喜ぶ気持ちはしっかりと伝わっていました。
『そうね、きららはとても優しいわ』
みなみに褒められ、パフにも顔が真っ赤だと言われて、照れまくるきららのツンデレの教科書のような台詞で締めくくられました。
『べっ・・・別にはるはるのためじゃないんだからねっ!!』
夕陽に照らされたドレスが、美しく輝いています。
いきなり自分語りで恐縮ですが、今週私は役員を交えたミーティングで、お前はそれでも責任者なのかと手ひどく撃沈されました。正直、相当凹みましたが、今回みなみがはるかに向けた叱責を聞いて、プラスの意味に捉えたいと思います。中身が伴わなければ、どんな仕事でも台無しだと置き換え、責任者にとって何が必要なのか考えろいう激励の意味だったと考えたいです。
その結果、私が出した案は予算が降りずに却下されたのですが、予算を出して欲しいなら出せるだけの結果を示せと言う風に、受け止めたいと思います。はるかはドレス作りの先にあるプリンセスの夢を叶えるために、やるべきことをきちんとこなした上で、やりたいことを成し遂げました。当たり前の事ですが、凹んでいた私にとって、今回のはるかの頑張る姿が大いに励みになった次第です。まずはやるべきことをやって、再びチャレンジしてみたいものです。
ところで今回は夢を追うためのドレス作りに奮戦するはるかがメインのようで、実は見ている側がきららを通じてはるかを見る一編だったように感じました。なぜ、そこまではるかが頑張れるのか。なぜ、みなみははるかのことをしっかり理解しているのか。そして、自分はそれを分かっていないのではないか・・・。見ている私が、きららと同じ疑問を抱きながらはるかを見守っている気持ちになりました。
今回のきららは、冒頭部分からみなみと対比するように「現実的に」描かれています。ドレスを一から手作りすると聞いた時、黙って微笑しているみなみに対して、きららは呆れ気味の顔を浮かべていました。無数のドレスに囲まれてデザインに迷っている時も、それでは決まらないと現実的な発言をしています。しかし悪い意味ではなく、生地を迷っているはるかにすかさず「ピンク」を提示する等、「現実的に」何が似合うのかを瞬時に判断するアドバイスも行っていました。現実がしっかり見えていないと理想を追う事はできません。現実をきららに語らせる事で、はるかの足場を固めているような役割を担っていたと感じました。
きらら自身の日常も「現実的には不可能なほど」のハードスケジュールです。5話で描かれたとおり、きららははるかに驚かれながら、そのスケジュールをこなしていました。トップモデルを志すきららにとってはそれが苦では無くとも、はるかにとっては大変な事。それと逆に、プリンセスを志すはるかにとっては、今回のオーバーワークは苦では無く、きららにとっては大変な事と映ったのでしょう。自分が出来ると信じているものは、傍から見てどんなに大変でも出来る、という事なのだと思います。
はるかはやつれてはいたものの、「辛い」表情ではなく、目には力がありました。やりたい事を成し遂げるための大変さは辛いものではないという意志の表れのように感じました。
はるかもきららの言葉を無視しているのでありません。ドーナツの話題を聞き流しているように見える場面では、なぜきららがこの話題を持ち出したのかを理解し、それに応えるためには話題に乗っかるのではなく、自分が立ち直ることだと判断したのだと思います。
ドレスにシミが出来た後、きららの申し出を固辞する場面でも、手助けが不要ということではないと思います。きららがこれまで寄り添い、気遣っていただけで、はるかにとっては励みになっていた筈です。その結果が、戦闘中のトゥインクルに向けた熱いメッセージとして現れていました。
仮にこれが、きららと一緒に頑張ってドレスを完成させたという展開だったら、それはそれでいい話になったと思います。過去のプリキュアは、「個」で頑張ることも描いて来ましたが、それ以上に「みんなの力を一つに」という描き方が多く見受けられました。もちろんそれは大切ですし、否定するものではありません。私自身もそこから大いに感銘を受けてきました。しかし、そこと一線を画して「自立」を促すことの大切さを描きたいという意図が伺えたような気がします。
みなみの立ち位置も良かったと思います。優れた人は、人の話を聞き出すことがうまく、そこから的確な助言を与えたり、状況を理解できるものです。
『あなたが憧れているプリンセスはどんなドレスを着ているのかしら』
ドレス選びに迷っているはるかはこの問いかけでデザインのきっかけをつかみました。また、手伝いを固辞されて悶々としていたきららに、さりげなく
『ごきげんよう、どうかしたの?』
という挨拶だけできららに言いたい事を言わせ、かつドレス作りの状況を掴んでいました。
また、きららが冷たいと評した、一見突き放すような見守り発言についても、仮にはるかが助力を申し出ていたら手を貸すつもりだったと思います。はるかの意志を尊重し、自立を見守る事を、今はるかが望んでいると判断した故のことでしょう。ゼツボーグが現れた際、きららに促されて加勢に応じたのも、ドレス作りを手伝うのではなく、はるかがドレス作りに集中できる環境のために手を貸すという意志の表れだと思います。
ところで今回の英語の授業中に読まれていた英文は
「Her dress is very wonderful.So she is looking forward to the party very much.」
と聴こえました(合っているでしょうか・・・?いまいち自信がありませんが)。丁度作中の展開に合わせた内容で、ちょっとした遊び心が感じられました。以前にもシタターレ姐さんが自画自賛を交えた作中展開ネタを英語で読んだことがありましたので、気づいた人に気付いてもらおうという小ネタが楽しめます。
最後に、今回ロックに目をつけられた料理部員の子、改めて見るとすげぇ可愛いんですけど・・・(笑)。無事に夢を解放された後に横たわる姿も妙にセクシーでした。ちょっとこの子の事を調べたら、密かに人気あるみたいですね。今後も何度か出てきた筈なので、彼女に注目して観て行きたいものです。
気持ちに寄り添い、現実的なアドバイスを送ること。
どちらが正解というものではありません。真にその人のことを考えての行動ならば、想いはとどくもの。
Go!プリンセスプリキュアにおける「第8話」も、はるかに向けたみなみときららの気持ちがクローズアップされた、見応えある一編となりました。
もうすぐノーブル学園の伝統行事、ノーブルパーティです。
女子生徒はみんなドレスを着て参加する晩餐会と聞いて、はるかは胸のキュンキュンが止まりません。
『ドレスでパーティーなんて幸せ満開だよ!!』
みなみは昨年ドレスに自分で刺繍をした程度ですが(それでも大したものですが)、一から手作りする生徒もいるようです。それを聞いて、はるかのやる気に火が付きました。しかしはるかには洋裁経験などありません。きららは既にファッションの世界へ足を踏み入れているだけに、デザインを描き、布を裁断してミシンで縫う工程全てを一人ですることの大変さを忠告しますが、はるかのやる気は揺るぎません。ともかくこういう時には
まずは無数のドレスを参考に自分だけのデザインを決めるところからスタート。しかしはるかは無数のドレスの森に迷い込んでしまい、デザインを決めかねて頭を抱えてしまいました。
『そういえばはるか。あなたが憧れているプリンセスはどんなドレスを着ているのかしら』
みなみの助け船が功を奏し、はるかは夢の原点である花のプリンセスが着ているドレスを思い浮かべて筆を進めました。花のアップリケを散りばめたデザインに、シャムール先生もOKを出します。
次は実際に作る作業。布を選んで採寸し、裁断してミシンへ向かいます。しかし意気込みとは裏腹に縫い目が曲がってしまいました。ひとまず、本日はここまでとなりますが、その夜も、はるかは自室でミシンと向き合いました。
ドレス作りを始めてからというもの、はるかは授業に身が入っていない様子です。英語の授業では居眠りをした挙句に課題を忘れ、罰として10ページの追加課題を課せられました。漢字のテストも35点と無残な結果で追試を受けることに。そして音楽の授業では調子が外れたリコーダーの音色でクラスメイト達を悶絶させ、音楽教師に
『どんなに素敵なドレスを作っても、中身が伴わなくてはせっかくのドレスが台無しよ。プリンセスになるには何が必要なのか、良く考えなさい!』
みなみははるかのことを聞きつけ、ドレス作りをやめるよう厳しく注意します。
『みなみん、怖っ。ねえ、はるはる』
みなみが行った後、きららが気遣って軽く声を掛けますが、はるかは深刻な表情で思い詰めています。みなみに怒られてしまったとため息をつくはるかに、きららはそんな時はスイーツだとマーブルドーナツの話題を出しました。いつしか一人盛り上がり始めたきららの話を、はるかは上の空で聞いているようでしたが・・・
『よーし!私、やる!ドレス作りも勉強も、どっちも頑張る!』
突然復活して立ち上がりました。戸惑うきららにお礼を言って、元気に駆け出して行きます。
『なんで元気になってんの?』
なぜお礼を言われたのかわからず、きららは戸惑いながら立ち尽くしました。
それから毎晩、はるかは夜遅くまで睡魔と闘いながらドレス作りと課題に挑み続けます。英語と漢字の課題をやり遂げ、ミシンに向かう手を時々止めてリコーダーを練習し(隣でゆいちゃん寝てるんじゃ(笑))、クローズ先生(違)からも拍手をもらいました。そして今夜もミシンに向かいます。
あくる日、きららが差し入れのドーナツを持って様子を見に来ます。振り返ったはるかはきららが驚くほどやつれていますが、その甲斐あってドレスはもうすぐ完成しそうです。
『みんなでお茶にするパフ♪』
・・・パフには失礼ながら、嫌な予感しかしません。案の定、お茶を運んでいたパフは耳を踏んで転び、はるかのドレスにお茶をぶっかけました。急いで拭いても既にシミになってしまい、もう落ちません。険しい表情でシミを見つめるはるかにすがりつき、パフは涙ながらに謝ります。
『大丈夫だよ、パフ。生地はまだ残ってるし、この部分を取って縫い直せば大丈夫!』
パフの頭を優しく撫でて手直しを決意するはるかに、きららも手伝いを申し出ます。しかしはるかは一人でやり遂げたいと申し出を固辞しました。
『プリンセスに近づくための一歩だもん。だから、最後まで自分の力でやりたいの。夢は自分で叶えたい』
きららは現実的に無理だと説得しますが、いくら説得してもはるかは一歩も譲りません。
『大丈夫だよ、きららちゃん!』
やつれているのに、強い意志を感じさせる目で言い返され、きららは何も言えなくなり引き下がりました。
その頃、学園にロックが現れ、パーティに向けて
『もう、あの意地っ張り。このきらら様が手伝うって言ってんのに!』
きららが悶々としながら廊下を行くと、花に水をあげているみなみに会いました。
『ごきげんよう、どうかしたの?』
きららははるかのドレスに手直しが必要になったこと、それを一人でやると言っていることを熱弁します。しかし、みなみの反応は淡泊でした。呆気にとられるきららに、みなみは自分の考えを語ります。
『だってはるかは自分でやるって言ってるんでしょ。だったらそうさせてあげればいいわ』
その考えをきららは冷たいと評しますが、もちろんみなみも、はるかを応援していないわけではありません。夢を心から大切にしているはるかなら、きっと成し遂げると信じています。しかしきららにとっては不可能な現実にしか思えませんでした。
その時、アロマがゼツボーグ襲来を告げに来ます。続けてはるかに知らせに行こうとするアロマを引き留め、きららはみなみと二人で立ち向かいます。
『はるはるの分まで頑張らなきゃ』
マーメイドと二人、奮戦するトゥインクル。互角以上に戦いを続けていると、そこにはるかのちょっと待ったコール(死語)が響きました。驚くマーメイドとトゥインクルの前で、やつれたはるかが変身します。変身直後もふらつく等、さすがに疲れは隠せません。ゼツボーグはフローラに狙いを定めて襲って来ますが、とっさにトゥインクルが割って入りました。
『何で来たのよ。ここは私たちに任せてくれればいいのに』
フローラはそれには答えず、微笑だけを返してゼツボーグへと挑みかかります。
『何で?あんなにふらふらだったのに・・・』
その戦いぶりを見て呟きを漏らすトゥインクルに応えるように、フローラは懸命に戦っています。
『私、プリンセスになりたい。その夢のために、ドレス作りも勉強もプリキュアも、全力でやる!夢をこの手で叶えるために!』
その姿を見て、トゥインクルは夢を心から大切にしているはるかならきっとできるという先程のみなみの言葉を思い出しました。
『夢を掴むためには、もっともっと頑張らなくちゃ駄目だって、そう教えてくれたマーメイドのためにも』
そう言いながら戦うフローラを前に、トゥインクルは引け目を感じています。
『二人はずっとわかってたんだ・・・でも、私は・・・』
『そして、私の事を凄く心配してくれたトゥインクルのためにも!』
その言葉に、トゥインクルは驚いて顔を上げるました。
『私は頑張る!頑張りたいの!』
トゥインクルの名に曇り顔は似合いません。その名に相応しい輝きが、トゥインクルの表情に現れます。
劣勢を見かねたロックはゼツボーグに指示を出し、熱風攻撃をフローラへ向けて放ちます。駆け寄ろうとしたマーメイドとトゥインクルは鉄板で妨害。
『夢ねぇ。そんなのすぐ絶望に変えてあげるんだね』
『フローラの夢は誰にも壊せないわ』
『フローラならきっと・・・ううん絶対素敵なドレスをつくり上げる!』
その間もフローラは熱風に耐えています。トゥインクルが鉄板を振り払い、抜け出したマーメイドがゼツボーグに足払いを決めました。体勢を崩したところを、フローラルトルビヨンで撃退。料理部員の夢も無事に開放しました。
そして夕暮れ。ドレスはようやく完成しました。きららは感極まってはるかに抱きます。
『助けてくれてありがとう、きららちゃん』
『え?私何もしてないじゃん』
きららに自覚は無くとも、はるかを心配し、応援して、喜ぶ気持ちはしっかりと伝わっていました。
『そうね、きららはとても優しいわ』
みなみに褒められ、パフにも顔が真っ赤だと言われて、照れまくるきららのツンデレの教科書のような台詞で締めくくられました。
『べっ・・・別にはるはるのためじゃないんだからねっ!!』
夕陽に照らされたドレスが、美しく輝いています。
いきなり自分語りで恐縮ですが、今週私は役員を交えたミーティングで、お前はそれでも責任者なのかと手ひどく撃沈されました。正直、相当凹みましたが、今回みなみがはるかに向けた叱責を聞いて、プラスの意味に捉えたいと思います。中身が伴わなければ、どんな仕事でも台無しだと置き換え、責任者にとって何が必要なのか考えろいう激励の意味だったと考えたいです。
その結果、私が出した案は予算が降りずに却下されたのですが、予算を出して欲しいなら出せるだけの結果を示せと言う風に、受け止めたいと思います。はるかはドレス作りの先にあるプリンセスの夢を叶えるために、やるべきことをきちんとこなした上で、やりたいことを成し遂げました。当たり前の事ですが、凹んでいた私にとって、今回のはるかの頑張る姿が大いに励みになった次第です。まずはやるべきことをやって、再びチャレンジしてみたいものです。
ところで今回は夢を追うためのドレス作りに奮戦するはるかがメインのようで、実は見ている側がきららを通じてはるかを見る一編だったように感じました。なぜ、そこまではるかが頑張れるのか。なぜ、みなみははるかのことをしっかり理解しているのか。そして、自分はそれを分かっていないのではないか・・・。見ている私が、きららと同じ疑問を抱きながらはるかを見守っている気持ちになりました。
今回のきららは、冒頭部分からみなみと対比するように「現実的に」描かれています。ドレスを一から手作りすると聞いた時、黙って微笑しているみなみに対して、きららは呆れ気味の顔を浮かべていました。無数のドレスに囲まれてデザインに迷っている時も、それでは決まらないと現実的な発言をしています。しかし悪い意味ではなく、生地を迷っているはるかにすかさず「ピンク」を提示する等、「現実的に」何が似合うのかを瞬時に判断するアドバイスも行っていました。現実がしっかり見えていないと理想を追う事はできません。現実をきららに語らせる事で、はるかの足場を固めているような役割を担っていたと感じました。
きらら自身の日常も「現実的には不可能なほど」のハードスケジュールです。5話で描かれたとおり、きららははるかに驚かれながら、そのスケジュールをこなしていました。トップモデルを志すきららにとってはそれが苦では無くとも、はるかにとっては大変な事。それと逆に、プリンセスを志すはるかにとっては、今回のオーバーワークは苦では無く、きららにとっては大変な事と映ったのでしょう。自分が出来ると信じているものは、傍から見てどんなに大変でも出来る、という事なのだと思います。
はるかはやつれてはいたものの、「辛い」表情ではなく、目には力がありました。やりたい事を成し遂げるための大変さは辛いものではないという意志の表れのように感じました。
はるかもきららの言葉を無視しているのでありません。ドーナツの話題を聞き流しているように見える場面では、なぜきららがこの話題を持ち出したのかを理解し、それに応えるためには話題に乗っかるのではなく、自分が立ち直ることだと判断したのだと思います。
ドレスにシミが出来た後、きららの申し出を固辞する場面でも、手助けが不要ということではないと思います。きららがこれまで寄り添い、気遣っていただけで、はるかにとっては励みになっていた筈です。その結果が、戦闘中のトゥインクルに向けた熱いメッセージとして現れていました。
仮にこれが、きららと一緒に頑張ってドレスを完成させたという展開だったら、それはそれでいい話になったと思います。過去のプリキュアは、「個」で頑張ることも描いて来ましたが、それ以上に「みんなの力を一つに」という描き方が多く見受けられました。もちろんそれは大切ですし、否定するものではありません。私自身もそこから大いに感銘を受けてきました。しかし、そこと一線を画して「自立」を促すことの大切さを描きたいという意図が伺えたような気がします。
みなみの立ち位置も良かったと思います。優れた人は、人の話を聞き出すことがうまく、そこから的確な助言を与えたり、状況を理解できるものです。
『あなたが憧れているプリンセスはどんなドレスを着ているのかしら』
ドレス選びに迷っているはるかはこの問いかけでデザインのきっかけをつかみました。また、手伝いを固辞されて悶々としていたきららに、さりげなく
『ごきげんよう、どうかしたの?』
という挨拶だけできららに言いたい事を言わせ、かつドレス作りの状況を掴んでいました。
また、きららが冷たいと評した、一見突き放すような見守り発言についても、仮にはるかが助力を申し出ていたら手を貸すつもりだったと思います。はるかの意志を尊重し、自立を見守る事を、今はるかが望んでいると判断した故のことでしょう。ゼツボーグが現れた際、きららに促されて加勢に応じたのも、ドレス作りを手伝うのではなく、はるかがドレス作りに集中できる環境のために手を貸すという意志の表れだと思います。
ところで今回の英語の授業中に読まれていた英文は
「Her dress is very wonderful.So she is looking forward to the party very much.」
と聴こえました(合っているでしょうか・・・?いまいち自信がありませんが)。丁度作中の展開に合わせた内容で、ちょっとした遊び心が感じられました。以前にもシタターレ姐さんが自画自賛を交えた作中展開ネタを英語で読んだことがありましたので、気づいた人に気付いてもらおうという小ネタが楽しめます。
最後に、今回ロックに目をつけられた料理部員の子、改めて見るとすげぇ可愛いんですけど・・・(笑)。無事に夢を解放された後に横たわる姿も妙にセクシーでした。ちょっとこの子の事を調べたら、密かに人気あるみたいですね。今後も何度か出てきた筈なので、彼女に注目して観て行きたいものです。
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