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魔法つかいプリキュア!第43話『いざ妖精の里へ!あかされる魔法界のヒミツ!』 [魔法つかいプリキュア!]

 魔法界とナシマホウ界、そして妖精界。
 複数の世界が絡み合う今作の世界観は、歴代シリーズに於いても類を見ない複雑なものです。
 最終決戦を前に、その世界観と世界の謎を解き明かすきっかけとなる今回。
 ことは=はーちゃん=フェリーチェの秘密に迫るだけでなく、
 まさかの「再生怪人」に意表を突かれる、驚きに満ちた一編となりました。 
  
 霧の立ちこむ森の奥深く。少女を運ぶ謎の老人
 扉の先に広がる、幻想的で美しい光景に、目を奪われるみらい達。
 すると突然、ことはが妖精はーちゃんの姿へ戻ってしまいました。一体何が起きたのか・・・。
 続けて衛兵を伴い、妖精の国の女王が現れました。
 潤んだ瞳でチクルンを出迎える女王様に、再会を怖がっていたチクルンも、涙を浮かべて駆け寄ります。
 抱き合う二人。ところが女王様は突然怖い目を浮かべて・・・
『悪い子には愛のチクチクです!』全然怖くねえじゃんw

 女王様は改めてみらい達にお礼を言います。
 女王様によると、この妖精界を訪れた人間は、みらい達が初めてとの事。
 花粉のケーキのもてなしを受けて、その美味しさに大満足です。
 宴席の最中、チクルンは女王様が毎日心配していたと妖精達に聞かされて、
 改めて己の軽率な行いを恥じるのでした。

 ところで、なぜことはがはーちゃんに戻ったのかは本人のも分かりません。
『ここの景色を見ていたら花の海のこと思い出して・・・』
 かつて世界を覆っていたと言う花園が花の海と呼ばれていたと女王様は言いますが、
 これ以上の事は女王様でさえも知りません。
 彼女はまだ女王になって3000年に満たず、日が浅いとの事。・・・いや、十分長いですって(笑)
 先々代のそのまた先々代、レジェンドと称される女王なら、何か知っていたかもしれませんが、
 そんな昔の人物なら、とうに世を去っているはず・・・みらい達は顔を曇らせます。
 と、ここでレジェント女王ご本人が登場(笑)。
『ご・・・ご健在なのね・・・』
 下手したら数億年単位のご年齢ながら、リコに言われるまでも無く案外元気そうです。
 そしてレジェンド女王は、はーちゃんに目を留めました。

 その頃オルーバは、策の無い力押しの結果敗れたシャーキンスを嘲りながら、
 ドクロクシーの残した魔法の本を興味深く読み込んでいます。
 すると本の合間、魔法陣が描かれたページに、蜘蛛が挟まっていました。
『ひとつ試してみようか』
 戯れで闇の魔法を試すと、魔法陣が浮き上がり、それは蜘蛛と合わさって・・・

 そして校長も、リアンさんから驚くべき報告を受けています。
 魔法界の文字が、はるか昔のナシマホウ界の遺跡に描かれていた事を発見。
 その文字で刻まれている伝説と、そこから導かれる
「災いと、この世界の関わりと、驚くべき深さ」
 について、校長に報告します。

『それにしても魔法界とナシマホウ界の者達が手を携えてこの里にやって来るとはの。それに・・・』
 はーちゃんに目を向け、レジェンド女王は遠い昔の記憶を紐解き、昔話を始めます。
 往古、人・動物・妖精・精霊が仲良く暮らす楽園がありました。
 その世界は一面の花に覆われ、世界を見下ろすほどの大樹がそびえ、
 そこにはあまねく命の母、マザー・ラパーパが、皆を見守り祝福を与えていました。
 幼少時のレジェンド女王も、ラパーパの庇護の下、平和な時を過ごしていました。
 ところが、永劫に続くと思われた平和な時は、天を裂く目玉によって失われました。
『天を引き裂き現れた終わりなき混沌、デウスマスト』
 眷属と共に、世界を飲み込もうとした混沌に、ラパーパは一人で立ち向かい、
 長い戦いの末に眷属達を封印し、終わりなき混沌を遠き彼方へと放逐したのでした。
 しかしラパーパもまた力を使い果たし、依り代となる母なる木と共に、大地から離れて行きました。
 そしてラパーパを失った大地がナシマホウ界に、
 母なる木は時空の狭間を漂ううちにもう一つの世界、魔法界を形作ったのでした。
 魔法学校にそびえる木が、母なる木そのものです。
 人の歴史をはるかに超える、遠い昔の出来事の物語を聞いて、はーちゃんは不安を隠せません。
『花の海って、そんな大昔の事をどうして私、覚えてたんだろう』

 不意に、聞き覚えのある声が割って入りました。
『おやまあ。なんだかしみったれたムードじゃないかい?』
 声の主を見て、みらい達は驚きを隠せません。
 魔力を使い果たし、蜘蛛に戻ったはずのスパルダが、オルーバと共に現れました。
『このスパルダ、世界を闇で覆うために戻って来たのさ!』
 スパルダは、まだ子どもの妖精だった頃のはーちゃんしか知りません。
 成長した妖精姿を見て、お礼参りとばかりにヨクバールを生成します。
『魔法!入りました!』
 今となっては懐かしい決め台詞と共に現れたヨクバールは、
 妖精界に火の玉を飛ばし、周囲を炎で包んで行きます。
『里を傷つけるんじゃねえ!女王様をこれ以上悲しませるんじゃねぇ!』
 スパルダに向かって行くチクルンを、オルーバは鼻で笑います。
『良く言うよ。女王に叱られるのが怖くて逃げ回っていた癖に』
 チクルンは一瞬怯むも、負けじと言い返します。
『おいらが間違ってた。おいらが馬鹿なせいで女王様にすげえ心配かけちまった。
 もうこれ以上女王様を悲しませたくねえんだ。だからやめてくれ!』
 涙ながらのチクルンの訴えですが、もちろんスパルダが聞き入れるわけがありません。
 邪魔する奴は指先一つでダウンさせられました。
『なんてことを・・・なんてことをするの!』
 拳を握りしめ、怒りを露わにするはーちゃん。
 するとスマホンが反応し、「花海ことは」の姿に戻りました。
 みらいとリコを促し、変身。サファイアスタイルの二人と共に迎え撃ちます。

 キュアフェリーチェの存在を知らないスパルダさんは、少しためらいますが
『そういうことなら好都合さ』
 エメラルドを奪還する好機と見てヨクバールを差し向けます。
 今さらヨクバール程度では相手にならないと思いきや、
 攻撃を避けた際にミラクルとマジカルが互いにぶつかり合って体勢を崩してしまいました。
 フェリーチェは二人を庇い、険しい目でフラワーエコーワンドを構えます。
『これ以上みんなの大切な里を傷つけさせはしない!』
 その凛とした佇まいには、常に余裕を崩さなかったオルーバさえも圧倒されています。
『この感じ、まさか・・・』
 慄くオルーバの眼前で、ヨクバールはエメラルドリンカネーションによって浄化されました。

 それでもスパルダは、エメラルドを狙いフェリーチェに網を放ちます。
『エメラルドさえあれば闇の世界が!』
 残念ながら、相手の力を完全に見誤ってますね。
 今度はミラクルとマジカルがフェリーチェを守って網を切断。そしてエクストリームレインボー。
 完全にオーバーキルの一撃を受け、せっかく復活したスパルダは
 虹のかなたへ追いやられ、再び蜘蛛へ戻ってしまいました。
 戦い終わり、優しい瞳で振り返るフェリーチェに、
 レジェンド女王はマザー・ラパーパの面影を重ね合わせます。
 一方、オルーバは未だ執念を燃やしている蜘蛛を見て、再びスパルダに戻します。
『今日はここまでにしておこう。ちょっとした収穫もあったしね』
 いきり立つスパルダを留め、三人へ思わせぶりに目を向け、「あの魔法」で引き上げていきます。
『さて、こういう時は・・・』
『オボエテーロ!』これも懐かしいですね(笑)

『あの時マザー・ラパーパはおっしゃられた。いつか必ず世界は再び結ばれる。そう魔法をかけたと。
 魔法は願い。奇跡を願う想いが繋がり、いつか世界に届いてくれるよう祈りを込めて与えた魔法の名前』
 その魔法の名前こそが「プリキュア」。
 そしてレジェンド女王は知り得ること全てを語り終えました。

 再び扉が現れて、チクルンは別れの時が来た事を察します。
『・・・行っちまうのか?』
『また遊びに来るモフ』
 モフルンと握手を交わすと、チクルンはこらえきれず涙が溢れます。
 それでも目にゴミがと誤魔化して、精一杯強がりました。
『お前ら寂しいだろうからよ、またおいらが遊びに行ってやるよ』
『今度はちゃんと女王様にお許しをもらってからね』
 扉が閉ざされた後、チクルンは泣きたいのをこらえながら、涙目で笑顔を浮かべました。
『・・・アリガトな』
『ラパーパ様はもういらっしゃらないけれど、彼女達プリキュアがきっと世界を・・・』
『ええ、プリキュアが世界を結ぶ』
 レジェント女王と現女王様もまた、プリキュア達に期待を抱いています。

 みらい達は魔法学校へ戻って来ました。
『花の海の事、ちょっとだけ分かったけど、他のわからないことが沢山増えちゃった』
 少し不安そうにスマホンを抱いた後、ことはは二人に向き直ります。
『でも大丈夫だってみらいとリコ、モフルンがいるから』
 視線の先には、「母なる木」が魔法学校を見下ろしてそびえています。


 まず今回はゲスト陣の豪華さに目が留まりました。
 まさかレジェンド女王が本当に(中の人的な意味で)レジェンドだったとは(笑)。
 今回の変身が「サファイアスタイル」なのは引っかけたのでしょうか。
 現女王にしてもユリアとはまた豪華です。
 そしてチクルンと女王の再会シーンでは「みなしごハッチ」の最終回を思い出しました。
 ・・・というネタ、どこまで通じるものか(笑)

 さて本編へ話を戻すと、今回は世界観の説明がメインです。
 既にこの物語の結末を知っている身からすれば、あれこれ考察する余地はありません。
 むしろ最終決戦の顛末とその結果を知って見返すと、
 いろいろと伏線が張り巡らされている事が興味深いです。
 43話という終盤になってから、世界の秘密を明かすのは少し遅い気もしますが、
 特に凝った世界観が構築されている魔法使いプリキュアのシリーズだけに、
 最終決戦前におさらい、という意味では良かったと思います。
 これが初期に語られた設定だとすれば忘れられてしまう可能性もありましたので・・・

 そしてまさかのスパルダ復活には、当時驚きました。
 もっともこのエピソード時点ではオルーバに利用されるだけですが・・・
 むしろ「再生怪人」の存在意義が光るのは、この後に控えるエピソードです。
 それにしても再生怪人は弱いという法則は、プリキュアには当てはまらないと思っていました。
 再生ダークフォール陣は精霊の力を無効化するというチート能力を持っていましたし、
 前作クローズは復活してからの別人のような貫録に驚かされたものです。
 だからこそ、デウスマストの眷属>闇の魔法使いという力関係が明白に打ち出されており、
 以降のエピソードでの特にバッティさんの活躍が光るきっかけになったと思います。

 作品世界の時間軸についても、破綻・矛盾なく練り込まれていることに改めて気づきました。
 旺盛な好奇心と豊富な知識を誇るオルーバでさえも、当初プリキュアの存在を知りませんでした。
 それはヤモーを使って観察していたラブーも同様で、
 今回レジェンド女王によって語られた昔話によると、
 襲来したデウスマストの眷属を封印→デウスマストを彼方へ放逐→マザー・ラパーパの消滅
 →その際にかけた魔法の言葉が「プリキュア」
 という流れです。このような設定は案外見落とされがちだったりするので
 世界観の練り込みが周到だと感じさせられます。

 前回敗れたシャーキンスと、今回執念を見せるスパルダ、
 闇の魔法の体系を作り出したクシィに対する態度からオルーバの考え方が伺えるのも興味深いです。
 眷属・同僚であっても、策無く論理性に欠ける者には興味・感慨を抱かず、
 ムホーより格下だと見下している魔法使い・人間でも、
 知的好奇心を満たす業績を残した者については関心を抱く。
 そこには敵であっても、種別の垣根を越えた敬意が感じられます。
 オルーバは個人的には好意的な感想を抱きにくいのですが、
 この姿勢だけは種別の違いを越えて手を取り合っていたという、
 かつての楽園に暮らした人々と同じものが伺えました。
 闇の魔法使い達とは異なり、デウスマストの眷属とは分かり合う事の無かったプリキュア達ですが、
 この可能性を突き詰めれば、あるいは違った結末があったのかもしれません。

 今回はチクルンの活躍も光ります。
 前回でシャーキンスに刃向うまで、女王から逃げ、オルーバとモフルンの双方へ適当に接し、
 傷つくことを恐れてチクルンはずっと逃げ続けてきました。
 それが自分の軽率な行動によっていかに女王に心労をかけたかを悟って以降、
 能動的に立ち向かう強さを得ています。
 恥を知ることが出来るだけで、チクルンがただ弱い妖精ではないと実感させられた描写でした。

 マザー・ラパーパとはーちゃんの関係については、
 現時点ではかつての光のクイーンとひかりの関係のようで、
 はっきりと関連付けられてはいません。
 ただ両者には、自分が世界の依り代になるような存在であると薄々察し、
 その記憶と自我を取り戻した時、「ひかり」「ことは」としての自我がどうなってしまうのかと
 言い知れぬ不安を抱くところが共通しています。
 それでも今回のことは=フェリーチェは、特に強い目を浮かべる場面が多く見受けられました。
 不安よりも、妖精界を理不尽に襲う存在への怒りと、それを守ろうとする意志の強さ。
 それが一層マザー・ラパーパを髣髴とさせ、レジェンド女王はその姿に面影を見出したのでしょう。

 もっとも、単純にフェリーチェのカッコいい描写が多く
 最近ご無沙汰だったエコーワンドからの技など、久々に見応えがありました。
 まあ、年末商戦に向けての在庫消化という大人の事情もあったかもしれませんが・・・(苦笑)

 ところで、マザー・ラパーパが健在だった頃はどのくらい昔だったのでしょう。
 現女王が自分を若輩者と言いながら既に在位3000年で、
 レジェンド女王は先々代のそのまた先々代に女王を務め、
 そのレジェンド女王が幼い妖精だった頃に、マザー・ラパーパの消失を経験しているということは
 下手すれば億単位の昔のことかもしれません。
「この世界と同じくらい大きな鋼鉄の玉があり、
 一匹の蠅が百万年に一度その上に止まるものとしよう。
 鋼鉄の玉がすりへってすべてなくなったとき、永遠はまだはじまってもいないのだ」
 という、永遠について述べた言葉を思い出したりもしましたが・・・
 はーちゃん、おめェ~ッいったいいくつなんだァ~~ッ!?
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MP

チクルンが帰還、そしていよいよ本作の隠された秘密が明かされた回です。

太古の昔マザーラパーパが納める世界に、デウスマストと眷属が現れ、ラパーパは眷属を封印しデウスマストを追い払うも、ラパーパは力を使い果たし、世界は2つに分かれた。それが魔法界とナシマホウ界だといいます。あの世界はこうして出来たんですか。
(「キュアップラパパ」の「ラパパ」とはラパーパを意味してたのか)

ところが、オルーバが奪ったドクロクシーの本によって、スパルダが復活!前の「モフデレラの巻」を除いての復活とは!! といっても「ゴープリ」のクローズもありますが、さほど変わってない様に見えました。

今回女王を演じたのは山本百合子さん。「メモル」の前にやってた「レディジョージィ」(当時はまだ土19:00)のジョージィ、「メモル」の次の「はーいステップジュン」のジュンなどを演じ(「年の差なんて」の出題ナレーターもやってたな)、一方のレジェンド女王を演じたのは太田淑子さん。「リボンの騎士」のサファイア、「新オバQ」の正太、「元祖ドラえもん」ののび太、「元祖ヤッターマン」のヤッターマン1号などを演じてました。しかし!! それ以上に重大なのが!! 太田さんは「元祖アッコ」のアッコ役(第2作ではアッコママ、第3作ではラスト近くで老婆を演じた)、山本さんは「新サリー」のサリー役です。つまり東映アニメ魔女の魔女役が2人もゲストだったんです。そういえば放送された翌日は、「元祖サリー」が放送されてちょうど半世紀!「魔女アニメ」が始まった日だったんです。もしかしてそれを狙ってたのかも!!
by MP (2017-09-16 11:18) 

スティクス

>MPさん
>放送された翌日は、「元祖サリー」が放送されてちょうど半世紀
そのタイミングとも重なっていたのですね。
やっぱり「レジェンド」を意識した気が(笑)

by スティクス (2017-09-18 08:53) 

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