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魔法つかいプリキュア! 第8話『魔法のほうきでGo!ペガサス親子を救え!』 [魔法つかいプリキュア!]

 歌舞伎の世界には「團菊爺」なる言葉があります。映像が残っていない時代の九代目市川團十郎と、五代目尾上菊五郎を持ち出して、演技に艶があった、声に張りがあった、それに比べて今のはまだまだ、などと言う古いファンの事です。それを観ることが出来ない若いファンにはどうにもならず、羨望と嫉妬を持つしかありません。そして古いファン側も、歪んだ優越感を持ち、若い世代を正当に評価しないという問題があります。
 プリキュアシリーズも既に干支を一周する年月を重ね、私のようなオールドファンは「初代8話」を少々神格化しすぎたかもしれません。DVDなどで比較的簡単に観る事が出来るとはいえ、知らないファンも当たり前のように増えています。そのため今回は「プリキュアシリーズの8話」という枷を外して観直したつもりです。
 親子の絆、無我夢中になる事、信じる事、そして近づく別れを意識する事。これらを程よく織り交ぜた一編でした。
  
『今!ペガサスって言いました!?』
 今日の補習はペガサスと記念撮影だと聞いて、みらいは開始早々ワクワクもんです。魔法界の撮影とはカメラではなく、羽ペンを使って写し撮ること。まずはアイザック先生がお手本として、みらいとリコを撮影してくれました。一見簡単そうですが、ペガサスは空を自由に飛び回っているため、ほうきを乗りこなさなければなりません。ほうきを苦手としているリコと、高所恐怖症のエミリーは顔を曇らせます。そんな二人にアイザック先生は、自分を信じて飛び出せば出来ると助言を送りました。

 ペガサスは普段森の奥に隠れています。ところが、気が付くと周囲をペガサスの群れが飛んでいました。早速みらいはほうきに跨り、真っ先に飛び出して行きますが・・・
『待って!あなたほうきに乗れないでしょ!?』
 気付いた時には既に遅し。みらいはまっ逆さまに落ちて行きました。

 幸い大事には至らなかったようで、ペガサスが住むと言われる森をみんなで散策します。本来森の奥深くにいるペガサスが、先程はなぜ群れて森の入り口を飛び回っていたのか、疑問が残ります。その時ケイが、怖い噂話を語り始めました。
『なんでも最近この森の中に怪しい花が咲いているらしいの。甘~い香りで森の生き物をおびき寄せるんですって。そしてその花は、香りの虜になった動物が動けなくなったところを、パクッと食べてしまうんですって!』
 オチューみたいな強敵植物系モンスターを想像するみんな。
『そ・・・そんなの怖くないし』
 怖さを誤魔化すように、リコは一人であさっての方向へと歩き出しました。慌ててみらいはその後を追います。二人はそのままみんなと逸れてしまいました。みらいは不安そうなリコにそっと寄り添い手を取ります。
『大丈夫だよ。二人なら出来るよ!』
『信じられない。あなたほうきに乗れないのよ?今回はそんなに簡単に行かないわ』
 その時、はーちゃんが飛んできた蝶を追って飛ぼうとし始めました。しかしまだ飛ぶことはできません。それでもその姿を見たみらいは、私も頑張らなきゃと前向きになりました。

 はーちゃんが空を見上げると、ペガサスが飛んでいます。すかさずほうきに跨るみらい。リコは無茶だと止めますが、みらいは目を閉じて「出来る」と言い聞かせ精神を集中します。すると、ほうきが浮き始めました。
『飛べ・・・たぁああああああっ!?』
 飛んだはいいものの、みらいは思うように制御できません。そして高く飛び上がった後、失速。落下するみらいを、飛び発ったリコが捕まえて事無きを得ました。
 ようやく落ち着いて飛べるようになったところで、改めて先程のペガサスを追いかけます。何度も記念撮影しようとしますが、まるで嘲笑うようにあしらわれ、上手くいきません。こうなれば挟み撃ちです。リコがペガサスの前に先回りし、背後に回ったみらいが、あっちむいてホイを持ちかけました。その隙にリコがそっと背後に忍び寄る作戦です。しかし、あっちむいてホイでも良いようにあしらわれ・・・ていたと思ったらまさかの成功。その隙をついて、撮影しようとした矢先、リコは羽ペンを落してしまいました。
 それを追ってはーちゃんが飛び出しますが、まだ飛ぶことが出来ずに落ちて行きます。急いで後を追うリコ。それよりも速く、みらいが一直線に飛び込んで無事にはーちゃんを捕まえました。その飛びっぷりはリコだけでなく、地上から見上げていたエミリーも驚かせます。ところが、みらいが我に返ると途端にほうきを制御できず、再び落下し始めました。その下には深い穴が口を開けています。今度はなんとかリコが捕まえるも、重さを支えきれず結局穴の中へと落ちて行きました。・・・あの、これリアルにヤバそうな高さだと思うのですが・・・

 二人とも軽い怪我をしただけで何とか無事だったようです。
『まあ、穴の中に入るのは狙い通りだし』
 相変わらず強がった後、リコはみらいに先程なぜ上手に飛べたのか問いました。みらいには特に理由が無く、はーちゃんを助けるため無我夢中だっただけです。どうも納得行かないようなリコに、モフルンが先程のリコもみらいを助けようとした際にうまく飛べていたと言いました。アイザック先生の助言どおり、ほうきに乗るコツは
『信じること!!』
 声が合った後、リコは我に返って少し照れました。
『出来ると思ったら何でも出来る!それにリコと二人なら何が起きても大丈夫って信じてる!』
 みらいの答えに、思わずリコは吹き出しました。
 その時、モフルンが甘いにおいを嗅ぎつけました。同時にペガサスの鳴き声も聞こえてきます。行ってみると、森の奥でうずくまっている子どものペガサスを見つけました。記念撮影のチャンスだと、そっとペガサスに忍び寄ると、どうも具合が悪いようです。
 そして、モフルンも甘いにおいに釣られて木立の間へ行ってしまいました。

 モフルンを追った先には、一面の花が咲いていました。中央には巨大な花が咲き、それを取り囲むように動物たちがうっとりとした目で佇んでいます。その光景を目の当たりにしたみらいは、先ほどのケイの話を思い出して警戒し、大きな花に誘われるように進んで行くモフルンを引き留めます。しかし、よく見ると巨大な花には禍々しさなど無く、囲んでいる動物たちもみんな穏やかな顔をしていました。・・・もっともキングギドラみたいに首が三つある亀とか、首が二つあるアルパカとか、有袋類の大猿とか、観た目が単純に怖いのですが(笑)。
 そしてこの花には癒しの力があり、みらいが先ほど落下した時に負った傷も治っています。先程の子どもペガサスを連れてきて、花を当てると無事元気になりました。丁度お母さんペガサスもやってきて、ペガサス親子も再会。めでたしめでたしです。さらにペガサスの涙が花に滴り落ちると同時に巨大な花が輝きを発し、その中からリンクルストーン・ピンクトルマリンが現れます。
 ・・・ついでにスパルダも(笑)(本日は復活おめでとうございます)

 お腹を空かしたはーちゃんのために、早速ピンクトルマリンをスマホンにセット。動物たちの分もパンケーキを作って一緒に食べます。満腹になったはーちゃんは、少しだけ飛ぶことが出来ました。しかしまだ長くは飛べない様子です。一段落したところで、みらいは母ペガサスに記念撮影を申し出ました。母ペガサスも快諾します。

 直後、周囲の花が無残に刈りとられました。スパルダの来襲に逃げ惑う動物たち。母ペガサスはスパルダにとびかかりますが、嗚呼、なんということでしょう。蜘蛛の糸に絡め取られ、さらに草と合わせてヨクバールにされてしまいました。
『なんてことを!』『元に戻して!』
『戻せと言われて戻す馬鹿がいるかい?』(おっしゃる通り)
 花を刈られた事に怒ってスパルダに向かって行った母ペガサスが、あろうことかヨクバールとなって周囲の花を刈り始めるという事態になりました。二人は母ペガサスを助けるべく、ダイヤスタイルへと変身します。

 変身したものの、ヨクバールを攻撃しようとしても、その素体が母ペガサスだと思うと手が出せません。ためらう二人に、容赦なく攻撃が畳み掛けられます。ミラクルとマジカルの呼びかけも空しく、攻撃の手は止みません。『ほら、反撃したらいいじゃないか。あ・・・出来るわけないか♥』(あれ?妙に可愛いぞ今回のスパルダ)
 スパルダに煽られたヨクバールが再び襲って来ますが、やはり二人は手が出せません。その時、子どもペガサスが割って入りました。子どもペガサスの呼びかけに、ヨクバールの手が鈍ります。母ペガサスの心が微かに残っているようです。同時にピンクトルマリンが暖かく輝きはじめました。

『この力でお母さんの心を取り戻せるかも』
 ミラクルは「私を信じて」とマジカルに呼びかけます。マジカルも隙を作るべくほうきに跨り、「信じてるから」と言い残して飛び発ちました。そしてヨクバールの周囲を飛び回って気を惹き、あっちむいてホイをかけると見事に引っかかります。その隙を付き、ミラクルはリンクルステッキにピンクトルマリンの力を宿します。
『お母さんの心に届いて・・・』
 狙いは当たり、ヨクバールと母ペガサスが分離します。そんな馬鹿なとスパルダが頭を抱える脇で、ヨクバール本体はすっかりた〇ぶえ(ゲフンゲフン)のようになってしまいました。もう遠慮は要りません。そのままダイヤモンドエターナルで撃退します。刈られた花も元に戻り、逃げた動物たちも戻って来ました。

 改めてペガサス親子と記念撮影するみらいとリコ。その姿を見たエミリーも、あんな風にほうきに乗りたいと思いを馳せました。今回の補習も無事合格。リコがほうきの腕を上げてしまうと、修理に来なくなってほうき屋のグスタフさんが寂しがってしまうかもしれません。たまには行ってあげなさいと言うアイザック先生。
 寂しいといえば・・・スタンプの空欄はあと一つ。残る補習はあと一つで最後。その意味を、みらいとリコは改めて噛みしめました。
『みんな、仲良しモフ』
 寝言を言うモフルンに微笑みかけ、そして少し寂しい目を浮かべて、二人は一緒に空を見上げます。同じ空を見上げる事ができる時間も、あと僅か・・・


 まず今回は話の趣旨とは外れますが、ケイに注目しました。補習メイト三人組はいずれも個性的ですが、姉御肌でスケバンのジュン、極度の怖がりでオドオドしているエミリーと比較すると、「忘れ物が多い」というだけで少々埋もれがちでした。ところが今回の「怖い話」を持ち出す場面で、まるで水を得た魚のように嬉々として語り出す等、秋元こまち先輩に通じる一面を見せています。後にメモ魔になってから調べものが得意になって「モフちゃん大図鑑」を編んだりする彼女ですが、他にも真偽不明の噂話を語り始める場面も多々出て来ます。この傾向が見られた事で、ケイのキャラも立ってきました。

 続いてエミリー。彼女の高所恐怖症は以前にも語られており、今回の課題で躊躇するところも見受けられます。しかし、一直線に飛ぶみらいの姿に刺激を受け、ラストシーンでは明確に「飛ぶこと」への憧れと目標を得ていました。彼女が今回の課題をどうクリアしたのかは描かれていませんが、少なくとも「飛ぶこと」を成功させてペガサスとの記念撮影を行ったのは確かです。エミリーも後にとんでもないアクロバット飛行をする成長ぶりを見せますが、人は些細なきっかけで変わり得るものだということを、ささやかながら体現していたと思います。

 得手不得手について、自分ではっきり認識していると、行動する前にあれこれ思い悩んでしまうものです。おそらくリコが「ほうきで飛ぶのが下手」「そもそも魔法の実技が苦手」というのは、ここに原因があるように思えます。極端に苦手意識を持ってしまい、あれこれ考えてしまってうまくいかない。壁を破るためには「信じて」「行動する」ことが大切だということでしょう。
 今回みらいが飛んだのも、余計な事を考えずにただ「信じた」だけでした。そしてはーちゃんを助けるための一心で一直線に飛んで行ったのも、自分を信じた結果だと思います。補習第一回目でも、「考えるより、動かなきゃ」と積極的に行動していた姿は、今回も踏襲されています。

 一方で、みらい=ミラクルの直感、リコ=マジカルの思慮、どちらか一方だけでは今回の母ペガサス救助には至らなかったと思います。互いを補い合い、互いを信じることで相乗効果をもたらし、結果救出に成功しました。ペガサスの子供も、自分の心が操られた母に届くと「自分を」信じていたでしょうし、また必ず自分を思い出してくれると「母も」信じていた筈です。自分だけでなく互いを信じ、そして行動に起こす事が、今回に込められたメッセージだったと思います。昨日書いたプリンセスプリキュアの第8話で、私の凹んだ自分語りを織り交ぜてしまったのですが、これをきっかけに改めて行動に移して、心機一転臨みたいものです。

 ラストで意識する「別れの寂しさ」については、次回9話に譲りたいと思いますが、その伏線として「ほうきが上達した事で修理の回数が減り、グスタフさんが寂しがる」という話題を絡めたのが目を惹きました。人と疎遠になるのは、何がきっかけになるか分かりません。このようにプラスに働くものがきっかけになる事もあります。アイザック先生もあの年齢ですから、多くの出会いと別れを見たり、また自分で体験してきた筈です。だからこそ、「たまには顔を出すように」心配りをしたのだと思います。

 ところで今回は2点、解せぬものがありました。
(1)冒頭で飛んでいたペガサスの群れは、結局なんだったのか?
 ケイの語る噂話とも絡んでおらず、作中でも飛んでいた理由が明らかにされていませんでした。単にみんなの出迎えだったのか、それとも・・・?
(2)重力を無視した「鉄壁スカート!!」(重要)
 リコ、あのとき絶対みらいの中身見えたよね?こっちからはほうきが邪魔で見えなかったけど。てゆーかてゆーかてゆーか、その後仲良く穴に落ちて行く際もふたりとも真っ逆さまだったのに、スカートだけは中に骨組みでも入っているのかと思うくらい微動だにしなかったけど、一体これはどういう了見で(以下略)
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